MAVIC 

私の知る限りでは、2005年くらいまでは、まだ総合パーツメーカーの色があった。

当時というか、乗り始めた頃の憧れのホイールは、MAVIC Ksyrium SSC SLだったし、強い人は皆履いていた。(その昔の憧れは、スピナジーREV-Xでしたが…。)
ともかく、ホイールと言えばMAVIC と言って構わないくらい。


その頃、まだブレーキキャリパーは普通に売っていた。それなりに軽量(気が触れた超軽量ではなく)で癖無く使えるブレーキキャリパーだった。

そんなMAVIC と言えば、ZAPじゃないだろうか?(笑 何故そんな狭い所を言う!)
オンセでも使っていた。世界初?の市販電動コンポ。
1993年には登場していた。現物を見て、なおかつ使っているところを見たって人は、今となっては化石的な人しか居ない微妙なコンポ。
まだ使っている人が居たので、ギリギリ見れて触れたのは、ラッキーだった。
色々言われているシステムだったが、実際は?まあまあ使える(笑)システムだった。誤作動は多いがなんとか走れるレベルでした。やっぱり一番問題は電池の持ちと重量増でした。

誤作動は、電波もありますが電源供給の問題もあったと思う。そして貧弱な電源供給でしたから、電光石火のシフトチェンジとは言えず、モッサリとした動きでした。この辺りも電動にする意味が無かったかと思います。

誤作動が多かったのは確かで、この失敗があったからこそ、シマノは有線にしたと言って過言ではない。シマノなら無線にすることも十分出来たと思う。 
ZAP は当然!アナログ通信!まぁ当時はサイコンすらアナログ通信で周りのデータを拾う混信は当たり前な時代だったが、余りにも金額が高く、流通量が少なかったので、そこまで問題にならなかったと思う。今の様に周りにDi2 だらけの状態だったらと思うと、恐ろしい(笑)

と、気が触れたコンポを作り会社を傾けることも厭わない会社だ(笑)

一時期はアパレルも手放しホイール1本てした。
それを可能にしたのが、キシリだった。プロのほとんどが履いていたホイールだったと言えばどれほどか?とわかる。

ちょうどその頃奇跡なホイール。究極の回転体である、iOが登場する。1996年だ。トラック界隈では、一時期ワンメイク化していたホイール。それしか規定で使えないのではないか?と思えたくらい(笑)
フロントはiOで後ろはコメットかギブリにLOOKのフレームが長い事トラックでは君臨していた。
当時バトンホイールと言えば、HED3かコリマ3本か4本、微妙なバトン?でREV-Xの8本、そこに5本のiOが登場する。(一様MAVIC も3本バトンはあった。)
特にコリマ社は、ヘリコプターのローターを作るメーカー。あの手の形状は得意としているはずだが…iOはそれすら凌駕した。

今ならそれこそコンピュータ解析や風洞実験を重ねて作りあらゆるホイールを凌駕することも可能で有ろうが、その昔はそんなもんなど無く、なんとなく(笑 申し訳ない)作ったホイールが、iOリオが登場するまでモデルチェンジ無く最強だったのは奇跡です。(市販品では無いがiOオリンピックモデルと言うのが存在しているが、リオに近い)

iOは実はロードモデルも存在すると言うか、していた。クイック仕様でブレーキ面もあるが、販売年数が短く今はほんと見ない。そんな感じなのでトラックモデルを普通にロード(TT)で使う事は多々ある。ロードモデルが出る前から使っている。もちろん推奨はしないが、普通にブレーキをかけても平気ですし、実際にトラックモデルをロード(TT)で使用している人も多い。

このホイール、どうなんだと言うと、恐ろしく直進しようとするホイール。曲がろうとしない(笑)
直線番長とは、このホイールの事を言う。
そして不思議なのだが、風切り音がしない。コリマやHEDは凄い風切り音がする。ゴウゴウうるさいが、iOだけは違った。

