昨日、電車に乗った。
ドアの横のあの隅っこに陣取っていると、周りを小学3,4年生の女の子十数人に取り囲まれた。
うう・・・、なんか気まずい・・・。
心なしか、周りの空気が “やわらかく” 感じる。
決して不快なわけではないのだが、何て言うんだろ・・・
『真綿で首を絞められてく』 そんな感じだ。
この “ピュアな空気” を私の肺が受け付けていないのだ。
夜10時半の混雑した山手線の車内で、私は彼女等に触れぬよう必死に身を縮めていた。
断っておくが、私は別に 『ロリコン』 ではない。
いや、厳密に言えば 『ロリコン』 だが、いわゆるそんな本気の 『真性のロリコン』 ではない。
なので無論、この状況に興奮などはしていない。
ただ、あまりに彼女達が無邪気で穢れを知らない様だったので、
『 俺の吐き出す汚れきった息が彼女達のナイーブ過ぎる柔肌に触れてしまっては大変だ・・・。
俺にその気が無くとも、彼女達の “剥きたての玉子” のような敏感肌にとっては、きっと “サンタナ(メキシコに吹く熱風)” とでも言うような灼熱吐息となって襲い掛かり、たちまちその肌を無残に焼きただれさせてしまうかもしれない・・・!
または、長年の不摂生な生活で俺の体内に培養された未知のウィルスが、まだ免疫力の無いその白い淡雪のようなシルクプロテイン配合の肌に侵入し、突如、謎の緑色の斑点を浮かび上がらせてしまうかもしれない・・・!!
次々と血を吐いて倒れていく少女達・・・!
血の “赤”・・・、“白” い肌・・・、“緑” の斑点・・・
・・・・悲劇のクリスマス・・・・
そんな未曾有のバイオハザードを、この年末の山手線車内で起こすわけには絶対にいかない・・・・ 絶対にぃっっ!!!』
などと思いながら、なるべく呼吸を止めていたのだ。
こちらのそんな心境も知らず、周りでハシャぐ少女達。
そんな時、私の目に信じられないモノが映った。
「なっ・・・!! なにぃ!?
コ、コイツら・・・ 『マニキュア』 してやがるっっ!!」
私は、少女達に芽生え始めた小さな自意識に、筋違いな 「裏切り」 と身勝手な 「憤り」 を覚えつつ、その場で大きな息を吐くと足早に電車を降りるのであった・・・。