泣きっ面に蜂とはこのことか
「公募増資」の地雷にご注意を
予想外に伸びが鈍かった米6月雇用統計、ギリシャ危機の他国への波及懸念などの悪材料で株価が下放れて始まった週明け11日の東京株式市場。後場の悪役はエルピーダだった。公募増資と転換社債発行で最大800億円を調達。それに伴う新株発行によって株式価値は最悪28%希薄化する-という報道(大引け後に正式発表)に、それでなくても弱かった地合いがいっそう冷え切ってしまった。
もっとも、これまでも財務不安が取りざたされてきたエルピーダ。“兜町のギリシャ”(ディーラー筋)といわれるような存在だけに、アナリストの間では今回の増資、決してサプライズではないようだ。「DRAM価格下落による業績悪化リスクを考えると、増資の検討は想定されていたこと」(GS)、「12年3月期中に2300億円の資金需要がある。今回の決定のタイミングが早いという印象」(CS)など想定内のもの、という外資系のレポートが出ていたほど。知らなかったのは一般だけ、ということらしい。
エルピーダの増資決定で思い起こされるのが、昨年秋にかけての増資ラッシュ。昨年は7月にみずほFG(13日、調達額7400億円)、国際帝石(16日、5200億円)、9月に板硝子(8日、400億円)、10月に東京電力(4400億円)と立て続けに大型の資金調達が行われ、それぞれの株価が急落、全体も相場が冷やされるという経緯があった。
増資情報を事前に入手したヘッジファンドが空売りを仕掛けて発表前から株価が急落するという不穏な動きがあり、わが金融当局が規制に乗り出した。そのため、現在では増資発表銘柄の空売りが禁止されているため、昨年ほどの市況撹乱要因にはならないとの見方もあるが、この程度の規制で悪辣な連中を取り締まることができないのは明らか。
仮に大型増資が増えるようだと、資金吸収による需給悪化だけでなく、市場のムードを冷やすという副次的な悪影響も無視できなくなる。特に、今回のエルピーダのような財務資金の借り換えに等しいような増資が頻発することはマーケットとして歓迎されるものではない。
もちろん、ギリシャ問題に市場が大騒ぎしなくなったのと同じように、増資も2年目となれば、心理的なインパクトは低下してくるだろう。あまり神経質になることもないが、くれぐれも銘柄選別には気をつけたい。
無配企業にはファイナンス懸念はない。津田駒工業(6217)は13日に今11月期第2四半期決算を発表する。
残念ながら復配にはいま一歩の状況ながら、中国向け繊維機械の好調で収益は急回復する。上半期の営業利益は6億5000万円の黒字転換(前年同期10億2700万円の赤字)となった模様。通期見通しをどの程度まで上方修正するかが焦点となる。
大震災後の株価水準を上放れようとしているが、まだPBR1倍割れの水準でしかない。