最近、大口径チェーンリングやビッグプーリーなんぞをちょこちょこ導入している。


ここで、問題になるのは、チェーンの長さです。




実はこれ、短いんだよね。 レース前に直せば良いか?って放置してました。



ビッグプーリー、58Tシングルなので、元々付いていたチェーン長で良いハズもない。


また、カセットを色々と使うんだよね。11-23Tや11-25T、11-28Tに11-30Tや11-32Tと、用途やコースに合わせて、全て使う。


結構イレギュラーな組み合わせなので、チェーン長は?って思うだろう。


普通なら、どうすれば良いのか?って悩む所ですが、実は簡単。



チェーン長って、物理的に決まります。


この場合、フロントはシングルなので、フロントの位置と言うか、アウター&インナーは無いから、そのまま。 


ここからが、チェーン長を決める為に、やる事。


リヤカセットを最小の11T、トップに合わせます。

(要するに1番重いギヤね。)


この時、シマノだと、リヤディレイラーの後端にテンションボルトがあるんですが、それを1番緩めた状態にする。


この状態で、チェーン長を決めます。



(テンションボルト。)


ここで、チェーンを張るんですが、この際、張れる1番長いチェーンのコマ。これがチェーン長です。


(こんな状態を作る。)


ミッシングリンクを使う場合、チェーンのアウタープレートとインナーリンクのワンセットでしか切れ無いので、2コマが最小単位です。



(この状態。)


