生活保護者は213万人で増加傾向…厚労省調査
厚生労働省は11月28日、生活保護法に基づく保護を受けている世帯と保護を受けていた世帯について、2..........≪続きを読む≫
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総選挙の足音が近づくにつれて各種政策論争も盛んになっていますが、
各党共に総論賛成という点ではほぼ一致しているのが生活保護受給者の支給切り下げ問題です。
その中でも医療費の一部自己負担化やジェネリック義務づけなど医療領域でも幾つかの課題が挙げられていますが、実際にその財政を負担している各自治体首長においても賛成多数というのがこちらの調査結果です。
医療費自己負担に賛成半数 生活保護で首長意識調査(2012年11月23日47ニュース)
生活保護受給者の医療費について、都道府県庁所在地と政令指定都市の首長の57%が一部自己負担の導入に賛成していることが22日、共同通信のアンケートで分かった。ジェネリック医薬品(後発薬)使用の原則化を求める意見は63%に上った。
過去最多の更新が続く生活保護費は2012年度当初予算ベースで約3兆7千億円。うち半分を医療費(医療扶助)が占めており、無料で受診できる現状の見直しを求める声が地方自治の現場に根強いことが浮き彫りになった。民主、自民両党は制度見直しを検討中だが主張に隔たりもあり、衆院選の争点に浮上する可能性がありそうだ。
もちろん財政も逼迫している中でお金を出す側である首長がこういうのは極めて当然とも言えますし、今までマスコミ等の言論に押されて遠慮していた部分をまとめて精算しようという気になっているのかも知れませんが、一方で医療を行う側の医師と言えばかつては金銭的負担の心配をせず好きな医療が行え、厳しい保険のチェックも入らない生保患者を歓迎していた面もあったと言われていました。
ところがこちらも近年の風向きの変化が影響しているのでしょうか、現場医師の間でも自己負担化やむなしという論調が大きく広がってきているのですから孤高の反対路線を貫く日医のスタンスが余計に際立つというものですよね。
生活保護受給者の医療費無料は不公平か 医師の7割以上が医療費の一部負担に賛成
生活保護受給者の医療費の多くが、医療扶助で賄われている。医療費の一部負担を導入するべきとの意見もあるが、賛否両論あるようだ。
生活保護受給者の多くが国民健康保険の被保険者から除外されており、その医療費の全額が医療扶助で負担されている。その1人当たりの医療費についてみると、市町村国保の被保険者などと比べて、生活保護受給者のほうが高く、適正化のための取り組みを強化すべきだという声が上がっている。
そんな中、生活保護の医療扶助の悪用で逮捕者も出ている。大阪市は今年7月、生活保護受給者の処方箋を複製して、複数の薬局から向精神薬を不正に入手した罪で、有印私文書偽造並びに詐欺罪で逮捕者が出たことを明らかにした。このケースでは、生活保護受給者が受け取った処方箋をカラーコピーし、複数の薬局に提出して、各薬局から向精神薬である「ハルシオン」などを入手していた。
このような現状について、生活保護受給者を実際に診察している医師は、どのように感じているのだろうか。
ケアネットが運営するサイトの会員医師1,000名を対象に、10月26日に実施した「生活保護受給者の医療扶助に関する意識調査」によると、医療費適正化のために生活保護の医療費の一部を受給者に負担させることをどう考えるか聞いたところ、全体の73.1%の医師が、医療費一部負担案に賛成した。
その理由として、「年金生活者や、働きながら保険料を納め医療費の一部負担をしている低所得者がいることを考えると、生活保護受給者のみ全て無料というのは不公平」などといった意見が寄せられた。
また「違った方法を考えるべき」と答えた医師は15.6%、「現状のままで良い」と答えた医師は11.3%だった。「現状のままで良い」と答えた医師は、「生活保護の本質まで変えるべきではない」「受給認定を厳格にすることで対応すべき」などの理由を上げたほか、「支払いができなければ病院の負担になるのが見えている」といった意見が寄せられた。
一方、三井辨雄厚生労働相は、生活保護受給者の医療費一部負担について、医療費の自己負担を導入すれば、必要な受診を抑制する恐れがあり、慎重な検討が必要と述べている。
生活保護受給者の医療費の一部負担については賛否両論あるが、不正が行われないような仕組みづくりが期待される。(情報提供:MONEYzine)
数の大小を問わなければ確かに賛否両論あるとは言え、実際には文字通りの反対意見というものはかなり少数派であって、反対するにしても「支払い拒否をされた場合に医療機関が損をかぶることになるから反対」といった意見も含まれているようです。
