私達の作業は、始めから困難を極めた。



 まずはじめに私達の前に立ちはだかったのは、やはり 「自然」 であった。



 『 ホコリ 』



 空気中のチリやクズ、毛髪やダニなどが集まって溜まったものである。


 それが私達2人の前に悠然とその姿を現したのだ。




 私は愕然とした。



 ・・・くそ!  やはり無理なのか!?


 やはりこの挑戦はあまりにも無謀だったのか・・・!!?




 なかば諦めかけたその時、ラツィオがまたも画期的なアイデアを出す。




   「 掃除機だ 」




 私は驚いた。



 この若干28歳の若者の発想力に無限の可能性を感じたのだ。




 彼がここで用いたのは、モーペルトゥイの 『最小作用の原理』 だった。 

 その意味で言えば、「掃除機」 という選択肢はこれ以上に無い最良の選択と言えよう。



 何よりも恐ろしいのは、彼がその事を 「理論」 ではなく 「本能」 で理解していることであった。




   ・・・・ 天才 ・・・・




 従来の考えに支配されない自由な発想・・・そして機転!!



 私は震える手を押さえつつ、この先、物理学会に大きな衝撃を与えるであろうこの “怪物” の誕生に、興奮と少しの嫉妬を覚えながら作業を進めた・・・。






         つづく