ビアンキ。

はじめに言っておこう。1998年頃まで、レパルココルサのマシンが欲しかったです。多分1番か2番目に…。

ビアンキ。いやレパルココルサか。ビアンキとレパルココルサは違うと言わなければいけない。
今回はそんな、ビアンキいやレパルココルサのお話し。
私は、インドゥライン派だったが、峠のハゲもとい峠の小悪魔、海賊パンターニはカッコ良かったですね〜〜。
この、ハゲ〜〜(笑)いや、パンターニの愛機は、レパルココルサだった。当時は超一流なクライマー系フレームだった。

今はと言えば、残念だが、右も左もわから無い素人さん相手のマシンだろう。そして何故か?お強い方たちにはウケが悪いし、実業団上位でのシェアは皆無だ。
今時な人が、パンターニが乗るバイクだから買うなんて無いでしょうが、その昔はパンターニが乗るから買う!は当たり前のような事だった。
パンターニが稀代のクライマーだったので、クライマーが好むバイクだったし、お強い方も沢山乗るバイクだった。

ビアンキ=レパルココルサ=イタリア製って構図でしたね〜。当時は。

ビアンキと言えば、アルミ。スチール製より軽量のアルミフレームが売りだった。
丁度、素材変革の時期だった。クロモリ(スチール)に変わる素材を皆探していた。カーボン、チタン(タイタニウム)、マグネシウム、そして、アルミ(アロイ)だ。

カーボンは、TVTやLOOK、Colnago 等がやってはいたが、まだまだって感じで、その間隙を突いてアルミフレームが勢いつく。

特にビアンキは、超軽量アルミフレームに流れ着いた。
人気絶大なパンターニのチカラを持ってして、高性能、ハイエンドアルミフレームにまい進してしまう。

パンターニ=ビアンキのアルミ。この図式になる。

気が触れたか?と思うほどの、パンターニスペシャルな軽量アルミフレームを作ったりして…。

ところが…パンターニは絶頂期にドーピングであっさり表舞台から姿を消す。

これが一つ誤算だった。

インドゥライン亡き後(笑)、時代を築くバスだったパンターニ…。あっさり消滅。

次の時代に来たのが、機材オタクのドイツ人デブと病気明けのアメリカ人。そして新興メーカー達だった。

アメリカンな会社のトレックと、機材オタクの物欲を満たすジャイアント。これらのメーカーがこぞって高性能でハイエンドなのは、カーボンだと押しまくった!
そしてアルミなんぞ低価格なミドルレンジ以下に押しやってしまう。

ビアンキは手間暇掛けたアルミフレームの地位を捨て去ることが出来なかった故に、カーボンフレームと同額以上のアルミフレームを採用し続ける。

アルミに特化したビアンキは、気がつくと2周回遅れほどになってしまった。

稼ぎ頭のアルミは価格が暴落。プロツアーでも稼ぎ頭は不在。
ここで、カーボンフレームに移行すれば良かったが、レパルココルサには作る職人はいなかったし、必要な投資はしていなかった。ならば、ピナレロのように外部に委託すれば良かったが、レパルココルサのプライドが許さなかったのか、ただただ疲弊して行く。

そして、転換期が訪れる。

名前はあったというか、名前しか残らなかった。ビアンキと言うネームバリューはあった。
そこで、ネームバリューを利用し、低価格帯のみに絞り数を売る戦略に出る。

ロードからしたら、ゴミ価格帯。しかしママチャリからしたら高価格帯な7〜8万円前後の完成車に特化しおしゃれ感を出して売り始めた。
ロードに特化した店舗ではなく、量販店やホームセンターやスーパーの自転車売り場など、見境なく売るようになる。

ブランドは完全に崩れるはな、そんなことすれば。パンターニの栄光を知っている人からすれば、ビアンキは三流に落ちた!と思うだろう。老舗が見境なく低価格勝負して来たらプレミアム感は無くなる。

そして、高性能なロード専用機は、アルミの時代遅れなマシンしか無く、開発さえしなくなり、ロードを売るハイエンドなお店からは、総スカンを食らう。当たり前だ、安物のママチャリに毛が生えたような自転車は沢山新型を出すのに、戦闘力が高いマシンは完全に忘れてしまった。
この頃、丁度マウンテンやサス付きが流行り、ビアンキもおしゃれな街乗りマウンテンとか、その場しのぎのブレまくりな自転車ばかりだった。
ロード専門店やハイエンドなお客達など眼中にない動きだ。

ところが…ロードが普通に売れ始める。ニワカに活気出す。

そこで、その場しのぎなビアンキさんは、またブレまくり、突如ロードに目覚めると、中華パワーでカーボンフレームを採用する。あれだけ嫌がったカーボンをあっさりと中華で…。まぁブレまくりなイマイチなフレームだった。

しかし…あの惨状を忘れては居ない。裏切られたロード専門店がまたブレまくりなビアンキをやるか?高性能でイタリア製ならまだしもだ。

やらないよね〜普通。販路がないんですよ…ビアンキさんの。流石にカーボンロードフレーム。それなりなお値段はする。量販店では売れるはずのない価格帯…。

仕方なく、直営店を出し売るようになる。


パンターニの栄光も過去から乗り継いだ人も居ない市場で売るには、低価格帯でかつ惨状を知らない初心者向けにとなる。

ブランド力を一度捨てたビアンキ、一生懸命イタリア感を出したり、チェレステはおしゃれで可愛い感を出すのに背一杯なのが痛い。
それを知らない、つい最近乗り始めた人にはいいが、過去を知る人からしたら、生暖かく薄ら笑いで見守っている。

現在は、良くも悪くもビアンキと言うネームだけの節操ないメーカーです。

私から言わせたら、どのツラ下げてカーボンフレームを売る!ですね…。

歴史あるメーカーだった。だったです。一度途切れた確実に。120年の歴史あるメーカーではない。あの惨状を忘れては居ないですよ。少なくとも私は。