TPPと国家の命運 | ブー子のブログ

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TPPと国家の命運
2010.12.26 Sunday
日本はTPP(環太平洋経済連携協定)参加をためらってはいけない。私はそう強く思っています。

参加反対派の主張は、毎度同じように「国内農業が壊滅的打撃を受ける」ということですが、では、今まで長期にわたって国内農業を保護してきた結果はどうなっているでしょうか。



●農業従事者は約20年間でおよそ半減し、現在約260万人。しかも、この先10年でさらに100万人減と予想されている。
●農業従事者の平均年齢は65.8歳。つまり、若い世代が今の日本の農業に希望を見いだしにくくなっている。
●全国の耕作放棄地は約40万ヘクタールに増加している。



思いつくままにあげても日本農業の衰退が歴然です。
仮に今回TPP参加を見送ったとしても、農業従事者は減少し、平均年齢はさらに上がります。そこに待ち受けているのは、それこそ「壊滅」の一字でしょう。

たしかに農業はどの国においても重要な産業です。単純に効率だけで語れない部分を多く含んでいます。ヨーロッパもそうですが、国内農業を保護しない例はほとんどないといっていいでしょう。

しかし、「保護」と「育成」と「バラマキ」は根本的に意味が異なります。日本は保護と言いながら、農業の弱体化を進行させた結果として、上に挙げたような惨状を招いてしまったといえます。民主党政権になってからはさらなるバラマキが追加されています。「票田」に意識を奪われ、「水田」の成長を促す政策をとってこなかったことのツケがはっきりとわかります。

現在、日本の農畜産物の平均関税は22.2%。アメリカの5.2%、EUの13.5%と比べても突出しています。コメに限っては778%という高関税です。

お隣の韓国も日本と同様、貿易の自由化による影響を危惧しています。しかし、政府の対応は正反対といってもいいでしょう。2004年から14年間で約9兆円を費やし、抜本的な農業改革を進めています。日本と同様、高付加価値の農業を目指していますが、今後、その分野での競争力が増すことは必至でしょう。サムスン電子など、貿易の自由化によって恩恵を受ける大企業が農産物を買い上げるなど、「農村愛1社1村運動」を進めるなど、経済界の協力も得ながら農業改革を国家的命題と位置づけ、取り組んでいます。

しかし、日本はどうでしょう。減反に協力したコメ農家を対象に、コメの作付け面積10アールあたり15,000円の定額補助を給付しています。定額補助を目当てに、貸した田んぼを取り戻す「貸しはがし」が増え、真剣に農業ビジネスに取り組んでいる人たちから耕作地を奪う結果にもなっています。一体何を目指した補助金なのか、農業を壊滅させる愚策としか言いようがありません。

今の日本の農業に必要なのは、顧客ニーズに合わせた商品開発やコスト管理など、あたりまえのビジネス感覚です。生産現場(1次産業)と加工(2次産業)、販売(3次産業)を一体化して商品の付加価値を高める6次産業化が必要です。

今までも自由化された分野、例えば、牛肉やオレンジなどがありますが、海外から安い商品が輸入されたからといって著しく衰退することはありませんでした。牛肉は91年に自由化されましたが、国内生産量はほぼ50万トン台をキープしています。オレンジによってみかんが凌駕されてもいません。今やサクランボは高級品となっていますが、これは自由化によって創意工夫された成果なのです。

今までのバラマキによる保護は言い換えれば、創意工夫が生まれない仕組みでした。

もし日本がTPPに参加しなかった場合、国内総生産の約2%にあたる約10兆円が失われると経産省は報告しています。日本の競争力低下が著しい中、私は、この数字以上に貿易立国日本にとってのダメージは大きいものと思います。

TPP参加という緊張感を持って、国を挙げて農業を強化しながら全体のGDPを上げる道を選ぶのか。あるいは、農業を現状のまま放置し、さらに日本経済全体も衰退させる道を選ぶのか。国政の政治家は、批判を恐れて、毎度ながら煮え切らぬ答えのままですが、私の答えは明白です。


中田宏