古今亭佑輔おさらい勉強会Vol.1@西荻窪アトリエ・ハコ


会場は西荻窪の駅から徒歩3分ほどのビルの3階。柱のないフリースペースで有効客席は2〜30人くらい。ほとんど告知していなかったもののつ離れしてました。高座の前に連雀亭のようにビニール幕を置いてのセッティング。

一、狸の札
まず、ビジュアルの変わり様に驚きました。「美人すぎる前座」として話題になった一年半前からなんだか10年、いや20年くらい老けた感じ。10歳以上上の風子さんや遊かりさんの方が若く感じます。顔色もあまり良くなく「よほどいろいろあったんだなぁ」と感じました。「わたし、暗いんですよね」とか「実は高校デビューだったんです」とか自虐マクラがシャレになってません。まだ吹っ切れてないのかな?
いささかイタいマクラから「狸の札」へ。狸君はややこまっちゃくれた感じ、もう少し可愛げが欲しいなあ。寄席ではまだまだサラ口だからこの位の噺になると思いますが、彼女の芸風にはあまり合ってないように思えます。

一、権助提灯
「狸の札」から高座を降りずに続けてオーソドックスな男女の悋気のマクラに入ります。「悋気の独楽」かな?と思ったら「権助提灯」へ。さすがに女性の表現はよかった。本編に入ったところでいきなり喋らずちょっと怪訝な顔でうつむき加減に旦那を見て、おもむろに「旦那さま…」と語りかけるところが本妻さんの腹に一物ありげでよかった。惜しむらくはお妾ちゃんがもう少しキャピキャピしていた方がよかったかな。あと権助が上品すぎて田舎者的な「空気読めなさ」が薄かった。もっと下世話で野卑にハジけた方が「こいつ痛いところを突きやがる」と旦那の困った感じがもっと出ると思うんだけど…

一、品川心中(全)
中盤のドタバタ騒ぎで切るかと思ったらまさかの完演。めったに出ない「仕返し」まで演るあたりは彼女の本気度が感じられます。やはりお染さんが一番よかった。しかし金ちゃんが与太郎になってしまった。これではいけない。金ちゃんはお染のスペシャルサービスでのぼせ上がってポーッとなるので、決してバカではない。そのあたりが演じ分けられれば売り物になるかも。大騒ぎのところで糠味噌桶の件をカットしたのは女性の限界かな?でも平気でここを演る女性噺家もザラにいるので、カットしなくてもよかったのでは?
今日の三席に共通して気になったのは、地のセリフに妙な節があること。覚えるため、あるいは落ち着いて語るためなのかも知れませんが、これだとそっちが気になって中身が入ってこないのと、語尾が流れて聞き取りにくくなるので、早いうちに直した方がいいと思います。まあ、今後師匠からダメ出しがあるでしょう。

というわけで、まだまだ課題山積の佑輔さんでしたが、話術はキャリアを重ねれば自ずと練れてくるので、まずはメンタルを早く吹っ切って噺家としてハジけてほしい。その意味では今後に期待。