樋口一葉の奇跡の十四ヶ月は大つごもりから始まり、たけくらべ、にごりえなどを書いた期間をいうが、それまで士族として、上っ面だけの小説を書いていた一葉が市井の声を聞いた瞬間から変わったと言われる。私は仏像にも同様のことを感じる。都の権力によって綺麗に作られた仏像より農民の日々の辛さからの解放を感じる願いがこもった地方にある磨崖仏にひかれる。令和になり、注目された万葉集も同様である。一般市民から天皇までありとあらゆる身分の人の歌が綴られている。まさに市井の声がつまっている。だからこそ、そこに魂ソウルを感じる。日本のソウルミュージックの原点なのかも。