「ネネ!!

ネネ!!」


「‥。」


夢の中で大きい人の声がした。



「ネネ、理不尽なことはこの先もきっとある。

それをチャンスと思うかどうかで人生は変わるんだよ。二度と同じ悲しみに出会いたくないのならネネが変わるんだ。

ネネが考え方を変えれば砂漠は海にも変えられるんだよ。ネネが見落としていることがあるはずだよ。通ってきた道を振り返りながら自分自身が選んだことを思い出してごらん。自分自身を愛する方法を見つけるんだ。



「えっ?自分を愛するの?相手じゃなくて?」


ネネには意味がわからなかった。




「そうだよ。自分を大切に出来ないと誰かを愛することはできないんだよ。大丈夫。ネネには見つけられるよ」

 


私が選んだこと‥。



ネネが何かを選ぶ時、

一番に考えるのはカカとトトが喜ぶ顔だった。

カカとトトが幸せならネネは幸せだったから。

でも荷物が増えて身体も心も苦しくなり始めた時から二人が幸せそうにしていてもネネは幸せだと思えなくなっていた。


それを認めてしまうと今まで頑張ってきたことが無駄になると思って、今まで以上に二人のわがままを聞いてあげた。


こんなに頑張ったんだもん。

きっとカカもトトも気付いてくれるはず。

ネネを大切に思ってくれるはず。

もう少し頑張れば、あと少し、あと一歩。


そうやって自分の心を騙してきたんだ。

ネネの心はいやだ!!って随分前から叫んでいたはず。

それを見ぬふりをしたのは自分自身だった。

ネネを大切にしていなかったのはトトでもカカでもなくてネネ自身だったのだ。ネネは自分に謝った。



「ごめんね。ごめんね。ずっと待っていたんだね。辛かったね。

苦しかったね。」



そう言うと両腕で自分の身体を強く抱きしめた。

自分が幸せじゃない選択はしてはいけないのだ。

自分のためにもカカとトトのためにも自分が辛くなるワガママは聞いてはダメなんだ。やっとわかったよ。

 



ネネは自分と向き合った。ネネ自身が一番大切にしたいことは何なのかネネは自分と同じようにカカの嘘に振り回されて傷ついたトトの幸せを願った。

トトに再会した時トトは言ったんだ。


「僕のずるさが人をダメにしてしまうんだ。僕はずるいから大丈夫じゃないのに大丈夫だよって言ってしまうし、相手が楽できるように助けてしまうから感謝されるしいい人でいられる。でもその人が過ちを認めたり成長するチャンスを奪っていたんだよ。」




トトは気付けていたんだ、自分の過ちに。

笑わなくなってしまったトト。

自分がどうしたいのか言えない子になってしまった。トトはトト自身が幸せな選択ではなく周りの人に嫌われない選択をしてしまうのだ。

トトは固い殻の中に閉じこもってしまった。

トトが小さい頃に見せていた愛らしい笑顔でもう一度笑うところが見たい。それが一番の願いだ。



ネネは考えた。どうしたら笑顔を取り戻せるのか。ネネは毎日トトに手紙を書くことにした。


ある時はネネ自身の体験をありのままに話してきかせた。その日突然トラブルに巻き込まれて泣いたこと、面白かったこと、トトにどうしても伝えたい深いこと。ネネは自分を使って証明していくことにしたのだ。今日の自分を積み重ねていく。

どんなお話の中にも共通して込められていること。それが50、100と積み重なればトトに何かが届くかもしれない。ネネがトトを大切に思っていることを毎日手紙に書いて出し続けた。



手紙が100通を超えた頃、トトから返事が来るようになった。

ネネはトトの所へ走って行き抱きしめたかった。

でも今じゃないんだ。今じゃない。



ネネは200通の手紙を送る頃、自分の変化に気づいた。 


トトにあげたようにカカにもチャンスを与えてもいいんじゃないか。

でもカカを許すことなんて出来ないのに。

どうしたらいいんだろう。

 




「助けてー!!」





 

次回予告

”やまむ にっくんむん むぉに?”


📸素敵なお写真はお借りしました。

ありがとうございます。