このままいくとオバマ大統領は本当に危ないかもしれません。
先週バーナンキ議長は米国経済が弱い理由として、
ガソリン価格の上昇による消費意欲及び消費活動の停滞、
そして日本のサプライチェーン破壊による製造業の衰退と、
なんともピントの外れた話を議会証言でしていました。
これは議会証言だけに重要でその辺のインタビューでは無い訳で、
バーナンキが間違った(見通しを甘く持っていた)ためにQE3も比較的早い時期に検討課題から消えたような気さえ私自身はしてきしました。
私に言わせればアメリカ経済(マクロ経済)が弱い理由は1兆ドルにも及ぶ大型景気対策の大半を既に
使いながら、住宅問題と雇用問題を全く解決できなかったこと・・・・これこそがアメリカ経済が弱
い理由に他なりません。
アメリカ企業一つ一つを見てみれば、アマゾンあり、マイクロソフトあり、
アップルありとそのほかにも、元気な世界的企業がそれこそ次々と生まれています。
セミナーでご質問された方もおられましたが、西海岸のIPO市場などではちょっとした「バブル」を思わせるほどの活況です。
しかし、一方でそういう「特別な会社」で働ける「特別な能力」を持っている人間はごく少数で、皮肉な事にこういう企業がいくら活躍しても普通のアメリカ人の全体の雇用回復に結びつかない可能性が高いのです。
私の友人の会社もそうですが、従業員を雇うと言っても昔のように単純な作業がそれほどある訳では
なく、結局よく職業訓練がされている外国人を雇う方が将来的にもプラスに映るのは無理もないで
しょう(その国の市場開拓などを考える訳ですね)。
事実初期のマイクロソフトには多くの日本人が参加していますし、現在雇用を拡大しているウォール
ストリートの会社も大多数は中国語が必須条件になりつつあります。
インド人のニーズも高まる一方
ですが肝心のアメリカ人の雇用が減ってしまっています。
ということでそういった活況を呈している企業ベース、
及びその結果である株価をいくら見ていてもアメリカ全体のマクロ経済の様子は見えませんし、実際の大統領選挙ではそういう恵まれない環境にいる人々が膨大な票を持っていることを忘れる訳にもいきませんね。
さて、前置きが長くなりましたが先週はアメリカにとっては難しい数字が多い週でしたね。
まず、各社ともGDP予測を下方修正。例えばGSはQ2,Q3をそれぞれ1.5%、2.5%に下方修正しました。
元々は2%と3.25%でしたが、各社そんな感じです。
まあ、それでもプラスなんだから、という説はあります。
雇用業況は悪いのですが、これでも昨年よりはましなペースで走っておりFTでは他の条件が全く変
わらなければという前提条件付きですが、2012年の末にはなんとか8.75%位まで失業率が改善す
る程度の成長はあるのではないか、と予測しています。
(それでも7%以上の失業率で再選された大統領がいない事には変わりはありませんね)
私は基軸通貨であるドルを発行する国の債券の格付けを下げようとする格付け会社の気がしれません
が(それよりちゃんと腐ったABSを格下げしてください・・・)
それはそれとしてこれらの予測、
つまりじわじわとプラス成長を続ける可能性を実現するためには2-2.5%程度の最終需要の成長
が不可欠であるともFTは分析していますね。
で、申し上げている通り私は個人的にこのシナリオには? を付けている訳です。その他のデータを
見ていると今より失業率が悪化しないなんて怖くて言えません(笑)
アメリカの細かいデータに入る前に今週の出来事としては1)ギリシア問題の続き・・・欧州銀行の
ストレステストでいくつかの銀行がやはり資本不足になっている事が判明 2)デットシーリングの
交渉がいよいよ本格化してきたがまあ、結論は見えてきた、の2点でしょうか。
6月の小売売上高はかろうじて0.1%のプラス(5月から)。ただ、昨年同月比では8.1%のプラ
スです。
しかし自動車販売を除けば増減ゼロであったり、ガソリンの売り上げが1.3%も落ちているなど細
かく見てみるとあまり褒められたものではありません。
5月の貿易赤字は4月のマイナス436億ドルから増えて502億ドルのマイナス。
まあアメリカでは驚くような数字ではないのですが。輸出は1794億ドル、輸入が2241億ドルです。この数字はだいたい頭に入れておくと便利です。
しかし輸出入のいずれをとってもリーマンショック前の数字を既にほぼ取り戻している事が肝心で
す。
世界市場の拡大でアメリカも貿易レベルでは既にリーマンショックを乗り越えているのです・・・それなのに・・・・ということで住宅と雇用が余計に深刻なのです。
貿易統計に関しては5月は原油の平均輸入価格が108.7ドル(バレルあたり)でしたがこれは昨年の5月
には76.95ドルだったことも重要です。
対中国の赤字はちょっとタイムラグがありますが、249.6億ドルとなっており、結局赤字の原因はまさにほとんど原油と中国によるものです。
鉱工業生産は6月は0.2%のプラス、設備稼働率は76.7%でアンチェンジ。
稼働率はあまりこのメルマガではわざわざ取り上げていませんが、既に底を打いると見ており2009年6
月のボトムに比べればすでに9.4%も上がってきています。
ただ私があまり重要視していないのはこれでも所謂1970年代から2010年にかけての平均値からしてもまだまだ低いからなのです。
リーマンショック前は81.2%もありましたからね。
設備稼働率がここまで戻ってきてもまだこの失業率なのか、と捉える事も可能ですし、もう少し稼働率が戻れば雇用も増えると考えるか、このあたりはエコノミストの好みですが、住宅等の動きから見ると明らかに前者なんだろう、と私は思っています。
そして一番弱かったのが7月の消費者信頼感指数のうちミシガンサーベーと呼ばれているものでこれは
71.5から63.8に急落(予測は71)。
雇用が弱くなりますよ、と約2カ月前に申し上げた時も実はこの数字の悪化がきっかっけでしたね。
この信頼感指数は前月比で一喜一憂していてもだめで、こういう使い方をするものなのです。
要するに失業率とガソリン価格との相関関係が極めて高いという特徴があります。
しかしご存じの通り、6月のガソリン価格はかなり下がりましたから、それから類推すれば・・・・再び雇用に要注意ということになりますし、個人的には8月2日のガバメントシャットダウンまで織り込まれているのではないか、とすら思いますがこのあたりがまあ、我々の予測の楽しい所です。