シュールな面々 | ブー子のブログ

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シュール過ぎて

ふぅん。って感じ。

日本人はシュールな出来事に囲まれても

人形化してますよね。


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ギリシア総括
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先週かなり詳しくお伝えしましたが、結論から言うと今回の300億ユーロで
は全く足りず、ユーロを一度離脱してデフォルトさせない限りユーロは立ち直
れないでしょう。アルゼンチンのデフォルトと比べるとそのすごさがわかりま
す。以下スナップショット的に今後を見通すうえでの大事なヒントを羅列して
おきます。これにて当面総括と致します。(長くなるので原文は出しませんが、
4月12,13日のFTおよびロイター、などの記事を参照しています)


Moody’sは結局ギリシアをA2で据え置いた。
2002年に海外から一切借金をしていない外貨準備高世界第1位の日本がA2
にされたことから考えると、この格付けはあり得ない、と見るしかない。

300億ユーロは7月までのファイナンスしかカバーできず、年内に必要なフ
ァイナンス額は1000億ユーロを優に超える。これだけのファイナンスを欧
州だけで負担するのは不可能。(アメリカのヘッジファンドに売り込みに行っ
ているらしいが、CDSで思い切りショートされるのが関の山であろう)

このままいくとギリシアはGDPの13%にも及ぶ赤字削減が必要でそのために
引き締め政策をとるなら、1%の引き締めはその何倍もの需要の喪失を生み出
すことになる。

今後ギリシアはGDPの8-9%を外国の債権者に支払うことになり、これでは
国の維持は不可能である。

IMFは今回のような救済についてはアルゼンチン救済失敗で危うく解体されそ
うになったこともあり、もうこりごりしており、既にアルゼンチン型の救済は
一切しないと、宣言している。

すなわち→IMFとしては過剰に評価された通貨が下落し始めた場合、それを止
めるのは不可能であり「悪貨を良貨で支える事は不可能だったのだ」、と結論
づけており、このタイプの救済にIMFが参加することはあり得ない。

更に、実はアルゼンチンよりも今回のギリシアの方が問題としては深刻である。

アルゼンチン/ギリシア
対外公的債務:GDPの62% /GDPの120%以上
財政赤字:GDPの6.4% /GDPの16%
経常赤字:GDPの1.7% /GDPの11.2%

結局アルゼンチンは65%を債権放棄し、事実上デフォルトさせた上でIMFが
救済に参加して急激に回復をした。

ドイツ問題
ドイツによる欧州憲法に規定された非救済条項行使の可能性が付きまとう(メ
ルケルは何度も言及している)。仮に提訴された場合にEUの憲法裁判所の判定
は恐らく五分五分だろう。

その前に自己資本が極めて薄いドイツの州立銀行(Landesbank)は大量にギリ
シア国債を保有しており、一連の債権放棄には耐えられないだろう=実際には
ドイツの金融危機を引き起こす可能性すらある。

実はECBはグリーンスパンがアメリカ住宅市場で起こした失敗と同様のことを
行っていた可能性がある。

ECBは2007年にはターゲットが4-5%だったM3を結果的に12%以上上昇さ
せ、これはそもそもECBによる金融調整の「約束違反」であり、これによりギ
リシア、ポルトガルなど南欧の「バブル」が加速したことは間違いない。
ギリシアはこれを非難する可能性があり、そうなるとユーロそのものの信頼は
全くなくなる。

今後ギリシアの事ばかりを書く訳にもいかないのでこのあたりの材料を頭に入
れて御判断頂けるとよいかと思います。グッチー的にはギリシアはデフォルト
させ、一度ユーロから離脱させない限りユーロの信認は戻らないと考えていま
す。御参考まで。

最後にテレグラフ紙のこの指摘は鋭いかもしれません。歴史的見地からすると
こういう見方も必要かもしれません。

This has echoes of Credit Anstalt, the Austrian bank that collapsed
in June 1931, exposing the underlying rot of Europe's banks. It set
off an earthquake across Germany and Central Europe. Contagion spread
back into the Anglosphere, snuffing out the recovery of early 1931.
The global financial order came crashing down. The Great Depression
began in earnest.
これは(今回のギリシア問題)欧州の銀行に蔓延する腐敗を露呈させた、1931
年、オーストリアのクレジッタンシュタルト銀行の崩壊を思い起こさせる。こ
れがドイツや中欧の激震をスタートさせたと言え、この伝染病はアングロサク
ソンの国々にも逆流し、1931年の回復の芽をつぶしてしまう事になる。そして
世界の金融秩序が崩壊し、大恐慌が起きたのだ。


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ゴールドマン爆弾炸裂
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ギリシアに関わっていたら金曜日の夜にとんでもないニュースが飛び込んでき
た。

Bombshell!!

