世の中には、「理論上では可能だが、実現するのは不可能だ」 というような事が結構ある。


 例えば、タイムマシーンとか、光速宇宙船とか。





 そして、「私の部屋の片付け」 もそんな夢物語の一つと言えるだろう。



 これは、そんな夢物語に挑んだ男達の闘いの物語である。。。






 ある日、友人のラツィオ(仮)が私に言った。


 「バップの部屋を片付けよう!」


 私は、彼の言葉に耳を疑った。


 バカな! そんな事が出来るものかっ!!

 一体、何年・・・いや、何十年かかると思ってるんだ!?


 いやいや、いくら時間をかけたところで実現できるような問題じゃない!!



 そんな 「雲を掴むような話」 が本当に可能だと思うのか?

 それは 「机上の空論」 にすぎない!!




 そう誰もが考える程、当時の私の部屋は汚く、部屋の容積とそこに収めるべき物質の体積の割合のバランスが全く取れていない状況であった。




 しかし、そこでラツィオの出した提案は驚くべきものであった。




   「 物を捨てる 」



 これは、当時の学者達の誰もが考え付かないような大胆な作戦であった。


 この作戦を簡単に説明するのであれば、


 まず、現在、物で埋まっているこの部屋の元々の収納スペース(e)(押入れ) に、現在収められている物質(i) を、 「ゴミ」 として処理する。


 そして、その空間をもう一度フリースペースとする。


 それによって生み出されたフリースペースに現在私の部屋を占拠している有り余る物質を収めることによって、私の部屋のスペースを (0) にする。


 という、オイラーの公式  『 e^iπ+1=0 』  を使った斬新な考えであった。




 「イケるかもしれない・・・!」



 そう思った私は、彼と共に私の部屋を片付ける決心をした。




 2009年、4月の終わりの事であった・・・。





             つづく