つい数年前までは数万円とか数10万円もした「システムトレードツール」が、最近、ネット証券のトレードツールに組み込まれるようになってきた。無料、または無料になる条件を満たせば、誰もがシステムトレードを手軽に始められるようになった。
ところで、システムトレードとは何か。
システムトレード(シストレ)とは、過去の値動きなどのパターンを参考にトレードのルールを作り、そのルールに従ってトレードを実践していく手法だ。
■「ゴールデンクロス」は本当に有効? 日経平均で試す
たとえば「ゴールデンクロス」。これは長期の移動平均線を短期の移動平均線が上抜くケースで、その後上昇トレンドに入る傾向があると言われている。その逆は「デッドクロス」で、下落のサインだ。そこで、5日移動平均線と25日移動平均線のゴールデンクロスで買い、デッドクロスで売ったら、本当に儲かるのか。ネット証券のシストレツールを使って過去のデータで試してみる。なお、こういった過去のデータを検証することを「バックテスト」という。
今回は、岡三オンライン証券の「岡三ネットトレーダープレミアム」を用いる。次回はマネックス証券の「マネックストレーダー」を試してみる予定だ。
「岡三ネットトレーダープレミアム」では、「分析チャート」にバックテストの機能が組み込まれている。売買ルールづくりは、まず「買い」か「売り」かを選択。すでに「ありもの」のルールが買いと売りで各13ずつあるので、それを利用することもできる【図1】。
ルールを選択すると、その売買ルールが下に表示される。たとえば、「高値更新」は、「年初来(3月までは昨年来)高値を更新、かつ算出期間5の出来高移動平均線が、算出期間25の出来高移動平均線の1.5倍以上」と設定されている。加えて、利益確定や損切りルールの設定が可能だ。
ルールの設定値は自由に変更できる。上記のルールでは、算出期間「5」や「25」、出来高移動平均の「1.5倍」は、好きな数値に変更可能。売買ルールで設定した値によって分析チャート画面にすぐにバックテストの結果が表示される。勝ちトレードは赤、負けトレードは青で表示される。
画面の下には、トレードによる収支がグラフ表示される。グラフが右肩上がりで順調に増えるならいい売買ルールと考えられる。さらに表で具体的な売買日、金額、勝率、累積収益率が表示される。注意したいのは勝率ばかり高くても累積収益率が悪ければ意味がないこと。勝率7割で収益がマイナスになるより、勝率3割でも資金が2倍に増えた方がいいわけだ。
チャートの表示期間も重要だ。バックテストする期間を、6カ月、1年、2年、3年などどの期間にするべきかによって結果は大きく異なる。冒頭の5日と25日移動平均線ゴールデンクロス買い・デッドクロス売り、というルールのバックテストを行った。利益確定や損切りのルールはなし。銘柄は日経平均のETF(1321)で、期間は1年間にした(3月13日バックテスト実施)。
結果は、勝率62.5%ながら累積収益率は-3.66%。「ゴールデンクロス買い、デッドクロス売り」での売買を、1年間がんばっても無駄だったことになる。
次のページでは、この基本ルールに別のルールを組み合わせて、パフォーマンスが向上する設定を探してみる。今度は、少し設定値を変更して再度バックテストしてみた。ゴールデンクロスで買うが、デッドクロスによる反対売買はしない。その代わり、利益確定ルールを「価格が5%以上になったら売り」。損切りルールを「約定日から22営業日を過ぎた時に売り」としたところ、勝率75%、収益率15.23%になった【図2】。
売買ルールは、14のテクニカル指標を使って自分で作ることもできる。移動平均線だけでなく、一目均衡表、ボリンジャーバンド、RSI……。それぞれの指標について設定値を変更して、過去に利益があげられたかどうかを検証できる【図3】。今回は、単純に終値が移動平均線を上抜けたら買い、そこに利益確定や損切りのルールを加えることで過去に成績の良かったルールを探してみた。テクニカル指標は「移動平均線」を選択。ゴールデンクロスで短期線を「1」に固定。中期線を色々動かして利益の成績(パフォーマンス)がいい指標を探した。
テストの結果、成績が良かったルールは次のとおり。中期線に3日移動平均線を利用。利益が11%以上で確定。4%以上の損失で損切り。または30日経過で損切り。このルールの成績は、年間で売買回数9回。勝率66.67%。累積収益率は42.56%となった。年間約1.4倍だから、すばらしいパフォーマンスが出るルールが見つかった【図4】。
ちなみに現状、この日経平均ETF(1321)は1月29日に買いシグナルが出て、その後ずっと買いホールド中となっている。この1トレードに関して言えば、現在4.54%の含み益だ。ただし、過去のパフォーマンスがいい指標だからといって、将来も同様に利益があがる保証はどこにもない。
この指標のバックテスト期間を2年にすると収益率は38.46%。3年にすると-27.39%となる。2年前以前になるとリーマンショックの時期も入り、値動きがガラリと変わる。自分でバックテストや運用を行う場合は、期間や相場付きの変化にも注意を払う必要がある。
岡三ネットトレーダーのバックテストは、グラフが見やすく、誰でも手軽にバックテストができるだろう。ただ、設定値が3つ以上あるような場合、組み合わせが多数になり、どの設定値が最適か、テストに手間がかかるかもしれない。また、売買回数が多くなる場合には、手数料も考慮するべきだろう。