という見出しが躍る。ゴールドマンがついにSECに提訴された。

SEC Charges Goldman Sachs With Fraud in Structuring and Marketing of
CDO Tied to Subprime Mortgages
The Securities and Exchange Commission today charged Goldman, Sachs
& Co. and one of its vice presidents for defrauding investors by
misstating and omitting key facts about a financial product tied to
subprime mortgages as the U.S. housing market was beginning to
falter.
SECはサブプライム関連CDOにおけるマーケティング及び仕組みに関する不正
の廉(かど)でゴールドマンサックスを提訴した。


日本の報道はゴールドマンが値下がりがわかっていたのに売ったために提訴、
としているのですが、そんなばかな(笑)。実情はこういうことです。

以下記事
The SEC alleges that Goldman Sachs structured and marketed a synthetic
collateralized debt obligation (CDO) that hinged on the performance of
subprime residential mortgage-backed securities (RMBS). Goldman Sachs
failed to disclose to investors vital information about the CDO, in
particular the role that a major hedge fund played in the portfolio
selection process and the fact that the hedge fund had taken a short
position against the CDO.

"The product was new and complex but the deception and conflicts are
old and simple," said Robert Khuzami, Director of the Division of
Enforcement.

"Goldman wrongly permitted a client that was betting against the
mortgage market to heavily influence which mortgage securities to
include in an investment portfolio, while telling other investors
that the securities were selected by an independent, objective third
party."
..
The SEC's complaint alleges that after participating in the portfolio
selection, Paulson & Co. effectively shorted the RMBS portfolio it
helped select by entering into credit default swaps (CDS) with Goldman
Sachs to buy protection on specific layers of the ABACUS capital
structure. Given that financial short interest, Paulson & Co. had an
economic incentive to select RMBS that it expected to experience
credit events in the near future. Goldman Sachs did not disclose
Paulson & Co.'s short position or its role in the collateral selection
process in the term sheet, flip book, offering memorandum, or other
marketing materials provided to investors.

簡単に言いますと、CDO(証券化商品)を作るにあたっては通常コラテラル・
マネージャーと呼ばれる、どういう資産を入れるのか、責任をもって判断する
プロを指名します。

このコラテラル・マネージャーによりどういうものを選ぶのかが左右されます
ので、このマネージャーの選定は極めて重要で、CDOを購入する場合、特にエ
クイティーに投資する場合はだれがコラテラル・マネージャーか、が重要な投
資判断根拠となり、この際ゴールドマンが売り手だろうが野村が売り手だろう
があまり関係ない、のです。

そしてそのコラテラル・マネージャーがあの「ポールソン・アンド・カンパニ
ー」で、かつ選定した資産がサブプライム・ローンだった・・・・と言うのが
大問題なのです。

ポールソン・アンド・カンパニーと言えば・・・・

米国のヘッジファンド、ポールソン・アンド・カンパニーは、サブプライム・
ローンに対する危機感をいち早く抱き、サブプライム・ローン関連の金融商品
をショートする戦略を取り30億ドル以上の利益をあげた。ポールソンのヨーロ
ッパ子会社も2006年1月から2007年3月31日までの会計年度で350万ポンドの
利益を記録した。
ポールソンのバリューファンドは今年5億ドルでスタートしたが、わずか10ヶ
月間で36億ドルにまで拡大、リターンにおいても551%(経費控除後)と驚異
的な数字を記録した。 (2007年12月ブルームバーグ記事)

つまり、サブプライム・ローンは下がるとみて大きなショートポジションを積
み上げて稼ぎまくったファンドです。

これ自体は別に問題になることではないのですが、下がる方にベットしている
連中が組み立てたサブプライムのポートフォリオってのはなんなんだ、って話
ですよね。

これでは泥棒に鍵を預けているのと変わらない状況ですよね。これをきちんと
投資家に説明していなかった可能性が高いと言うのですから、もしそうだとし
たらこれは大問題。

更にいうと説明する、しない以前にこのマネージャーを選定した時点で信義則
に限りなく反している、と言われても仕方ない。完全なBona Fide 
Violationですね。

言ってみれば私が日本航空をショートしまくっている一方で日本航空の債券を
組み込んだ商品を堂々と売っている、としたらどうですか? 

