世界のギリシャさん | ブー子のブログ

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損したらどうしよう、と思ったら、やめればいい。
それはやりたくないことだから。

損してもいい、と思ったら、やればいい。
それはやりたいことだから。

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欧州危機の現状を点検する
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今週も欧州やられた!・・・の1週間でした。

とにかく、関係者が多すぎて、ドイツ、フランス、ECB、EUその他IMF
まで含めて所謂「政府関係筋」の高官が言う事がころころ変わる・・・という
か、全くコンセンサスの無い所で何故か勝手な発言をする。
こうなると誰を信じていいかわかならい、と言うレベルはとっくに超えて結局
話し合いが何一つ進展していない、としか見えない訳ですね、市場から見ると。

そうこうしているうちにギリシアが債務の返済期限を次々と迎えるのでそのた
びに倒産疑惑が起きる。早く一定のルールができないとこの繰り返しで欧州全
体の信用そのもの、ひいてはユーロという通貨そのものと欧州の大手銀行に対
する信用そのものが棄損し世界中の企業が彼らに対する与信を絞りあげる、と
いう典型的な信用恐慌の様相を呈してきています。

例えばこれは特に大きく扱われているニュースという訳ではありませんが、大
変な内容を示唆する記事です。こんなものが毎日出てくるためにニュースとし
て日本語では出てきませんが、これでは市場関係者にはたまったものではあり
ません。
実際、ちょっと目を疑う(目をむく!?)ような内容です。

From the WSJ: New Doubts on Greece's Ability to Secure More Aid
ウォールストリートジャーナル
「ギリシャの救済の保証に関し、新たな疑い」

New doubts about Greece's ability to secure further aid and avoid
default emerged Friday ... German Finance Minister Wolfgang Schaeuble
led the chorus, saying that Greece's creditors may need to revise the
July 21 agreement on additional aid for the country, because
conditions may have changed since the deal was reached.
ギリシアのデフォルトを防ぐための更なる救済に関し、それを敢行するギリシ
ア自身の能力に係る新たな疑惑が金曜日に表面化した。・・・・ドイツのジョ
イブレ蔵相が口火を切る形で発言したが、それによるとギリシアの全ての債権
者が新たなる救済策を検討するにあたり、先回の7月21日の合意済みの筈の
救済案をまた再び検討する必要に迫られるというのだ。実はその合意後、債権
者の知らない所で様々な契約条項が勝手に変更されているかもしれないという
のだ。
(つまり債務者当事者であるギリシアが勝手に変更したとしか考えられない)。

.. The week also saw increasing speculation that Greece may need to
default or at least seek much more debt relief than was foreseen in
July as a result of its repeated failures to meet targets for economic
growth and deficit reduction.
このタイミングでは、まさにギリシアは度重なる様々な財政赤字削減の約束を
反故にした為に、デフォルトせねば救済できないか、或いはすくなくとも7月
の合意時点よりはるかに多くの救済資金が必要であると認識されていたのにも
拘わらず、である

"It would surprise me if the conditions for a disbursement of the next
tranche of aid in September had changed, but not if the conditions
for an additional program had changed," Mr. Schaeuble said at a news
briefing on the sidelines of a series of international meetings in
Washington. "However, I want to wait and see first."
ジョイブレは新たに検討されるべき救済プログラムの内容が変更されるなら納
得できなくもないが、(7月に決めた)9月に関する様々な救済案に対する支
出条件が勝手に変更されているとすれば(債権者として)それは驚くべきこと
だ、と直接的にユーロ救済に関連のある議論の場ではないものの、ワシントン
の公式国際会議(IMF総会)の場で発言。そして

「いずれにせよ、様子を見るしかない」と結んだ。
・・・・・・・・・・

多少補足説明しますと、ジョイブレ蔵相自身は元からギリシアを救済するため
にはギリシア自身の努力が前提だ、と散々発言していますし、ユーロ離脱に関
しても絶対にノー、という立場ではありません。

ギリシアがユーロに留まるためには一定の要件を満たす必要がある、というか
なり「ハードボイルド」な立場ではあります。

しかし、それを差し引いても一応ドイツの現職財務大臣がこのような内容の発
言をするということ自体、「内情は推して知るべし」、というのが読み筋では
ありませんか。

正にこの週末のワシントンでも「救済せねば」、というお題目ばかり出て来ま
したが、IMF、WBが何を言っても政治家は知らないふり、というのが現状
なのです。

ということで、ユーロの混乱は益々続きます。これはユーロ各国の責任でもあ
るし、何より当事者であるギリシアの責任が大きい訳ですね。これでまだ公務
員給与・年金削減に反対しストライキだ、というのですから、誰も助けたくな
いですよね。

