日本航空、三菱自動車にみるX(+)α理論の実践!
講演会では出来る限り主催者に対し、質問コーナーを設けてくれるように、お願いしています。投資家の皆さんの生の声を聞ける絶好の機会です。もちろん、来場者サービスの一環という気持ちもあります。
ちなみに、筆者は「投資相談の法則」と呼んでいますが、投資相談の多い銘柄の株価は短期的には上がりません。それだけシコリ玉が存在しているということです。まあ、たまには利食いの玉の措置を自慢げに質問する人がいますが・・・・。
最近のケースでは日本航空のことをどこでも聞かれましたし、トヨタ自動車(7203 東1 100株)、みずほフィナンシャルグループ(8411 東1 100株)に関連する質問が多いですね。
日本航空については昨年の秋以降、「このままでは再建は困難です。法的整理は避けられません。その場合、株主責任が問われるでしょう。持ち株は即、“売り”です」と主張してきました。しかし、「外資が相次いで出資の意向を表明しているが、これはどう評価するのか」と反論されました。そう、ここがポイントなのです。
すなわち、X(+)α(アルファ)理論の実践です。これは「記事の裏を読む」の教えに通じるのですが、公表された事実・事象(X)だけを頼りに投資を行なっていませんか、その裏に隠された知られざる真実をつかみ行動することが大切、との投資哲学・ノウハウのひとつです。
恐らく、外資うんぬんの記事の出所は国土交通省であり、時間稼ぎだったのでしょう。筆者はそう考え、「やはり、売っておくべきではありませんか」と答えておきました。別に、見通しの正確さを誇っているわけではありません。
これは非常に大切なことなのです。三菱自動車(7211 東1 1000株)に仏・プジョー・シトロエンが出資する、とのニュースは当初、「電気自動車の技術を評価したもの」と好意的に受け止められていました。実は、この件に関しても一貫し「おかしい」と述べてきました。このM&A騒動の背景には三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306 東1 100株)の“事情”があります。
三菱自動車は5年前に4400億円の優先株を発行しました。その65%(約2860億円)を三菱UFJフィナンシャル・グループが引き受けました。この優先株は現在、無配です。累積損を抱えており、配当を行なえる状況にはありません。
それに、バーゼルⅢの自己資本比率規制では非上場株式のリスク度は300%にカウントされます。2860億円の優先株の保有は計算上、8580億円の総資産を膨らませ、その分が自己資本比率を低下させます。まさに、冗談じゃないぞ、ということだったのではないでしょうか。
そう、“三菱”を外資に売却してまでも優先株の処理を優先しようとしたのです。そもそも、このM&Aには無理がありました。結局、この話は壊れました。当然です。これがX(+)α理論の実践です。再三指摘しているように、最初に風幡の説法、経営判断の法理などの投資哲学・ノウハウをきちんと身につけること、これが肝要です。
船井財産コンサルタンツ(8929 マザーズ 1株)をこのところいろいろな媒体を通じ何度も取り上げています。「旧経営陣の“負の遺産”の処理は終わりました。今後は本業のM&A、コンサルタント業に回帰し、攻めの経営に転換します」と。実際、株価はジリジリと水準を切り上げています。
しかし、投資家の皆さんの評判は散々です。「いかに、杉村先生のご推奨でもこればっかりは・・・・」といわれています。確かに、2009年12月期は48億2000万円の最終損失でした。とても、常識的には買えません。
ただ、この赤字は過去のウミを一気に出した結果であり、将来のために身をかがめたのです。2月以降は懸案だった原宿ロイヤルビルの売却(19億5000万円)、うかいの株式(96万株、発行株式数の18.3%保有)の売却などが相次いで決まり、2010年12月期の連結1株利益は6100円と急浮上に転じる見通しです。また、3月2日には4879株の自己株式の消却を発表しています。
