私や書道の仲間はあまり塾に行かず、それぞれの自宅に書道の後集まり、勉強を一緒にしていた。ちょうどその時、父が油まみれの作業服で帰宅した。それを見た一つ上の人がぷっと笑った。お父さんはスーツを来て仕事にいくんだろう。私は父が恥ずかしいと思わなかった。それを笑う人こそ恥ずべき人だと思った。私は決してその人に勉強で負けないと思った。父は子煩悩ではあったが、今一つぬけていた。足らなかった。父は若い頃バイクに乗っていたが、私が大学の時バイクを買って私が帰ってきたらちょっと乗らせろと子供のようにはしゃいで乗った。子供の頃父のたまにサイフォンで淹れてくれる珈琲はすでに挽かれ古く嫌な酸味があった。ごまかすため多めのミルクでいつも飲んだ。社会人になって私の淹れた珈琲はおいしいと飲んでくれた。今考えると常に父は超えるためのバネを与えてくれていたような気がする。反面教師の場面も多かったが。残念ながら、娘の中学入学を見るのに一年早く逝ってしまった。
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