写真小話 -131ページ目

写真小話

私が撮影しながら散歩した備忘録的な記録

2022.08.19

山梨県の上野原市に棡原という山里がある。

かつて、東日本随一の長寿村と言われていた。

都心からも、横浜からも100キロと離れておらず、日帰りでヒョイと行ける距離なのだけど、南側を1311mの権現山、北を三頭山から延びる笹尾根に挟まれてた深い谷底に鶴川が流れていて、その鶴川の狭い河岸段丘にへばりつくように民家が点在している陸の孤島のような所。

そこでのかつての暮らしは陸の孤島ゆえの地産地消、身土不二、米は一粒も採れないので雑穀を主食とし、肉をほとんど摂らない高食物繊維食で獲れた魚や作物はすべて食す一物全体食と、今で言う所の「マクロビ」を地で行く生活、それゆえの長寿の里だった。

が、しかし自動車道の開通によって、一気に現代化して普通になっちゃった。

まぁ、なんだかんだで東京に近いしね、ちょっと通勤が面倒だけど通えちゃうレベル。

そりゃ、普通になるよな。

そんな棡原を起点として、かつて仙境といわれた長寿の里を偲んで沢散歩にやって来た。

なんてことない舗装林道だけど道脇の草むらはかつて畑だった所

道の上側は御覧の通りかなりの急傾斜のススキの原っぱだ、ここはトウモロコシとか大豆とか里芋とかの畑だった、今はここで作物を作る人もなく森に還ろうとしている。

道の下側も同じようにススキの原だ、じきに森になるだろう。

かつて養蚕で使用していだであろう桑の木がポツンと残っている。

こんな急斜面で作物を育てる「耕して天に至る」生活が長寿を育んでいたのだか、徐々に衰退して今では散見される程度となっている。

まぁ、しょうがないよね。

林道脇にバイクを停めて歩き出す。

畑の横を通らしていただき、鶴川に降りる。

これが本日遡行する大久保沢の出合いである。

ゲッ増水してるじゃん!
ここのちょっと下流に小さな丸木橋が掛かっているのだけど、増水しているせいで外してある。

渡れねぇよ。

渡渉できそうだけど、もし流されたらソロなので一人静かに流されて人知れずサヨナラな感じ。

流れが緩やかで川底が均一な所を見つけて渡渉する。

渡渉限界の2.5歩手前くらいか?あまり攻めるもんじゃないな。

因みに、増水していないとこんな感じ。

長寿の里にふさわしい清冽な流れ、晴天の昼間でも薄暗く、たかだか1300mの山とは思えない深山の趣がある。

 

大久保沢に入り薄暗い沢は深い釜を持った滝が2つほどでてくるので、右に左に巻いて進む。

今日は思いもよらず水量が多い、横浜はここのところ晴天続きだったので渇水を心配していたくらい。

おそらくここら辺あたりは連日にわか雨に降られていたのであろう。

そういえば、そこかしこに取水用のホースがあったけど、見当たらないな、滝の巻き道もだいぶ崩れてきていたので、山仕事で入る人が減っているのかな。

二俣で大久保沢と別れ菜久保沢へ、大久保沢は何回か遡行したことあるけど菜久保沢は初めてである、ちょっと楽しみ。

菜久保沢は結構苔むしてます。

イイ感じです、めっけもんかも。

そういえば、ここらへんは生き物が多いです。

生き物とは、イワナとか、シカとかもそうだけど、スズメバチやマムシが多いです。

となりの大久保沢なんて5m四方にマムシが3匹いたことがありました、踏んづけちゃうよ。

で、オオスズメバチなんかもブンブン飛んでて、2匹揃ってこっちに向かってきたことがありました。

威嚇はしていなかったので、特に刺されたりしていないけど、ヤバいよな。

その他、沢から離れるとブユとクロメマトイに集られます。

まぁ、でも越後の沢にいるメジロ(アブ)とヒルにくらべたらずっとマシだけど。

それにしても癒しの苔沢がずっと続く、いいね、泊りで来ても良いくらい。

いやぁ、ここに一日中いてネチネチ写真とっていたい気分。

途中、ワサビ田の跡があった、形がちゃんとしていたので、結構最近までやってたのかな?

山の暮らしは大変だよね。

流れも細くなってきたなって頃に、

奥の二俣&ワサビ田跡。

二俣は左へ進めば下山が早いけど、一応、権現山も行っておこうかなと右へ進む。

崩壊しつつあるワサビ田、ワサビ田跡はいろんな沢で良く見かけるけど栽培していたワサビが野生化しているのはほとんど見かけない。

こういう沢ってワサビの自生には向いていないのかな?もっと傾斜が緩く、かつ清流が流れる所が良いのかも。

完全につぶれた作業小屋がありました。

ワサビ田とか維持するのは大変なんだろうな、重労働もさることながら何よりガッツリ儲からないと…

 

気を取り直して進むと、こんな苔庭園風があったりして…

隣の大久保沢も詰め近くにこんなのがありました、この山のこの標高あたりは全体的にコケコケしてるのかねぇ。

そしてほどなく、水が無くなって詰めに突入。

 

藪がなくて、どうって事ない詰めだけど、なんかキツいな。

足元がズルフカで体力消耗させながら標高差400mを一気に詰める。

一旦、大久保沢との中間尾根に上がってさらに尾根を登り…

やっと稜線到着、水が切れてからが長く感じたー

この辺はいつもブユとハエがすごいいて、体中に集ってくるのだけど今日は少ないな、いつもこのくらいで頼むよ!

そこから一投足登って権現山へ

眺めはそれほどでなくて木の間から丹沢とか奥多摩とかがチラ見えする程度。

権現山から八王子方面の眺め、八王子と五日市の街がキラキラと見えてます、わかりにくいけど。

山頂でおにぎりを喰って、さぁ降りるか。

しばし1000mちょいの稜線漫歩、暑いような涼しいような…

雨降山の鉄塔あたりから北へ稜線を外れて一目散に杉林を下る。

途中ヤバそげなキノコ発見。

タマゴダケ、赤いキノコなんていかにも毒がありそうだけど、こいつは食った事がある、うまかった。

でも自信ないので自分では採りません。

こいつはドクツルタケ、毒キノコ、結構猛毒らしい。

キノコ、分かりにくいよ!!

 

そうこうしているうちに棡原の集落が見えてきた。

山間の狭い河岸段丘に貼りつくように集落があるのが分かる。

そして、畑がだいぶ少ない事も分かる。

まぁ、畑では到底食えないだろうから他所に勤めたり、山仕事以外の職業についておられるのだろうか?

 

おしまい