[杉村 富生先生の株式コラム 06月21日号] | ブー子のブログ

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最新の中国事情と日本企業の影響?

 賃金の上昇は消費を刺激し、内需を拡大させる。反面、企業にとってはコストアップ要因となる。さらに、インフレ圧力が生じる。中国・沿岸部の賃金は今年、20~30%上昇するだろう。

 中国政府は賃上げの動きを容認している。当局は国営企業以外の労働争議(2009年は60万件と激増)には積極的に介入しようとしない(ストライキは厳密には違法行為)。むしろ、2011~2015年の5年間に「所得倍増計画」を打ち出すなどバックアップの構えである。

 それだけ事態は深刻ということか。なにしろ、中国の賃金総額と、それがGDPに占める比率の推移をみると、1980年には17%だったが、2000年以降は10~11%に低下している。特に、製造業の賃金は全体の労働者に比べ2割も安い。中国では国の成長メリットをまったく享受していない人達が存在する。

 これはかって筆者が指摘したことだが、大恐慌の主因は所得格差(工場の機械化などによって生産性が向上、その利益を企業とごく一部の資本家だけが独占→結果的に企業と富裕層の資金が銀行に集中→借り手不在の状況下、金融が暴走→サブプライムローンショックと酷似)にあった。中国の現状はまさに、そうじゃないか。

 EMS(電子製品の製造受託サービス)の世界最大手、台湾・ホンハイ精密工業系のフォックスコン・インターナショナルは相次ぐ従業員の自殺に加え、賃上げ・労働条件の改善要求に、90%超の賃上げを受け入れた。一気に、“所得倍増”である。

 まあ、フォックスコン・インターナショナルは50万人の従業員を抱え、アップルの「iPhone」などを生産しているが、それだけ厳しい労働条件、低賃金だったということだろう。

 この低賃金を支えてきたのが農村からの出稼ぎ労働者(民工)である。彼らは都市戸籍を持っていない。いや、原則として取得できない。1954年に、中国の戸籍制度が作られたが、農村戸籍と都市戸籍は分けられており、これは人口移動を制限するためのもの。戸籍によって、受けられる教育、年金、医療制度は異なる。

 たとえば、経済特区「深セン」などを持ち中国最大の広東省の場合、現在の人口9500万人のうち、4500万人は1978年の改革・開放後に流入した人達であり、ほぼその9割が民工といわれている。

 中国は「世界の工場」と呼ばれる。しかし、その実態が民工の低賃金にあって、その背景に戸籍制度が存在するというのではあまりにも悲しい。もちろん、時代の大きな流れはこうした状況を放置することはないし、許さないと思う。

 広東省は今後3年間、年間60万人に都市戸籍を与える方針を明らかにしている。わずか180万人だが、戸籍制度に大きな風穴が開きつつあるのは確かだろう。いずれにせよ、低賃金を武器にした大量生産・低コストというビジネスモデルは転機を迎えている。

 中国では工場の自動化・省力化投資が、急ピッチで進むだろう。たとえば、工作機械のNC化率は昨年22%、現在27%(日本の1970年ごろの水準)にとどまっているが、5~6年のうちに日本並みの100%に迫るだろう。

 産業用ロボットの導入も加速する。これらのメリットを受けるのはNC装置のファナック(6954 東1 100株)、ロボットの安川電機(6506 東1 1000株)、川崎重工(7012 東1 1000株)、センサーのオムロン(6645 大1 100株)、空気圧機のSMC(6273 東1 100株)、精密減速機のナブテスコ(6268 東1 1000株)、軸受のTHK(6481 東1 100株)など。

 一方、1ドル=6.83元のレートで実質ドルとの固定相場制を採用している為替政策は転換を余儀なくされるだろう。人民元の切り上げ(上昇)である。これは輸出企業にはダメージを与えるが、賃金の上昇とともに、中国の購買力を高める。特に、海外旅行はブームとなろう。

 日本政府は中国人向け観光ビザ(査証)の発行要件を大幅に緩和する(7月1日)。その詳細については次回述べるが、ビザ発行対象者は従来の160万人が1600万人に増加する見通しである。

 このメリットは大きい。アコーディア・ゴルフ(2131 東1 1株)、三越伊勢丹HD(3099 東1 100株)、資生堂(4911 東1 100株)、ワタベウェディング(4696 東1 100株)、オリエンタルランド(4661 東1 100株)などは“熱烈歓迎”の姿勢である。

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