7人はネネを囲むように円になり、ネネに向かって両手を前に出して微笑んだ。


ネネの絶望で支配された心に温かい空気が

送り込まれていった。

ふかふかの布団に包まれたような気持ちになった。

 

  


 

7人の中の一番大きな人が言った。

 

「辛かったね。よくこんなに背負って歩けたね」

 

残りの6人はネネが降ろした荷物を眺めたり開けて中身を確認していた。

 

「何でこんなもん背負ってたんだ?」

「みてみてー。これってこの人のじゃないよー」

「この人の荷物が見つからないね」

 

ネネのおろした荷物を調べ終えると大きな人が言った。

 


涙の海を幸せに変えるには砂漠を歩かなければならないんだ。

辛くても自分で答えを見つけなければ本当の海には出られないんだよ。

どうする?歩くなら僕たちが全力で応援するよ」

 



小さい3 人が言いました。

 

「無理だよ。」

「悲しみが深すぎる。」

「こんな深い涙の海を作った人が本物の海にたどり着けると思えないな」

 

 

 

「私、やってみたい!!」

 

 

 

ネネは答えた。すると7人はまた円になった。



「わかった。まずは過去の思い出の中から幸せな瞬間を沢山みつけてみて。

そこにヒントがあるはず。

それから忘れないで。辛くなったら助けて!!と言うんだ。そしたらいつでも温めにくるから。




そういって7人は光の中に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

そう言われても心が動かなかった。悲しすぎて思い出と向き合うことが出来ないまま月日が過ぎていった。

 


ある日探し物をしていた時に引き出しの奥にしまっておいた日記帳を見つけた。


ネネはカカとトトと冒険した日々を記した日記帳を読み始めた。

そこには笑い合いながらご飯を食べたり話したりする3人がいた。

どのページからも笑い声が聞こえてきた。

気がつくとネネは泣いていた。

 

それは悲しみの涙ではなく、温かい優しい気持ちからのものだった。

ネネはカカとトトと仲良しだった頃に戻りたくてたまらなかった。でもあの頃の二人はもういない。

そう思うと心が再び悲しみに支配された。




「助けて~」


7人の救世主を呼んだ。


7人はあの時と同じように円になって温めてくれた。大きな人が言った。

 

 


「愛しの涙を見つけたんだね」

「それでどうしたの?何が辛くなっちゃったの?」



「それがわからないの。

思い出の中の二人は愛おしいのに今の二人を

思い浮かべると怒りが込み上げてきて

どうしたらよいかわからないくらい苦しくなるの」

 

 


7人はネネの話を心の深いところで受け止めるように聞いた。

 


「うん。それはネネにとって二人が大切な人だからなんだよ」


「だって、こんなに怒っているんだよ」


「そうだね。どうして怒っているのかな?」


「わかってほしかったから。

一番わかってほしかったの。どうして!!

どうして私がいなくてもパーティができるの?

私だって綺麗なお洋服を着てみんなに

会いたかったのに‥。ひどいよ。どうして。

何で‥」


ネネは泣き崩れた。

 

7人は慈しむように心を込めてネネに温かい空気を送り続けた。

ネネが落ち着くまで7人は待ってくれた。





 

大きい人がネネの頭を優しく撫でながら言った。


「ネネ、偉かったね。それでいいんだよ。

自分の気持ちを外に出していいんだよ。

ネネが思っているどうして?の答えは

ネネの中を探してもないんだよ。

それは本人に確かめなければわからないこと

だから。」

 

 

「怖いよ。聞くのが怖い。

やっとここまで来たのに。

また悲しみに支配されるんじゃないかって

思ったら聞くことなんて考えたくないよ。」


 

「ネネ、落ち着いて聞いて。

ここを越えなければネネはずっと砂漠を

彷徨うことになる。

海に出るためには真実を知ることが必要なんだ。

大丈夫。

ここまで歩けたネネならきっと向き合えるよ。」



 

 

ネネはトトに会うことにした。思い出したんだ。昔、カカが嘘をついてトトとネネはケンカをしたことがあった。

その時にトトに言ったんだ。


「もし、どっちかを選ばなければならない時があったらトトを選ぶよ。トトを信じるからね」


その時トトは「うん」て言った。

もしかしたら私は信じる人を間違えているのかもしれない。

 



 

2年半ぶりにトトに会う。

緊張したけど会ってみたらトトはトトのままだった。

そして二人は2年半のお互いのことを話し、

パズルのピースを埋める作業をした。

ネネの心を深く傷つけた言葉たちはトトではなく

カカが紡いだ言葉だった。


「どうして‥」



トトとネネは呆然とした。

その嘘は誰の得にもならないものだった。

何の意図を持って紡いだのか想像がつかなかった。

分かるのはカカに聞いても答えを見つけられないということ。カカは自分の非を絶対に認めない人だから。




トトとネネはしばらく黙っておくことにした。

トトはネネが悪者のままになってしまうことを心配した。ネネはそれでいいと思った。

今更過去を訂正したところで2年半が戻ることはない。訂正を訂正と思ってくれない人もいるだろう。もうどうでもよくなってしまった。

 

 

 

放心状態のままトトとネネは自分達の生活へ戻っていった。

トトが嘘つきじゃなくて本当によかった。



でも、あの頃の私たちには二度と戻れないこともわかった。

もう夢を見ることはできなくなった。

私は砂漠の中でどこへ歩いたらよいのか、

助けて!!と呼ぶことも出来ないくらいわからなくなってしまった。

 

 









次回予告

”LOVEMYSELF”


📸素敵なお写真はお借りしました。
ありがとうございます。