かんべえの不規則発言 | ブー子のブログ

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損したらどうしよう、と思ったら、やめればいい。
それはやりたくないことだから。

損してもいい、と思ったら、やればいい。
それはやりたいことだから。

<2月20日>(月)

○なんと円安が進んで株高になっている。日経平均で9500円近辺まで来ているではないか。となれば1万円台復帰も近いように思えてくる。まことにもって現金なものだが、それ自体は悪い話ではないだろう。PERやPBRを見たら、どう考えたって8000円台は安過ぎるので。

○それではなんで円安が進むかと言えば、本日発表の貿易収支の赤字もさることながら、先週の日銀の発表によるところが大きいのだろう。特に買い入れ基金による国債購入額を10兆円増やしたことで、短期金利の利回りが急低下している。ひとつ間違えば、「とうとう日本は中央銀行が財政のファイナンスを始めた」ということになり、長期金利が上昇してしまうかもしれない。

○先週2月14日に日銀が発表した際には、いろんな評価が交錯したものだが、とりあえず今のところはオーライということになる。で、今日になってしばらくぶりに出社していろんな資料を読んでいて、ハッと思い出したことがある。先月の月例経済報告のことである。

○リンク先の2p目をご覧いただきたい。12月月例と1月月例の「政策態度」を比較してみると、さして長くもない文章を比較すると、1月には新たに下記の文言が加わっている。


欧州政府債務危機等による先行きリスクを踏まえ、景気の下振れの回避に万全を期す。また、デフレ脱却に断固として取り組み、全力を挙げて円高とデフレの悪循環を防ぐ。

政府は、日本銀行と一体となって、速やかに安定的な物価上昇を実現することを目指して取り組む。デフレ脱却に向け、


○かくして、12月には1つもなかった「デフレ」という言葉が、1月には3つも入ることになった。特に「デフレ脱却に断固として取り組み、全力を挙げて円高とデフレの悪循環を防ぐ」という言い回しに、異様なものを感じた。「政府と日銀の意思疎通は、いったいどうなってるんだろう」と思ったものである。今にして思えば、それがシグナルであったか。

○思い出したら急に悔しくなってしまった。いつものことながら、直感は過たない。誤るのは判断である。


<2月21日>(火)

○ふと思い出したが、少し前にさる自民党関係者がこんなことを言っていた。

「今の民主党は、政権末期の自民党以下です。なぜならあの頃のわれわれは、『下手をすれば、次の選挙で民主党に負ける』という緊張感があった。今はそれがない」

○それって野党である貴方がたが不甲斐ないからではないのですか、とツッコミを入れたような記憶がある。当然だよね。でも、上はまったくその通りなんじゃないかと思います。「下野する」ことの恐怖が与党を鍛える。が、野党ボケした与党と与党ボケした野党のコンビでは、そういう緊張感が生じない。

○今や野田内閣の支持率は2割台に突入し、毎度おなじみの危険水域に入ってきた。毎年同じことを繰り返していますから、この先がどうなるかは誰でも見当がつきますよね。ところが自民党への期待もさほど盛り上がらない。調査結果によっては、「支持政党なし」が5割を超えていたりする。

○そんな中で、急に風が吹いてきたのが第三極こと大阪維新の会である。「船中八策」なんて今どき何言ってんの、と個人的には思いますけど、しばらくはこの人気が続くんでしょうな。今までにも何度も繰り返されてきたことですが、「知ってる馬鹿野郎よりも、知らない馬鹿野郎の方が魅力的に見える」の法則です。

○ところがこうなると、民主党と自民党の両方に緊張感が生じる。「下手をすれば、次の選挙はエライことになる」と思いますからね。結果として解散風はパタリと止むんじゃないでしょうか。なにしろ選挙後は、「大連立以外に選択肢がない」みたいなことになりかねない。その場合は「民自再生法」なんて呼ばれたりして。


<2月22日>(水)

○クイズです。「千代田区永田町1-1-1」にある建物は何でしょう。

○国会議事堂? 官邸? 議員会館? 国会図書館? ぜーんぶ違います。答えはこれ。ちょっと意外でしょ? 今日のお昼に所用があって出かけましたが、こんな言葉に出会ったので、メモしておきました。

●尾崎行雄「人生の本舞台は常に将来に在り」

○96歳まで生きた憲政の神様・咢堂翁は、けっして過去を振り返ることなく明日を見据えておりました。確かに政治家たるもの、常に「今日は、明日は、何をなすべきか」を考えるべきであって、自分の功績を指折り数えるようになってはおしまいでありましょう。

○夜は産経新聞「正論大賞」の贈呈式へ。初めて行きましたが、まことに盛大な会合でありましたな。第27回正論大賞は渡辺利夫教授、第12回正論新風賞は井上寿一教授が受賞されました。どちらも、よい受賞挨拶をされました。

●渡辺教授「文章を書くことは男子一生の仕事である」

●井上教授「歴史観には大きく2つの流れがある。ひとつは戦後を肯定して戦前を否定するもの。もうひとつは戦前を肯定して戦後を否定するもの。私は少数派かもしれないが、戦前も戦後も肯定したい」

○まったく同意であります。

○立派な言葉を聞いた後でわが身を振り返ってみると、まことに忸怩たるものがある。このところ急に下腹が出てきた。なおかつ、椅子に浅く腰掛けるようになっている。気がつけば背中も曲がっているような気がする。要は年齢を重ねるとともに、姿勢が悪くなっているのである。立派な行いを心がける前に、せめて背筋をしゃんとして歩きたいものであります。