ディスクブレーキについて。はじめに言って置くと、メカニカル的には肯定的です。
今年のツール、ディスクブレーキの導入率は半分くらいの選手が使ってました。
因みに、総合系チームは通常のキャリパーブレーキ。スプリンターチームがディスクブレーキと言った感じ。
これは訳が有り、ディスクブレーキ最大の負の部分が現れた結果だと思います。
過去に指摘していますが、パンク対応のスピードの差があり、ディスクブレーキは不利になります。その為総合系チームはディスクブレーキを嫌ったと言う事。
ディスクブレーキ車のパンクの場合、クイックではなく、アクスルスルーなので、1度シャフトを抜く必要がある。
ホイールを嵌める時に、ブレーキパッドの隙間にローターを入れる必要がある。
この2点で、圧倒的に交換時間がかかる。特に後輪だとチェーンラインもあり、焦ってローターを曲げてしまう恐れもあり、大抵のチームは車体毎交換して対応しています。
メカニックでも戸惑う作業なので、選手間の貸借りが安易に出来ません。
では、何故スプリンターチームに多く導入したか?と言えば、スプリンターチームはステージ狙いだからです。仮にそのステージを落としても、次ステージにダメージが及ばない。
ところが、総合系はそうはいきません。その日のタイム差が全体まで及ぶ。この差が導入率の差だと思います。
特に今回、チームカーが入れないパヴェ区間があったり、山岳コースなどでは、チームカーの対応が遅れる事が予想されるので、総合系は敬遠したと推測されます。
この事は、数年前から予測していましたので、パンク対応スピードを利点として、キャリパーブレーキを使うと言う選択肢は残ると思う。
走行面から見て、特にディスクブレーキの恩恵があったとは言えません。細かい疲労度などは測れませんが、下りスピードを見る限り、機材より選手の力量の方が差が大きいと言えた。
キャリパーブレーキでも、選手自体の対応能力で、アッサリディスクブレーキを凌駕出来る。
これも、過去に指摘しており、驚く事ではない。
今回、サガンが単独落車しました。一部ではディスクブレーキの効きすぎによるものでは?と言われている。効きゃいいってもんじゃないのがブレーキ。コントローラブルである事の方が重要だと思う。
特にキャリパーブレーキの制動力不足を感じる事は無い。むしろ近年のデュラ・キャリパーブレーキは効き過ぎるくらいだ。
ブレーキの効きは、タイヤのグリップ力以上にはならない。雨天の制動力に魅力はあるが、それも路面μが低くなってしまうので半減だ。特に下りなら尚更。
ロードでのディスクブレーキは、特に選手側が欲しいと思ってない事が、今ひとつなんですよ。
メーカー側が買わせたいと言う思惑がミエミエな所が胡散臭い。
MTBやシクロでは、ディスクブレーキの方が遥かに有利だし、選手側もディスクブレーキに積極的にしたいと思っているが、ロードではそうではない。
戦略的にキャリパーブレーキの方が有利と見て取れる事はしばしばで、選手側も積極的にしたいとも言ってない。
当然ながら、ディスクブレーキ車なら、ほとんどホイールは新たに買わされるし、規格も今ひとつ統一されてないのも気掛かり。ホイールなどを考えると、完成車ベースになりがちでメーカーが儲かる方向だ。どう考えてもメーカーの思惑としか思えない。
メーカー側の思惑より、選手側の要望でなるなら大歓迎ですよ、ディスクブレーキも。