で、結局欧州の国というのはイタリアもスペインもみんな「ギリシア並み」な
のではないか、というのが市場の率直な感想なのだと思われます。

ミカン箱は中で一つのミカンが腐るとあっという間に全てのミカンが腐ると言
われます。
今の欧州は、この欧州と言うミカン箱の中でギリシアという腐ったミカンがで
てきた状況だ、とご理解頂くのが適切かと存じます。

いずれ全て腐ってしまうだろう、と考える訳ですね。

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欧州危機と日本とのかかわり 日本にとって危険なファクターとは何か?
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ここ1カ月くらいでしょうか、欧州危機の預言者と言う訳でもないのですが、
かなり早くから「本命は欧州」と発言していた為に、あちこちで講演などに呼
んで頂いています。

そのたびに、出て来る質問は

「でも日本は関係ないんじゃないですか??」

というものです。

貿易量も対欧州がそれほど大きい訳でもないし、まして日本政府が外貨準備と
してユーロを殆ど保有していない。個々の銀行を見ても欧州向けの債権なんて
微々たるものではないか、という訳です(実は生命保険会社のいくつかは大量
にスペインの不動産投資に傾倒していて、それはかなり心配ではあるのですが
・・・そのうちの1社は最大手なので見直すといっても他には行けないかもし
れませんけど・・笑)。

ですからそれは一面あたっていますし、仮に直接的被害を受けるにしても特定
の生保1-2社でしょう。

しかし、そういう側面で捉えるとこの問題を過小評価してしまいます。

BS11の報道原人でも強く申し上げた通り、この欧州危機のキーワードは信
用危機です。しかもリーマンショックが一民間金融機関の信用危機であり、い
くらでもカバー可能だったのに比べると、今回は曲がりなりにも国そのものが
信用危機に瀕しており、ユーロ全体が危機に巻き込まれるのみならず、その信
用補完を日本の日銀もFRBも同時に担わされているという現実があるのです。

例えばドイツ銀行が今ギリシア国債を担保としてECBに持って行けば既に3
0%しか市場価格がないものでも額面100%、100億円なら100億円の
調達が可能です。
それをドルであればFRBが、円であれば日銀が同様にスワップラインで供給
する。つまり間接的に日本も中央銀行が既に彼らのエクスポージュアーを背負
ってしまっていることになります。

現実的にはレアケースですが、例えばドイツ銀行が日本でギリシア国債を額面
で100億円持ってきて担保に差し入れられたら、日銀としてはいや、市場価
格からみて30億しか融資できない・・・・とは言えず、100億円出さなけ
ればなりません。なぜならそれが中央銀行同士の取り決めであり、それこそが
G7である所以な訳です。正にそれこそがG7であるレゾンデートルな訳です。

ですからリーマンの債券はいくらでも却下できても(或いは掛け目をかけてヘ
アカットしても)国債となればユーロの一員である限り日銀も無制限で受ける
しかない、というのが現状なのです・・・というかそれこそがG7のセーフテ
ィーネットなのです。

逆も真なりで、日本に今何があっても日本国債は100%の価値で担保されま
す。それが、G7という世界信用を背負っている中央銀行同士のクレジットラ
インなのです。

但しG7ではない韓国やタイではそうはいきません。ですからいざとなっても
誰も担保に取ってくれず、倒産してしまう。2008年も日本がスワップライ
ンを提供する事でウォン暴落を防いだ訳で、これは日銀はもっと宣伝してもい
い訳です。

G7のメンバーであるということはそういう重大な意味があるのです。
皆様は日本がそういう重要な地位にある事を意外と認識されていないのですが、
アジアで唯一それだけ重要な地位にあるだけに、欧州の国債が破綻するとな
れば逆にその被害は免れないというのが現実です。一民間企業としてではなく、
中央銀行のネットワークの一員として被害が直撃な訳ですから、よりシリア
スだと言えばそのとおり、実際にシリアスなのです。

決して対岸の火事ではあり得ません。

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日本の輸出回復は加速度的
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1ドル80円以上の円高になったら日本は輸出が激減し、空洞化を招き産業が
滅茶苦茶になる、と言ったのはだれだ! と言いたくなる貿易統計が発表され
ました。

輸出が前年同月比で遂にプラス2.8%、5兆3000億円となりました。円
高が日本の輸出に影響を与えることはありませんし、今更空洞化なんて議論を
している人は現場を知らなさすぎると散々申し上げてきました。

既に1990年代からこれだけの円高局面でしたから生産拠点で出せるものは
すべて海外に出して来た。これ以上何を出すのと言うのでしょう?

