ジョナサン・ノット(指揮)
ヒンリッヒ・アルパース(ピアノ)
 
ブラームス/ピアノ協奏曲第2番
(ソリストアンコール ブラームス/間奏曲第1番)
ラフマニノフ/交響曲第2番
 
個人的にはブラームスのピアノ協奏曲は1番の方が好きで、東響でも6月定期で聴いたところであるが、4楽章からなる「ピアノ交響曲」2番は確かに一時代を画した作品であり、好き嫌いを越えてレスペクトする曲である
昨年は山下一史/河村尚子/千葉響で聴いた
 
第1楽章はちょっとデッドな感じがしたが、その後は良く響くようになりテクニックも披露してくれた
ノットとのアイコンタクトも多く、オケと一体化した演奏と言ってよかった
「協奏」ととらえるか「交響」のパートととらえるかは人それぞれだろうが
第3楽章での伊藤文嗣のチェロが朗々と豊かに響き素晴らしかった
荒木奏美のオーボエも相変わらず良く歌っていた
 
アルパースはアンコールで大好きなブラームスの間奏曲をやってくれた
終演後にそう話して「最高の間奏曲だった」と言ったら、「そう、インターメッゾなんだ!これで少なくともひとりは私のやったことを評価してくれて安心した、後があの曲だから静かな曲をと思って選んだんだ」と喜ばれた
 
ラフマニノフの2番は昔から苦手である
ひとは究極のロマンティシズムなどというが、やたらと騒々しくて甘く、無意味な繰り返しが多くて長いこの曲は好きにはなれない(休憩時間に隣席の方がさるピアニストが「ラフマニノフの曲は無駄な音が多い」と言っていたという言葉に強く共感したのだった)
 
しかし今日の演奏はそれを超越した
そもそもノットがこの曲を振るとは思ってもみなかった
帰路なぜ集中が途切れずあっと言う間の1時間あまりだったのかを考えていた
どうしても艶っぽくなりすぎる(ゆえに嫌いな)この曲を、ノットは甘さ控えめで清潔感すら感じさせつつ凄い音圧で聴かせてくれた
けったるいなどという暇なくスリリングにぐんぐん進み、油断しているとパンチを食らう
 
ノットとの幸せな日月を送る東響はノットの魔法で「未体験ゾーン」に入りまた進化した感があり、合奏精度が極めて高かった
弦と管の絡みが美しかったが、木管群は出色の出来
エマニュエル・ヌヴーのクラリネットが素晴らしく、最上峰行のイングリッシュホルンも美しかった
 
またしてものソロカーテンコールでノットが浴びた喝采は過去最大であったかもしれない
 
しかし、この演奏だから認めたのであって、ラフマニノフ自体は・・・好きにはなれんなぁ