2022年8月23日
落語ガールズ定期公演@西新宿らくご倶楽部(ミュージックテイト西新宿店)



落語会3連チャン三日目は現店舗での最後のガールズ公演。しかししんみりすることもなくいつも通りのガールズ公演。まあ成金発祥の地ということもあってか、22日のあら馬・しん華のときも感じたが、見る方より出る方が感傷的になってる感。

一、あくひ指南 風子
罪のない戯画的な噺なので(「陸(おか)へ上がって一杯やって、吉原(なか)で新造でも買って遊ぼうか」が問題視されたことがあったが、古典落語のセリフにいちいち目くじら立てていては落語という芸能そのものが成り立たなくなる)、年がら年中誰かが演ってるが、稽古するあくびのセリフから解る通りこれは夏の噺。噺の季節感にうるさい師匠の影響で、風子さんも夏以外ではなるべく演らないようにしているらしい。そのせいかなんとなく手探りっぽい出来でした。

一、宗論 律歌
22日のあら馬さんに続いて2日連続の「宗論」。例の教会の一件以来定席でも誰かが演る「時事ネタ」になった感がありますね。
で、2日続けて聴いて思ったのは、昨今の世相を踏まえると、この噺は「カルト宗教問題」と「宗教二世問題」の両方をはらんでいる案外深い噺だということ。父親の立場に立てば、キリスト教にかぶれた倅は「カルトに洗脳された倅(キリスト教が解禁された当時、仏教徒・神道者から見ればキリスト教は最大の「カルト宗教」だった)」に映っているが、同時に「家の宗旨」に倅を縛りつけようとする。倅の立場に立てば倅は「宗教二世」であり、「家の宗旨」から外れようとしている。こうしてみるとこの噺の親子、かなり闇が深い。となるとにわかに笑えなくなった。
それにしても今日の律歌師も倅のセリフが片言調だった。こちらも闇が深いなあ。一体誰が始めたんだろうか?

お仲入り

一、寝床 遊かり(ぼたん師代演)
ぼたん師体調不良のため急遽の代演。「わたしもコロナ明けでリハビリ中なので何分しゃべれるか」と言いつつ「寝床」を完演。意外にも憶えたてでまだ未整理なのかコロナ明けのせいか歯切れが悪く、全体に間延びした高座に。長屋連中の中に神田伯山や春風亭昇也が登場するが、全体に歯切れが悪いので却って冗長に感じた。いつもは古典も新作も完成度が高いので、今後稽古を積んでの再演に期待。

なお、店舗移転に伴う休業のため9月13日はお休み、9月27日から再開の予定です。