それを言うなら空洞化はとっくに(少なくとも1990年代初頭)始まってい
るのにこれだけの輸出がまだある。

答えは小学生の時に習っていますね。価格X数量 が貿易収支です。数量が減
れば価格が上がればいいのです。付加価値の高い物をたくさん国内で作りより
高く売る。それだけのことですよね。日本に殆ど自動車やテレビなどを輸出し
ていないフランス。なぜ、よりによってそのフランスだけが日本に対して貿易
黒字を維持しているのか。

中国だって、韓国だって、その他G7もみんな日本に対して貿易赤字です。

答えは、エルメスです(笑)。

日本は既に工業版のエルメスを生産している・・・と見るしかない。
更に本当にエルメス並みのブランド力を身につけつつある。アジアが金持ちに
なればなるほど日本の高級品(誰でも作れるテレビや携帯電話ではありません
ぞ)の需要、それによる輸出は増え続け益々貿易黒字が増えることになります。
そして原油、食料など資源を輸入に頼らざるを得ない日本にとってこの円高
を僥倖と呼ばずして何と呼びましょう。

因みに輸入が増えている為に7000億円程の貿易赤字が出ている訳ですがこ
れはBS11でも解説したように日本は原材料を輸入して付加価値を付けて輸
出する国です。ですからこの輸入の分はこれから輸出する分であり、来月に反
映され益々輸出が増える可能性が高いと見るべきでしょう。

結果は見てのお楽しみ、ということで日本の輸出産業は円高とは無関係に!!
驚異的に回復しております。

こういった凄まじい努力をしている民間企業に比べると一番何もしていないの
は、日本政府そのものです。政治家の先生たちはこれをみて大いに反省すべし!

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ついに “More Japinization” へ入った米国、ツイスト・オペとは?
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日本の報道では取り扱いは地味ですが、このニュースは重大で二重丸をつけて
おかねばなりません。代表でまず、WSJ。

The Fed definitely scared investors by adding the word “significant”
to their description of downside risks. The August phrase "downside
risks to the economic outlook have increased" was changed to "there
are significant downside risks to the economic outlook, including
strains in global financial markets." (emphasis added). As Tim Duy
noted: “The downside risks are now ‘significant’, and we can thank
the Europeans for that.”
アメリカ連銀は今回間違いなく投資家をびびらせていて、それは「Significan
t に経済にダウンサイドリスクがある」と表現した点だ。8月の段階では「ダ
ウンサイドリスクが増加した」と表現したが、今回は「重大なる世界経済を巻
き込むであろうダウンサイドリスクが存在する」と表現したのだ。

まあ、このSignificant という語感を理解できるかどうかにかかっているので
すが、日本の新聞記者にはわからない(笑)・・・だから扱いが小さい。

元来こういう政府機関は保守的に発表する傾向が強いのは皆さんご想像の通り
で、激しくダウンサイドリスクがある、なんて連銀自らが発表しちゃうなんて
のは、椎名誠さんではあるまいに、余程重大だと考える必要がある訳です。

最後まで「いや、大した事ありません」、というのが政府のやることで、これ
はチェルノブイリでも今回のフクシマダイイチでも、はたまたアメリカのルイ
ジアナ沖油田事故もリーマンショックの時も含めてそうでした。
その意味ではここまで開き直られるとかえってすっきしりますね・・・などと
言っている場合ではないのです。アメリカの場合後で訴えられたりするのでこ
こまできたらもう誤魔化しきれない段階まで来たと判断しなければならない。

更に重要なのが、その認識に立って、QE3に代わって(或いはQE3の余裕
が既にFRBのバランスシートにないと判断したとも考えられます)彼らが打
ち出す可能性がある、と伝えられた新機軸・・・・これは日本がバブル崩壊で
へろへろになっている時に金融緩和策の「最後の切り札」として時の宮沢蔵相
が大蔵省に真剣に検討させた程の代物で、「ツイスト・オペ」と呼ばれまして、
少なくとも1990年当時は「最強のツール」だったのです・・・が飛び出し
て来ました。