自己負担化に伴う窓口トラブルについて言えば、本来は窓口負担というものは保険者の行うべき業務を医療機関が代行しているというタテマエですから、この生保自己負担化に際しても医療機関の窓口では自己負担なし、しかし自治体側から支給する段階で自己負担分を差し引くという形にしておけば何らの問題もないはずですが、実際に自己負担化が成立すれば今後各地で自治体と交渉する必要が出てくるのでしょうか。
経営的な視点で言えば応召義務との絡みもあって多くの医師が失念していることですが、全ての医療機関が必ずしも生保受給者の受診を引き受けなければならないわけではなく、どうしても折り合いが悪ければ生保受給者の診療を行わなければよいだけのことで、これまた現場スタッフと施設の経営者側との間に話し合いの余地がありそうですよね。
とかく日医がその権益を代弁しているような経営者サイドの考え方と、現場スタッフの考え方とが異なっているということはどこの業界にも当然にあることですが、今の時代に医療の安定経営を行う上で欠かせないのが現場スタッフのマンパワーであるということを考える時、その大きなストレスとなっている要因は経営者側としても無視は出来ないだろうと言うことです。
内科医「生保患者のおかげで、辞めたい」(2012年11月22日YUCASEEmedia)
厚生労働省がまとめたところによると、生活保護受給者数は213万人(8月末時点)となった。医療費でも補助を受けることができるために、医療現場では勘違いした生活保護患者の存在を聞くことがある。そうした様子を現場の医師は辟易としているが、はてなブログにも医師と名乗る人物が「辞めたい」という心情を吐露している。
ブログによると、「生保患者診たくないんで、内科医辞める」「問題は彼らの受診行動。病院でみる生保患者の素行は、とにかく目に余る」と本音から書き出し、かなり手を持て余していることはわかる。
「生保患者は時間外に来る」として、先月の3連休時の夜間の来院割合が36分の5、29分の2、25分の3だったという。その市の生保受給者は人口の1.5%程度だが、夜間の来院数が多いのがわかる。また、時間外に救急車で来る割合も高いそうだ。
また、来院回数も週に3回などはふつうで、1日に2回ということもあるという。1日に複数施設をハシゴする場合もあるそうだ。
「最近、悪質生保の受診行動を福祉事務所や民生委員に通報すべく、資料集めを開始したところ」
ゆかしメディアでも過去に、生活保護でホテルと化した病院として取り上げたことがある。
今後も現場の医師からは、様々な告発、意見が出てくるだろう。
生保受給者の使う医療費が多いことからしても受診が多いことは当然ですが、何しろ自己負担もないものですから時間外だろうが夜間だろうが好き放題に受診していることがデータの上からも裏付けられ、またそれが現場スタッフの疲弊を招き一般の患者さんにも大いに迷惑がかかっているということですね。
医療という業界は社会のあらゆる階層が利用するという性質もあって大抵の人間があまり関わる機会のない多種多様な人々の実態に触れる機会が非常に多いわけですが、とりわけ最も生保受給者の実態を知っているという点でその声に耳を傾けておいて損はないと思いますね。
生保と言えば体をこわして働けなくなった人達が受給するものというイメージもありましたが、体をこわした人々が受診するはずの医療現場であってさえ疾患のために働けない受給者は限りなく少数派であって、またそうした方々は仕事の都合ということがないため多くは真面目に受診しているものです。
一方で夜間救急に高級外車で乗り付けてくるような筋金入りの「ナマポ」の受診態度の悪さは昔から現場の常識であったものですが、当時と今とで何が違うかと言えば単にそうした現場の声がマスコミ等によっても取り上げられるようになったというだけでしょう。
こうした社会保障の問題は洋の東西を問わないようで、かのテキサス親父も母国アメリカの現状を評して「働かない方が良い生活が出来る不思議な国」と語っていますけれども、その結果税負担も増し低所得者層を中心に勤労意欲も低下し更に生保受給者が増えていくと、下手をすれば際限のない悪循環にもなりかねません。
本来医療費無料化などは必死で働いているにも関わらずどうしても病気になってしまった、しかし仕事を休むわけにもいかずお金もないという勤労低所得者層に対して行われるべきもので、保護費がなくなれば入院させてもらえばいいという考えでいる方々にばかり優遇措置を講じても過剰診療の温床にもなろうというものですよね。
今回の総選挙ではにわかにこの生保問題が大きな争点になってきたとも言われていますが、ただでさえ志気崩壊著しい医療現場がこれ以上盛り下がらないためにも早急な改善が必要とされそうです。