買いませんよね。ですからゴールドマンは私が日本航空をショートしていると
いう事実を知りながら資産選択を任せ、日本航空を組み入れたとなればそれは
まずい。

サブプライムには様々な銘柄があるから・・・なんて言い訳はできません。
サブプライムという一つのクラスターに爬行性は全く見当たりませんから。下
がるときはいっぺんに下がる、というのが常識です。

下がると確信をしていて実際でマーケットでショートしまくっている連中が作
ったポートフォリオ・・・・結局自分がショートしたいものをファンドに売り
つけた、とも解釈できる訳です。

実際にショートするのは技術的に大変だといういい訳はあり得ますが、この記
事に伝えられているようにCDSを使えばオプションの契約書1枚なのでこの技
術的壁もありませんね。

つまり、下がるとわかっている銘柄を押し込まれたファンドを買わされ
た・・・これを詐欺と言わずしてなんなんだ、ということです。

まあ、日本でも無い訳ではないんですけどね。
野村のジャパン・ファンドなんて1兆円ファンドとか言われた訳ですが、実際
は野村がショートしたい株ばっかり入っていたなんて話はよくある訳ですし、
その辺の投信にエンロンが大量に入っていたり、今なら欧州国債ファンド(グ
ローバルソブリンなんか)に大量にギリシアが入っていたりしても文句が言え
ない仕組みになってますからね。グロソブは大量に日本でも売られている訳で
すがギリシアなんて普通に入ってますから、それはどうなんだ、と言えなくも
ない。

ただ、このサブプライムの場合はあまりにもマニアックであって、少なくとも
コラテラル・マネージャーが有名な「売り手」「ショーター」であるという事
実は重要でしょう。

この記事にあるようにCDSを使っているという点では新しいのですが、ゴミを
投資家に押しつけるという点では「古くからある伝統的な詐欺」ということに
なるでしょう。

実際にポールソンにサブプライムのポートフォリオを管理させるなんて常識で
は考えられません。恐らく同時にCDOの取引で相当な手数料をゴールドマンが
吸い上げたんでしょうが、まあこのあたりはSECがクリアーにする筈です。
ゴールドマン側は当然大反発するはずです。
まず、根底には自分だけではなかった・・・モルガンもメリルもやってただろ
う、という考え方があります。その意味では業界対SECという対決の構造にな
るであろうことは想像に難くありません。

また、もともとSECはあの大恐慌のあと、ウォールストリートのメンバーによ
るインサイダー取引を取り締まるために出来た組織です。その意味ではそのレ
ゾンデートルを問われているとも受け止められる。
何せアフガニスタンでさえ、8000億ドルしか使っておらず、ウォールストリー
トには1兆5000億ドル以上投入している訳ですから、これはアメリカ政府とし
ても「勝負がかかっている」と言えましょう。

その意味ではアメリカ金融体制そのものを根底から揺さぶる可能性のある動き
で、それにしてはマーケットの反応は不足です。もちろん今後細かくフォロー
していきますが、注意が必要ですね。



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アメリカ住宅着工件数発表・・・急回復ではありません
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アメリカハウジングスタート(住宅着工)が発表になりました。例によってボ
トムから見れば確かに30%上がっているのですが、何度も申し上げているよ
うにその水準が問題なのです。

いつもクルーグマンが言っているように6のものが30%上がって8になったか
らといって何かが変わりますか?90のものが120になればそれは大変なもので
すが、水準論というのが経済では大事なのです。

このくらいの水準(1960年代の水準)であれば倍増してもおかしくないレベル
ですが、とんでもない、ということです。