2024年1月8日
しのばず寄席初席@お江戸上野広小路亭


しのばず寄席も初席です。6日〜11日の16:50(開口一番の前座を出演者にカウントしている)開演、20時終演という非常に観やすい時間帯です。
初席ということで全体に女性演者多めで華やかな高座です。

一、寄合酒 こと馬
2020年入門なので、今秋には丸四年となるので、二つ目昇進が見えてきた。以前遊かり独演会で聴いた時より硬さがとれて噺家らしくなってきた。同じママさん噺家の遊七さんに似ているといえば似ている。高座態度は以前からよいので昇進が楽しみ。

一、一目上がり 風子
いつものようにマクラ代わりのものまね。そこからサラ口らしく「一目上がり」へ。前座噺ということで手慣れてはいたが、最初の雪持ち笹の説明で笹を竹と言い間違え、それに気付いた動揺が最後まで尾を引いてしまったのが痛恨。昇進準備で忙しいことだが高座は平常心で。

一、転宅 柳雀
マクラで「風子姉さん」と風子さんを立てていた。そう、真打昇進前の2年前の名鑑では風子さんが柳雀師の上にいた(さらにその前の名鑑では風子さんと柳雀師(当時柳若)の間に宮治師がいた。宮治師も抜擢昇進後も風子さんを姉さんと立てている)。香盤上は上に行ったが、実際の楽屋では入門順がそのまま続いている。
鯉昇門下ということで普通の「転宅」とは一味違う。泥棒界は泥棒協会と泥棒芸術協会に分かれていて、協会によって手口が違う…俺は泥芸協なので近代的な手口だ…というところで爆笑。

一、紙切り 林家花
舞妓の初詣〜うさぎの餅つき〜昇り龍(あっしの注文「辰」に応えて)〜凧揚げ(注文)〜(指名したお客の)似顔絵


一、選挙あれこれ(真説立川談志) 談之助
鮮やかなオレンジ一色の着物で登場「愛媛みかんの回し者じゃございません」と掴んで、上野ということで立川流発足前後のドタバタ〜家元が71年の参議院選挙全国区に出た時のドタバタ。サゲは最下位当選した時の家元の名言「真打は最後に上がる」

お仲入り

一、黒田武士(黒田節の由来) 紅
福岡出身の紅先生の「仙台の鬼夫婦」と並ぶ代名詞的な一席。普段の寄席でもよく読んでいるが、お正月は特によく読んでいる。「今日は30分頂いているのでロングバージョンを」と、母里太兵衛が武蔵野の大盃で都合三升(七合五勺×四杯)の酒を平らげるさまをたっぷり見せ、そのあと「舞を一さし」と立ち上がって口三味線で端唄の「槍さび」を踊る…正月らしく盛りだくさんの一席
(あらすじはこちら)


一、奇術 瞳ナナ
和風の衣装で登場したので「和妻かな?」と思ったが、小道具に扇を使ったり、真田紐でロープマジックなど、和の素材を用いたマジックでした。


一、宿屋の富 遊雀
広小路亭は原則生のお囃子は入らないので、紙切りの受け囃子も含めCDで、前座以外は適当な出囃子で高座に上がるが、トリの演者だけは本人の出囃子が流れる。ナナ先生が降りて「粟餅」が始まり、見出しが「遊雀」に変わる瞬間…末廣亭や池袋でも感じるワクワク感。「待ってました!」の掛け声が飛び交う中を颯爽と登場。いきなりナナ先生を「ナナ姉さん」と呼び「あっしが「姉さん」というんだから…わかるよね。だって魔女だから」とナナ先生をイジるとナナ先生が登場。「ここは写真撮ってイイよ」と暫しツーショット撮影会。


「正月だからめでたい噺を」と「宿屋の富」へ。六代目松鶴師や枝雀師が「子ェの!子ェの!」と絶叫する照合をすべて表情と首の上げ下げだけでたっぷり表現して「…たった!たった!」「大丈夫かな?この人は「たった!たった!」って座り込んじゃったよ」でドカーンと爆笑になる。その前の「五百両妄想男」の件もそこだけで一席の噺になるようなハイテンションで爆笑に次ぐ爆笑。初笑いにふさわしい40分の遊雀ワールド。ハネて20時カッキリ。