こんにちぱ!
ミラノ・コルチナ冬季五輪たけなわ、連日日本選手が活躍中です。

昨日のフィギュアスケート団体で、日本チームは2大会連続の2位銀メダルになりましたが、以前は男女シングルは健闘するもペア、アイスダンスは世界に全く歯が立たず、平昌までは4位が最高でした。しかし近年、フィギュアスケート界を挙げてペア、アイスダンスの育成に取り組み、現在では木原龍一/三浦璃来の「りくりゅうペア」が世界で活躍するなど、団体戦も戦える陣容になりました。

そんな今回の日本チームは最初のアイスダンスから最後の男子シングルまで自己ベスト・シーズンベストの演技を揃え、見事メダルを手にしました。



日本チームの大トリを務めた佐藤駿選手(男子シングル)がフリースケーティングで使用したのは、ストラヴィンスキーのバレエ音楽「火の鳥」でした。「火の鳥」はストラヴィンスキーの所謂「三大バレエ」の第一弾。ロシアの民話を元にしたバレエで火の鳥の優美な踊りや魔王カスチェイと王子イワン・ツレヴィチの闘いなど見せ場が多く、美しく力強い音楽はバレエ界だけでなく世界中で愛されています。


今回は主に後半から大団円が使われました。「火の鳥」は1910年に作曲、初演された作品ですが、1910年全曲版は基本4管編成の大管弦楽で、後にストラヴィンスキーがフランスに亡命した1919年に権利確保と作品の普及のために管楽器を2管に縮小し、チェレスタをピアノで代用、ハープも1台にした組曲版が作られました。1919年版のほか1945年版などいくつかの抜粋、組曲版がありますが、現在比較的頻繁に演奏される「火の鳥」はこの1919年組曲版が最も多くなっています。


あっしは中学生の時に最初に1910年全曲版のLPを購入(ピエール・ブーレーズ指揮、ニューヨーク・フィルハーモニック)したため、1919年版の2管編成がどうにも薄っぺらく聴こえてしまい、以来現在に至るまで手持ちの「火の鳥」の音盤はほとんど1910年全曲版で、1919年版は「春の祭典」や「ペトリューシュカ」などのオマケにくっついているものしかありません。


ということで、「火の鳥」1910年全曲版のおすすめ5枚です。こういう曲はやはり録音がよくないと話にならないので、比較的録音がよい1970年代以降の音盤を選びました。



 ①パリ管弦楽団、小澤征爾(指揮)

小澤征爾さんは後に手兵ボストン交響楽団でも全曲版を録音していますが、これはボストン入り直前に録音されたパリ管との録音。この直前までカラヤンが1シーズンだけ面倒を見ていたパリ管が特に管楽器が冴えていて、こっちの方が魅力的なのです。



②ニューヨーク・フィルハーモニック、ピエール・ブーレーズ(指揮)

あっしが初めて手にした「火の鳥」の音盤でした。後にブーレーズはDGに移ってシカゴ交響楽団と全曲版を録音しますが、レニーから引き継いだニューヨーク・フィルのパワフルなアンサンブルをみごとにまとめ上げたこの盤は今も色あせぬ魅力があります。



③ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、サー・コリン・デイヴィス(指揮)

デイヴィス卿がアムステルダムで年1作づつ入念に創り上げた三大バレエは、今もなおスタンダードな魅力を放つ名盤です(確か作曲順と逆に「春の祭典」➜「ペトリューシュカ」➜「火の鳥」の順、リリースもこの順)。透明度の高い響きと絶妙のバランスで、スコアを見ながら聴くにはもってこいです。



④モントリオール交響楽団、シャルル・デュトワ(指揮)

シャルル・デュトワはローザンヌでバレエ指揮者として下積みを重ねて国際的な指揮者としてブレイクしました。チャイコフスキー、ストラヴィンスキーの三大バレエに関しても基本原典版志向であり、「ペトリューシュカ」も巷間普及している1947年版でなく、1911年原典版を録音しています。「火の鳥」ももちろん1910年版を鮮やかに捌いています。



⑤ル・シエクル、フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)
最後は、ピリオド楽器使用による演奏です。譜面も1910年版を初演譜を参照して校訂した譜面を用いており、1910年にロシア・バレエ団(後のバレエ・リュッス)による初演に限りなく近い響きを再現しています。