これは現実逃避かなと思う。

若かりし頃の恋愛事情。
好きだった人を自分から
手放すという選択ができた謎の過去。
もう何年も前のことなのに
考える時間が増える今。
謎の現実逃避。

今更あり得ない状況を想像して
あの時しっかり話し合ってれば…って
無理なことに時間を使う。


いつか愛想つかれて嫌われていくのが
怖かったから。
服装や趣味が合わなかったから。
自分自身のやりたいことが途中で
選択肢もまだ沢山あった当時は
気づいてなかったから。
前の彼女と結婚するつもりでいた過去が
あったから。
いや、彼女でもなかったらしい。
無理だと思った。

妙な噂を聞いて捻くれてたから、
仕事先で彼が声を掛けてくれたのに
気づかないふりをした。

それより以前に、
私の仕事先に知らない女性が来た。
彼の車から降りてきた彼女は、
他のスタッフには目もくれず
私に直進してきた。
もちろんお目当ては私。
運転席にいた彼は入って来なかった。

職場を修羅場にするつもりかね?
って思った。
その手にはのらねーぞって思ってたのに、
求められたのは接客だけだった。
彼女は何かを言いたそうだったけど
何も言わなかった。

逆にそれが意味深で考えなくてもいいことを
考えなきゃいけなくなった。
それが彼女の?彼の?意図だとしたら大成功。

そこから彼が仕事先の女の子と
付き合ってるらしい話を人伝いに聞いた。
相手はお店に来た彼女だろうって
想像がついた。
実際は知らない。

私は付き合ってる方を信じた。
彼は何で俺のことを信じないの?って
言ってたらしい。
これも人伝い。
それもこれも本当の事は知らない。
本人に直接聞けば良かったこと。
あえてしなかったのは理由の分からない
ばかみたいなプライドと
若さゆえの勘違いした余裕。
別に彼じゃなくてもいい…。
冷静さもあったと思う。


その前から微妙な状態だった。
彼からは連絡がなくて音信不通になってた。
付き合ってた時は会う約束も不意な電話も
全部向こうからだった。
自分ばっかり連絡をしているのが嫌だと、
何考えてるか分からないって言われてた。
それでも私から連絡するのは不安だった。
結婚したいと思った前の女性が
彼の中で1番だったから。

ぎくしゃくしながらも
私とは別れないよと言った彼。
1番分かりやすく態度に出る、
1番好意が伝わる人だった。
順番を付けてほしくなかったのに
自分でもどっかに基準をおいて
無意識に順番をつけてる。
その時は面倒になってたことが
今はもったいないくらいに思える。
彼が連絡をしなくなれば当たり前のように
自然消滅。

車で追いかけてきてくれた時も
友達を通して会いに来てくれようとした時も
拒否したのはこっちだ。
気持ちが変わったら連絡してって
聞こえてた。
その時には彼の携帯番号の登録は消してた。
友達に聞けば分かったことだけど。
数年後、私の携帯番号も変えた。
選択肢があるって勘違いしてると
残酷なことをする。
今の私にとって。

SNSで繋がるとか皆無。
お店のアカウト投稿で彼の写真を
見つけたことがある。
昔のまま過ぎて、変わってなかった。


彼は自分の名前が嫌いだった。
私の父親と同じ名前の響きだった。
私の夫がしている会社名は
彼の仕事先の名前と同じだ。
だからSNSの検索で拾ってしまったんだ。
それまで何も頭になかったのに。
一緒だったことを思い出した。

夫の会社名を見ても何も思わなかったのに。
ずっとそれでここまできてたのに…。
SNSの便利と厄介が同時に来たおかげで
頭の中で繋げてしまった。
あっ、そうだったって。


夫の家のことに時間を費やしてる今。
そのままにされた事業問題と相続問題は
何も解決できてない。
不満とイライラのループ。
夫家族の嫌なところをうんざりしながら
対応する。
似たクセや習慣をみてるとうんざりする。
私は散骨がいいなって会う度に思う。
どえらい脱線。

こんな事まで考える状況で見てしまったから、
過去を遡ってしまうことになった。
いやいや、その彼も最悪なところは
あった。私にもある。

今に集中して満足することが
その時も出来てなかったと思う。
現実は厳しい。
過去を見ながらキラキラさせて
今の逃避行。