田中愛実ちゃんが出演するというので、水中ランナーの「追想と積木」を観に初めて八幡山ワーサルシアターへ
引き続き「いつかの風景」も観る
 
どちらも「記憶」がテーマで、ある意味対になっていると言っていい
 
HPでの紹介は
【追想と積木】
一人の男性が佇んでいる。
とある風景を懐かしみながら。
一人の女性が佇んでいる。
目の前の忘却を眺めながら。
思い出したいものと、思い出したくないもの。
時間を共有した者たちが記憶を辿る。
忘却の後、男は見守る。

【いつかの風景】
一人の女性が佇んでいる。
風化する風景を眺めながら。
回想に想いを馳せる。
一人の男性が佇んでいる。
決意の元に未来を眺めながら。
抜け落ちていくものと、色濃く残ってしまうもの。
共に共有した者と共有出来なかった者。
想いを馳せ、女性は佇む。

「追想と積木」は、過去と現在をリンクさせながらオープニングに回帰するプロットがなかなか良く出来ていた
細部まで作り込まれた舞台、メタファーになっているジェンガ、微妙な調光、最小限だが時計の音が象徴的な音響とも相まって、また暮になっていい拾い物をしたと思った
 
ところが「いつかの風景」はそれを大きく超えてしまった
より密度が濃くメリハリがついて、そのためにエンディングの感動が大きかった
周囲には涙腺崩壊の女性が沢山いた
両作品とも舞台上で異なった時を演じ、時空間をうまく表していたが、「追想」が比較的時点の切り替えがはっきりしているのに対し、「いつか」はそれを絶妙なライティングのもとで過去と現在が混じり合った形で演じ、その融合が複雑であるにも関わらず自然な流れを作っていた
これもセットは固定で音響は最小限だったが、逆にそれが生きている気がした
 
記憶に残った台詞のいくつか
「記憶ってすごく暖かいけど残酷だ」
「記憶がこぼれる」
「忘れることは悪いことじゃない(いいことだ)」
「忘れるって辛いね」
「それぞれの風景がある」
「風景が消えていく」
 
どちらにおいても数組のカップルの話を上手く舞台進行に使っていた
 
タイトルはいずれも最近多い奇をてらったものではなく、観て納得がいくものだった
 
各キャストの表情も良かった