大野和士(指揮)

パトリシア・コパチンスカヤ(ヴァイオリン)

 

シェーンベルク/ヴァイオリン協奏曲

ブルックナー/交響曲第6番

 
大好きなブルックナーの6番目当てで1回券買ったが、コパチンスカヤのシェーンベルクにうなった
 
初めてLB席に座ったら、いつもの2階センターに比べるとステレオの左のスピーカーだけボリュームを上げたようだったが、ステージははるかに良く見えた
ほとんどコパチンスカヤの背中を見ていたが、第3楽章で一度後ろを振り返った
身体を大きく動かしながらジャズメンが良くやるように調子を取って、踊るように超絶技巧を聴かせてくれた
その様は小悪魔的言うか動物的と言うか
演奏困難で知られる曲を、いともたやすく表現力豊かに、そして楽し気に弾きこなしていた

この日は東響時代から顔見知りの、わが娘どもより若い、ホルニスト鈴木優ちゃんが都響入団「初乗り」だった
ちょうど自分の席からは彼女を間近に真横から見ることになったので、父親目線でひたすらその運指を注視してしまった
また、コントラバスが正面だったので、珍しくそのボウイングも観察
 
それまで苦手としていたブルックナーを聴くようになったのは、30年余り前のサンフランシスコ勤務時代に、ブロムシュテットがこの曲を振ったコンサートに行って以来で(昨年彼がN響で9番を振った時に終演後その話をしたら微笑んでいた)、最も好きな曲である
直近では昨年4月に上岡/新日本フィルで聴いている
 
第2楽章、終楽章を聴いていると、いつもの通り9番よりもこちらが天国への道にふさわしいのではないかと思ってしまう
 
しかし、前半があまりに強烈だったせいもあってか、この日のブルックナーは「丁寧で無難な」演奏で、いま一つ何を訴えたいのかががはっきりしないように思われた
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
藤田淳平(指揮)
遠藤健作(ヴァイオリン)
 
チャイコフスキー/『エフゲニー・オネーギン』よりポロネーズ 
            ヴァイオリン協奏曲ニ長調 
            交響曲第6番『悲愴』
(アンコール     交響曲第5番第4楽章)
 
新年最初のオーケストラコンサートは団長の久川さんに御招待いただいて、顔見知りが多くなった交響楽団たんぽぽのオール・チャイコフスキー・プログラム
 
レベルの高いアマオケで、今回はほぼ満席状態
 
毎回何かしらの凝った演出があるが、今回は最初と最後がバンダだった
 
いきなりバルコニー席からブラスの音が
久川さんが「集めるのが大変だった」というバンダ
まずまずの滑り出し
 
コンチェルトのソリストはコンマスの遠藤さん
読響の遠藤真理さんのお兄さんで、このオケでコンマスとして2度ドヴォコンを兄妹共演したこともある
予想以上(失礼)の素晴らしい演奏
第2楽章でのクラリネットトップが秀逸、フルートも良かった
ソリストアンコールのゴッド・セイヴ・ザ・クイーンの原曲(?)も良かった
 
悲愴は結構なアゴーギク
ここでもクラリネットトップの出来が素晴らしく、フルート、ファゴット、チェロパートも良かった
ホルンセクションも踏みとどまってブラス全体、ティンパニも良く、アンサンブルも美しかった
 
アンコールはなんと交響曲第5番の第4楽章(新日本フィルで上岡がアンコールにベト4の第4楽章を振ったのを思い出した、このオーケストラは過去に5番を演っているが)
そしてまさかのバンダ!
 
いつもの通り指揮の藤田、コンマス遠藤ともに目立つ衣装だった(笑)
 
 
 
 
 
實川風、黒岩航紀、小林海都、務川慧悟(ピアノ)
 

リスト/ピアノ協奏曲第1番

  黒岩 航紀(オーケストラパート 務川慧悟)                    

バルトーク:ピアノ協奏曲

  小林海都(オーケストラパート 實川 風)           

サン=サーンス:ピアノ協奏曲第5番

 務川慧悟(オーケストラパート 小林海都)     

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番

 實川風(オーケストラパート 黒岩航紀)               

 
連日東京文化会館小ホールで気鋭の若手達の演奏を聴く
 
この日は4人のピアニストによる“2台ピアノ協奏曲の午後”
 
昨年もこのメンバーで行ったようだが、そもそも2台のピアノによるコンサートは珍しいし、まして協奏曲などめったにない
以前ラベック姉妹がストラヴィンスキーあたりをやっていたのが記憶にあるぐらいだ
 
座席の位置が通路後ろ2列目真ん中だったので両者が良く見え、ソロ・パートとオケ・パートの掛け合いが良くわかり、協奏曲の成り立ちを分析することができたように思えた
あるいはフルオケとの場合よりも克明に認識できたかもしれない
向き合っているだけなのにぴったり息があって、それぞれの曲がまるでそもそも2台のピアノのためにかかれたように聴こえた
黒岩がトークで言っていたように、スタインウェイ(ソロ・パート)とベーゼンドルファー(オケ・パート)、違った性格のピアノ2台だからこそ成り立つということもあるだろう
場合によってはオケ・パートの方が難しいと思われた
 
席のせいもあり2台の音がはっきりと聴き分けられるので、集中するために途中から目をつむって聴く
矛盾するようだが、ピアノはリリカルな楽器であることを再認識した
 
リストの第1楽章で黒岩の弦が切れたが、何事もなかったように弾き続けた(サイン会の時黒岩と話したが「分かりました?」と言っていた)
このため、バルトークの前に10分間ほど中断してトークタイム
黒岩はトークが上手く、務川に浜松ピアノコンクールに出場したときのことなどの話を引き出していた
「オーケストラとのコンサートの時は、リハが1回か2回なので、オーケストラパートを良く読み込みます、僕は移動中もずっと小型スコアを見ているので、周りの人は変な奴と思ってるでしょうね」というのが印象に残った
 
「エジプト風」の愛称を持つサンサーンスの5番は大好きな曲
前半にもまして迫力ある演奏
そして最後のプロコフィエフは圧巻だった
「今日はヘヴィなプログラムなので」と予告された通りアンコールはなし

素晴らしい演奏だったので、少し話したいとサイン会に並んだら、4人ともひとりひとりに話しかける「神対応」だったため(主催者は途中からさかんに「サインだけにしてください」と悲鳴を上げていたが)、ものすごく長い時間がかかった
 
演奏のみならずその姿勢も素晴らしく、これからが楽しみな若き演奏家たちだ