日本は最後までこれを使う事はなかったし、今の所使う必要性も無い位国債市
場はうまくコントロールされている訳ですが、アメリカの場合、インフレ率が
プラスであり、かつGDPそのものも成長を続けており、果てしない連銀によ
る国債などの買い上げは連銀のバランスシートを直撃し、正に今の欧州のよう
な信用危機に陥る可能性を秘めています(このドル安がすでにそれを示唆して
いる、という指摘もあるくらいですね)。

さて、このツイスト・オペ。
これは保有している債券総額は変えずに、短期のものは売って(或いは償還が
来たら短期債を買わずにおいておいて)その分を期間の長い債券の購入に充て
る、という、一見なんでもないようですがある種の「禁じ手」とでも言うべき
要素を秘めています。

確かに100億の2年債を売って100億の30年債を買えば額面としては完
全にイーブンですが、この場合これをやった連銀のポートフォリオに占めるデ
ューレーション、すなわち金利感応度(金利が上昇したときのリスク総量と読
み替えて頂いてもかまいません)は飛躍的に上昇、万が一金利が上がった場合
の損害額は飛躍的に増加してしまいます。(ラフに言いますと金利がある幅で
上がってしまい、2年債券で2円程度の価格下落を招いたと仮定します。これ
が30年債ではその12倍、つまり24円!! もの価格下落を招いてそれだ
け連銀に損失が発生する事になるのです。同じ額面を保有していて、同じ金利
上昇幅でも与える損失額がケタ違いですね。

ですからちょっと話はそれますが、一概に「国債の発行量がGDPの何倍だか
ら・・・・」などという前提で国会で財政を議論しているおっさんたちはスタ
ートから何もわかっていない、と告白しているようなものなのです。何年の国
債を発行しているか、という事がリスク管理上は事の他重要なのです。

ですから一概に国債買い入れといっても、日本のように短期債から長期債まで
極めて安定的に金利が運用されている市場は問題無いのですが、アメリカのよ
うなプラス成長で、人口増加を伴っている国では万が一長期金利があがってし
まうと(長期金利は期待インフレ率とその国に対する信用の合成指数であると
考えられています)その被害は甚大で中央銀行の与信を直撃しますますドル安
を招く、という危険性があるのです。

その意味で日本ですら最後までやらなかったツイスト・オペを導入すると連銀
が発表した事は驚きで、日本に向かって「ヘリコプターで金をまけば日本の不
況など簡単に克服できる」と日銀で説教をたれたバーナンキ先生がこういう決
断をせざるを得なかったとすると実に感慨深い、という話になりますね、

あれだけ日本を非難していた本人がまさか、こんな禁じ手を打つ張本人になる
とは当時は夢にも思ってみなかった・・・・と思います。

因みにJapanaization という単語自体は2年くらい前からよく
使われていますが、最近ではバーナンキ議長の事を更に揶揄して

Mr. Bernanke または Chairman Bernanke

と書かずに

Bernanke-San

と表記する事がアメリカではとても多いのです。なんだ、偉そうに日本の事を
非難して、アメリカは日本と同じにはならない、とか言ってた癖に日本と同じ
事をやってるじゃん! という皮肉なのですが、これで遂に日本を超えてしま
ったので次は

Bernanke-Tenno

という表現が流行りそうだ、とウォールストリートでは早くも悪口を言われて
います。


いやはや・・・ですが、今回の発表にはそのくらい重要なポイントが含まれて
いるのだ、ということを是非ご記憶を。

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あとがき
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ブログに書きましたように今週(先週)は広島に行きまして、そのまま東北と、
全国ツアー状態になっております。いずれものっぴきならないご要請に基づ
いて動いている訳でございますが、中には「毎日遊んでいてのんきなもんだ」
と嫌味をおっしゃる方もおられます(笑)。

私は日本経済の復活は地方から、と信じている人間の1人でその処方箋も持っ
ています。あとはやるかどうかだけ、なのですが、なかなか皆様既存の価値観
に縛られてしまい、それは無理だよ、とはなから諦めてしまう方が多いのもま
た事実です・・・・・・が、伝え続けることで変わることもある訳で、その一
環としてこちらのメルマガ、アエラ、SPA、そしてBS11などで発信を
続けている次第です。日本を変えましょう!

日頃からの御支援、応援を感謝申し上げております。

急に寒くなりました。
皆さま、お風邪など召されませぬよう・・・・

ではまた来週お会い致しましょうね!