で、2コマ足したら、長すぎて、タルタルになるから、もうこれ以上足せないって長さ。これが張れる1番長いチェーンってなります。





何故、こんな事をするか?ですね。


よく考えてるとわかるんですが、これ、ロー側、要するに軽いギヤ側に行ったら?って考えて見てください。


軽いギヤは、ギヤ外周が大きいので、本来なら1番チェーンの長さは必要なんです。


でも、そこで合わせると1番重いギヤ側では、タルタルで張らない。


それを回避しているのが、リヤディレイラーなんですが、まぁそれは、後で説明するとして。


1番軽いギヤ側では、チェーン長は長くしたいので、1番重いギヤ側は、可能な限り長くする。です。


ただこれだけ。


理屈がわかると、簡単なんですよ。


例え、ビッグプーリーを入れようとも、どれほどイレギュラーな組み合わせをしようとも、簡単。





じゃあ、フロントダブルの場合は?ですね。


これをインナートップでやるだけです。だってそこが最小のチェーンの長さになるから。


ここで、勘の良い方ならわかると思いますが、これだとアウター側は常に短いんじゃね?って。


そうですよ。常に短い。


ここで、リヤディレイラーの出番です。


リヤディレイラーが、チェーン長を補ってます。


リヤディレイラーの羽の部分が前側にスイングして、チェーンの短さを補ってます。この際、ロングゲージだと、より前へスイングして、距離を稼ぐ。


ローが30Tの場合より、ローが34Tの方が余計チェーンの長さは要ります。


そして、トップが11Tとしたら、その損差は大きくなります。


ここで、より前へスイングして長さを稼ぐロングゲージが必要となります。


なので、シマノだと、11-30Tがショートゲージの限界って言われてます。


あれ?ちょっと待ってください。


初めの方に、私、11-32Tも入れるって書いてますよね。そう、ショートゲージでも入ります。


ここで、チェーン長の決め方の、始めに戻ると。


トップ側、かつ、テンションボルトを最大に緩めるって言ってます。


この状態って、フロントチェーンリングから見たら、リヤディレイラーのプーリー位置は、最大に遠いんです。


最大に遠いって事は、もっともチェーンは長くなるって事。ただしこれは、リヤがトップと最小ギヤの時。

ここで、ロー側にシフトしていくと、どんどん長さは足りなくなっていきますが、リヤディレイラーの羽が前へスイングして、距離を縮める事で、その長さを補うんです。


このスイング幅で、リヤカセットのキャパシティが決まります。


ロングゲージの方が、この振り幅が大きいから、トップとローの差が大きくてもOKってなってます。


で、ショートゲージは?と言うと、11-34Tでも大丈夫なんですよ。ただし、これはフロントシングルの場合。


ダブルだと、インナー側でチェーンの長さが決まる。そして、アウター側だと常にチェーンは短い状態です。

なので、インナー側をトップまで全て使うのであるなら、ショートゲージで11-34Tは入りません。


ただし、これ、インナー側でトップまで入れなければ、足りるんですよ。


5枚残し辺りで、インナー側をアウターへシフトアップしてしまうなら、チェーン長は、そこが最低な長さで合わせられるので、チェーン長を稼げるから、可能になります。


インナー側をトップに入れない、5枚目辺りでシフトアップしてしまう制約さえ付けたら、ショートゲージでも、リヤに32Tや34Tも入ります。


例えば、フロントに52/34Tのようなイレギュラーな組み合わせの時も同じです。


インナー側に制約を掛ければ、イレギュラーな組み合わせも可能です。

この場合、Di2だと、楽ですね。簡単に制約を掛けられるから。



現在だと、大抵の場合ロー側が30とか32Tとかなので、なるべくチェーンは伸ばしたいんです。11Tトップ時で最長にしたい。だからこそ、そこで長さを合わせる。それも張れるギリギリの最長でです。



そうすると、トップでは、ちょっとタルんでいる。ホント、張れるギリギリの最長です。


これ、トラック競技のバイクと同じです。


実は、ここを狙っているから、シングルにしてます。


リヤディレイラーの羽のスイングするテンションは、構造上、前に行くほど強いチカラが必要となります。


ここで、フロントダブルの場合。アウター時は常に羽は前にスイングしている為、この引っ張るチカラを常に脚が負担しているんです。


これが、バカにならないんですよ。

このチカラが無くなれば、体重1kg落としたのと同じくらいの負荷値はある。


例えば、チェーンを張らずに、リヤディレイラーの羽を前に手で押して、5分ほど保持してみたらわかるよ。たった5分でも、めちゃキツいから。


その保持するチカラを脚が常に負担していると思うと、そんなもんなるべく無くしたいって思う。




で、私のバイクの場合。

11Tトップで、若干タルんでますから、ここでは、ゼロテンションです。


(ゼロテンション)


14T辺りで、ようやく若干テンションが掛かるくらい。


1番重要視しているギヤ、11Tトップから14Tまで、ほぼゼロテンションになるってのが良い。


(28Tで、真ん中くらい。32TでもOK)


ローにした時に、リヤディレイラーの上側のプーリーが、カセットのギヤに付かないように、テンションボルトで調整します。

(多分、ギリギリテンションでチェーンを張ると、おそらくカセットのギヤにプーリーが付く。)


テンションボルトは、締め込むと、チェーンを張る方向になります。なるべく締め込まないようにしたい。



フロントシングル化にすると、アウター側では、ゼロテンションが生まれます。これ、ダブルだと絶対にできません。

どうやっても、テンションが掛かった状態になります。


アウターがメインで、インナーは捨てるって選択肢が出来て、かつ、Di2(確実に入れないって言うなら、機械式でもOK)であるなら、インナーは5枚目辺りでアウターにシフトさせるって事で、ローテンション化も可能です。


結構この手の方は多いんじゃないかな?インナーはもう登れなくなった時に使うって感じで、ほとんどアウターって感じなのは…。


魅力的な、52/34Tとかも、Di2で有れば、抑制出来るので、結構イケます。(うちの奥様もコレ。)


チェーン長の基本は、なるべく長くです。


なので、ビッグプーリーを付けて、チェーン長を見直さないって、実はあり得ない。付いたからOKではない。


もちろん、何も変えてないから、今まで通りでもダメです。


結構、短い事は多い。