確かに無風状態で直線なら、恐ろしくスピードが伸びる。速いとにかく伸びる。とにかく50km/h以上では無敵だと思うが、30km/h以下では微妙なホイール。
欠点は、横風には弱い。ほんとに弱い。バトンホイールは横風には弱いのだが、iOはほんとに弱い。80mmとかそんな比では無い。通常使用が室内での使用を考えているので、まあ仕方がないと言えば仕方無い。お外で使おうなんてアホな事するんじゃね〜〜よと言わんばかり。まぁその前に50km/h以上出せるのか?オマエら的なホイールだし、怖くてゆっくり走るのなら全く不用で扱いにくいホイール。

恐ろしく直進しようとするので、微妙なラインの修正は難しい。この辺りも横風に弱い原因かと思う。狙ったラインに乗れば良いのだが…。まぁ室内板張りで使うのには全く困らないので用途は違うと言えば違うが…。

後はお値段が高い、強気な販売をしている。前後セットの値段か?と思うほどの売価。いや仮に前後セットでも高い(笑)そしてフロントしか存在しません。(リヤ用ってのもテストタイプではあるが、販売されてない)
今でこそ、iO似なホイールが多々ありますが、結局似たホイールになってしまっている。

話は戻ってKsyriumって、凄く斬新なアルミリムの作り方だった。リムの輪を作るのに、溶接して切削すると言う技術を開発し特許を取って独占してしまった。それ以前は繋ぎ目がちゃんと有り、ステッカーなどで隠していた。なので、他メーカーが中々Ksyriumを超えられなかった為、MAVIC は独占できた。
一時はKsyriumの重さが、全てのホイールのベンチマークだったので、テキトーに重さを設定していたと思えるほど公表値と実測値に乖離があった。(もちろん実測の方が重い 笑)あのホイールがこの重量なら、ウチのは少し軽めにとかね(笑)
勘に依る所は流石だ。

やりたい放題だったと言えるが…。

ところが、それがMAVICの首を絞める。
アルミでは、中々Ksyriumを超えられないなら、特許に抵触しないカーボンでと、他メーカーは次々とカーボン化を果たし、急速にカーボン化が進む。
アルミ製は工作機械の投資が必要でそうやすやすと参入できなかったが、カーボン製はそうではない。頑張りゃ手作業でも出来る。よって小さな工場でも出来るようになると、MAVIC一社の独占が脆くも崩れる。

もちろんMAVICにもありましたよ、コスカボが…ただ当時は鉄下駄と言われるほどの重量級。他メーカーのカーボンと比べてるまでも無く…。あくまでKsyrium1本足打法だったが…。

軽量でリム高があるカーボンホイールがプロツアーで重宝されると、MAVIC のプロツアーでの浮沈化は避けられず。
そうなるとKsyriumも浮沈化してしまう。

となれば、MAVIC もカーボンで高性能なホイールをとなりますが、作れなかったと思う。作れていたらコスカボが鉄下駄にはなりません。
気がついた時には、他メーカーから周回遅れになっていた。(苦笑)
そこで、Lightweight を買収。そして瓜二つのULTIMATEが出来、コスカボSLRが出来た。あのカーボンスポークはLightweight そのものだと言って過言ではない。特にULTIMATEは、Lightweight とは双子です。

ようやくLightweightのチカラを借りてなんとか、真のカーボン化を果たす。MAVIC は案外残念なメーカーだと思う。まぁ同じ様にアルミにしがみついて没落したビアンキも同じだが…。

だが、時折神が降りて来る。iOやKsyrium見たいなのを作って来やがる(笑)不思議なメーカーです。


因みに、ベアリングがゴミ以下なのはMAVIC の代名詞だろう。フランスの会社製のゴミベアリングなんだが、やはりベアリングは日本製だと思って良い。交換するだけで別物のホイールになります。 

何だかんだバカにしているが、コメットなんてディスクホイール買うくらいなんで〜〜買いもしないのにバカにはしません(笑)

次回はビアンキかなぁ(笑) なぜ強い人はビアンキに乗らないか? 裏切りの黒歴史ですね。