9月最後の日、仙台では大きな虹が出ました。
見上げる空いっぱいに弧を描く虹を見たのは久しぶり。
忙しい日常に、虹が美しいものだということさえ忘れていました。

子供の頃、自転車に乗って虹のはじまりを探しにいったことがあります。
ペダルをこいでもこいでも逃げていく虹。
悔しくて、汗をかきながら必死にペダルをふみ、気づくと知らない街にいました。
見たことのない街、届かない虹。
急に心細くなった私は、自分の家のそばまで続いている川を見つけると、泣きそうになりながら川沿いの道を急いだ覚えがあります。
背後にある虹をときどき振り返りながら、後ろ髪引かれる思いにかられながら。
そうして何度目かに振り返ったとき、そこに虹はありませんでした。
そのとき、なぜか、自分が本当にほしいものは、手に入らないものなのだとうっすら思いました。
子供の頃のせつない思い出です。

当時は写真という便利な道具の使い方を知りませんでしたが、今は「あっ!虹!」と思ったらすぐにバッグから小さなデジカメを出してパチリ。
便利な世の中になりましたね。
でも、虹を追いかけたあの日のことは、写真以上に鮮明に心に焼き付いています。

これからは、そんな記憶に残したい瞬間も、ときどきあげちゃったりしたいと思います。

merino