※同タイトル前記事
「ガールズオンザラン2nd 仮想9話その1~3」
をご覧になってからお読みください
彼女たちがステージに登場しても曲は流れなかった。
4人は並んでこちらを向くとまず深々と頭を下げた。
そして頭を上げ、
「この度は、私達のことでご心配とご迷惑をおかけしまして大変申し訳ございませんでした」
もう一度頭を深々と下げる。
「もうご存知だとは思いますが、メンバーのぺぺは契約解除という形で脱退いたしました。」
モンスター娘のリーターのポポは神妙な面持ちで語り続ける。
「メンバー、スタッフとも何度も話し合いをし、今後のことを検討してまいりました」
ほかのメンバー、パパ、ピピ、ププはうつむいているが、既に目の周りは赤く、泣いているのがわかる。
「4人で一からやり直そうという意見もありましたが、このような状態でファンの皆様の前に出ることが、
すでにファンの皆さまへの期待を裏切っているのではないかと思い、活動を続けることが困難だという結論に至りました」
ポポはここで一息入れた。これから辛い一言を言わなくてはならない。
モンスター娘のファンたちは一斉に沸く。辞めるなーとかそれ以上言わないでくれー、とか。。
「ですので、私たちモンスター娘は、本日この場を持ちまして解散します。応援してくださったファンの皆様、大変申し訳ございません。そして今まで応援して頂きまして、本当にありがとうございました」
涙声で一気に言い切り、また全員で頭を下げた。
モンスター娘のファンからは悲哀の叫びが、そしてほかのファンもざわざわとしている。
早苗たちは、自分たちもああいう風に映っていたんだな、と思い複雑な気持ちで見ていた。
モンスター娘は結成当初から演者たちの間であまり評判は良くなかった。
売れるためなら何でもすると言って憚るとおり、犯罪と淫行以外のことは平気でやってのけ、ほかのグループのファンを掠め取ったりするのは日常茶飯事だった。
彼女達と物販をすると、ファンをみんな取られてしまう、とその後の物販をしないグループまでいた。
タガミはガルランを解散させるための手段として、彼女たちを利用した。
つまり、ガルランのファンを奪い、目標を達成できなように仕向けたのだ。
それに協力する代わりに彼女達をメジャーデビューさせることを約束し、タガミは目的を達成した。
モンスター娘はもともとそれなりの実力も人気もあった。
地道に活動していても、やがて自力でメジャーデビューを勝ち取れる素質もあった。
突然舞い込んできたタガミの話にポポは喜々として受入れたのだった。
だが、モンスター娘はまだ業界のルールを知らなかった。
そしてモンスター娘には問題児がいた。
それがぺぺである。
もともとそれほど頭が良いわけでなく、人との関わり方も決して感心できるものではない。
とにかく手段を選ばず、対バンのユニットとしょっちゅう揉め事を起こしていた。
「あのヲタが勝手にこっちに来ただけよ。あなた達の実力が足りないんじゃないの?」
これが常套句となっていた。
ようするに単純でおバカでったので考えて行動することができない性格だった。
そしてぺぺはメジャーデビューした後もポポやタガミから注意されていたにもかかわらずあるイベントの対バンアイドルのファンにちょっかいをかけ何人かを引っ張ってきた
だが、相手が悪かった。
その対バンアイドルはある有名芸人がプロデュース企画で立ち上げたユニットで、バックに大きな事務所がついていた。そしてその現場にはマネージャーもいて、事の一部始終を見ていた。
後日タガミと事務所が大慌てで謝罪をしてそれ以上の大事にはならなかったが、敵に回したのは事務所だけでなく、そのアイドルグループのファンもそうであった。
その一部の執拗なファンがなんとぺぺがファンの一人と同棲生活をしていることを突き詰め暴露した。
やりかたは非合法なものであったが、アイドルとして、事務所との契約違反を犯しており、本人も認めた為、事務所は契約を解除し、即日脱退させた。
それだけならまだ本人の不祥事で済むのだが、その同棲相手が同じメンバー、ポポ、ププの兄であった。
そしてその事実を二人はしっていて隠していた、ということが発覚した。
普通そこまで調べあげるの一部の素人では不可能であり、例の事務所が裏で手引きしていたという噂もある。
いずれにせよ、イメージの回復が難しいと判断した運営側はやむなくモンスター娘の解散を決定した。
メジャーデビュー後、5ヶ月にも満たないスピード解散であった。
この一件でタガミは失脚し、所属プロダクションを辞めた。
出演がすでに決まっていた今回のイベントで解散を報告し、今日歌うことも後日解散ライブを行う予定もない。アイドルグループとしては最悪に近い終焉を迎えた形になった。
早苗たちはその噂をルミから聞き、本当の目的であるガルラン2の予定より早く会場に入り、その様子を見ていた。自分たちを崩壊に追い込んだ原因の一端であったグループである。
いい印象はなくむしろ敵視していたが、自分たちと同じ境遇に立たされた彼女たちをみて、意趣返しの様な感情はなかった。モンスター娘のような実力が娘たちでも進めなくなる世界というものを感じていた。
モンスター娘は一人ずつ挨拶をしたあと、そのままステージを後にした。
「できればもっと綺麗におわってほしかったね」
ルミがそういった。
「私たちがどうこう言える立場じゃないけど、これも現実やから」
イツキが厳しく答える。
ステージはこのあと出演のグループが非常に出にくい雰囲気を打破するように熱のこもったステージを行い、そしていよいよガルランの出番となった。
「いよいよですね」
望は手に汗握るように肩に力が入っているようだった。
望はずっとカオルとプライベートで一緒にいたのでその思いはすべてわかっていた。
どれだけ厳しい練習を重ね、今日がどれほど大切な日かも。
早苗も仁美とはよく会っているのでその頑張りはわかっていた。
ステージは照明が落ち、アップテンポのドラムが流れてきた。
いよいよガルラン2の登場であった。