前回の記事では、私たちの「体」は自分の意思とは関係なく、勝手に動いているということを述べたが、さらにいうと勝手に動いているのは、私たちの思考も同じだ。
勝手に動いているということはつまり、コントロールが一切できないということでもあり、まさに自由意志がないということになる。
思考をコントロールできないという例は、次のような状況を考えてみるとわかりやすいかもしれない。
あなたはスーパーや飲食店などに入ったときに、店内にたまたま流れていた昔の曲を聴いて、当時付き合っていた恋人のことや、そのときに体験したことなどを思い出したことはないだろうか。
また、子供の頃に嗅いだ懐かしい匂いや久しぶりに訪れた場所などに触発されて、同じように過去の人物や当時の記憶がよみがえってきたことはないだろうか。
私たちの頭の中には、過去に経験したことが膨大な量の記憶として残っている。
お店に入る前は、頭の片隅にもなかったはずのことを、曲を聴いたら思い出した、その場所に行ったら思い出した、というときに自分の意志で思い出したわけではなく、頭の中に勝手に出てきたのではないだろうか。
さらに、忘れてしまって思い出そうとしても思い出せないことや、逆に考えないようにしようとしても考えてしまう、あのことが頭から離れない、などの経験は誰にでもあるのではないだろうか。
もし、あなたが3年間付き合っていた恋人に突然振られとしたら、次の日に自分の意志で、すぐに相手のことを忘れることはできるであろうか。
1週間、1ヶ月、1年と、時間が経つにつれ、気がついたらいつの間にか忘れていた、気がついたらあまり気にならなくなっていた、という感じではないだろうか。
「気がついたら」ということは、自分の意志で忘れたわけではないだろう。
人間は、最初に何かを思って考えてから行動に移すわけだ。
思考→行動という順序を辿るということ。
でも今、何を考えてどう思うか、それ自体を自分の意志で選ぶことができないということだ。
もし自分自身が、頭の中の思考回路を自由自在にコントロールできる脳の管理者であれば、自由意志があるといえるかもしれない。