The Bookworm in the Bar

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両手で鳴る音を知る 片手で鳴る音は如何に?
故人との対話手段。それが本なのだ。

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時計じかけのオレンジ 完全版 (ハヤカワepi文庫 ハ 1-1)/アントニイ・バージェス
¥777
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邦題:時計じかけのオレンジ

原題:A CLOCKWORK ORANGE

著作:アンソニー・パージェス

スタンリー・キューブリックが映画化したことで有名な作品で、

むしろ映画のほうが有名である。

暴力を好むアレックスは日々、仲間を連れ、犯罪を楽しんでいる。

ある日、強盗に入った家で老婆を殺してしまい服役することになるが、

そこでルドビコ心療法なるものをを受け、暴力を拒絶する身体になってしまう。

釈放されたアレックスを待っていたのは、昔、暴力で傷つけた人々の仕返しだったのだ。

暴力を拒絶する身体になったアレックスはなすすべがなく、

人々に虐げられ、ついに自殺を図った。しかし、一命をとりとめたのだ。

そして、病院のベッドでアレックスは完全に『治った』と感じたのだ。

また暴力を好む身体にもどったと。

『時計じかけのオレンジ』は作中に出てくる作家の作品のタイトルである。

見た目は普通の果物だが、中身はゼンマイで動く機械であるということで、

すなわち、アレックスが矯正治療で善と悪の判断を奪われてしまった状況を指すのだろう。

作中にでてくる言語、ナッドサッドが非常に印象的である。当時の若者言葉を使っていたら、

現代では直ぐに古臭くかんじるだろう。しかしこのナッドサッドはいつ聞いても新鮮である。

著者のパージェスが考案したらしい。

この小説には映画ではカットされている最終章がある。

映画では悪から善、そして悪に戻ったところで終わるが、

小説ではこの後、家庭を求め、自分も落ち着いて生きていこうと

アレックスが語り、そして終わる。

ひどい暴力性を持っていながら、家族愛が芽生えるこの結末には納得いかない

読者も当時から多かったようだが、暴力も愛も人間が持っている本能である。

それに機械ではない人間なら、己で考え変わっていくものなのだ。

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邦題:ニューヨーク・スケッチブック
原題:The Invisible City: A New York Sketchbook
著作:ピート・ハミル


山田洋二監督の映画に『幸福の黄色いハンカチ』という作品がある。
本書にはその原作が収録されているが、たった6ページの物語。
映画はこの作品からイメージを膨らませたのだろう。
35の短編で纏められているこの作品は、タイトルにあるように、
全てニューヨークに住む人々の物語である。
彼らの日常の一片をスケッチブックに描写するように、
前後の背景に重点をおかずにその一瞬で語っている。

読者はそれまでの成り行きや、物語のその後をイメージをすることになる。
絵画を見て、それに隠された物語を想像するのと同じなのだ。
世の著名な画家の絵から、叙情的や神秘的なものを感じることがあるが、
人間の生活にもそれが見られる。
それとも生活が叙情的だからこそ、絵画にもそれが写し出されるのかもしれない。

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みずうみ 他四篇 (岩波文庫)/シュトルム
¥483
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邦題:みずうみ
原題:Immensee(インメンゼー)
著作:テオドール・シュトルム

老人が昔の思い出を回顧する。『エリーザベト』と呟くと、淡い若き日へと旅立つのであった。

人間は晩年にふと昔のことを思い出すこともあると思う。それも自分がまだ若い頃のことを。
まだ青年と呼ばれる年齢でさえ、10代の頃は、あーだったとか、こーだったとか言うのだから当然だろう。
ただ、思い出したときに感じ方が違うと思う。年を取れば多くの経験があり、知性も身につけているから、
過去の出来事に対して強くなる。一方、若い頃に思い出すと、後悔の年が強く感じるかもしれない。
しかし未来には強い。失敗も成功も未来に繋がるのだ。

本書はこの老人の悲恋愛が書かれている。名前はライハルト。
思いを馳せた幼馴染の少女が、金持ちの友人に嫁いでしまう。
エリーザベトは終ぞ自分の思いをライハルトに言うことはなかったが、
民謡を詠む場面があり、そこで彼女の気持ちが暗示されている。

その後ライハルトは、唐突にみずうみに浮かぶ睡蓮に近づくとする。
しかし中々距離が縮まらない。やっと近くまで行っても、何を思ったから引き返すのであった。
自分とエリーザベトの距離と関係を表しているのだろうか。

最後にライハルトが家に戻ると、睡蓮に近づこうとしたことに対して、友人が『君と睡蓮に何の関係があるのか』と問う。
ライハルトは答える。『いや、昔一度知っていたのだが。それもずいぶん昔の事になってしまった』
印象に残る言葉だった。ここでラインハルトはエリーザベトの事を追うのは止めたのかもしれない。

原題のインメンゼー(インメン湖)は、この物語が展開される湖の名前である。

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邦題:さらば愛しき女よ
原題:FAREWELL,MY LOVELY
著作:レイモンド:チャンドラー
ハードボイルド小説の名作。私立探偵のマーロウの活躍を書いたシリーズ作品でもある。
マーロウは皮肉屋の色男であり、作中は日本人男性からは聞けそうのない台詞で埋め尽くされている
しかし、頑固で熱い男であることも感じられる。
作中にでてくる登場人物で大鹿マロイもインパクトのある存在である。
物語はこのマロイの非恋愛を書いたようなものであり、タイトルもそれを暗示している。
終盤の悪女といわれるであろう人物の末路はあっさりしているが、
”もうどうにでもなれ”といったような、心境だったのだろうと思う。
大鹿マロイは一途に愛し求めた女性に裏切られたあげく、うまく利用されにも関わらず、
それも許そうとしたと、文中でマーロウは語る。
そうだとしたら、愛はやはり盲目である。それで殺されたマロイは悲惨だが、
当の本人はそんなことは思っていない。なにも見えていないのだから。

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月と六ペンス (新潮文庫)/サマセット・モーム
¥620
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邦題:月と六ペンス
原題:The Moon and Sixpence
著者:ウィリアム・サマセット・モーム

ポール・ゴーギャンの生涯をサマセット・モームが脚色した小説というべく作品。

強烈に印象深い人間がたまにいる。大体は自分と相容れない人間に限って印象に残るものだ。
本作品の登場人物であるチャールズ・ストリックランドもそうだろう。
皮肉屋で人を食ったような性格のストリックランドは40歳過ぎにして画家になるため妻を捨てる。
その後、病気の時に世話になった男の妻を寝取り、その女が自殺をしたりもする。
その様な事があろうと、なんの悪びれもなく身勝手に振舞う様などからは、
これまでどうやって人と生活してきたのかが分らないのだ。


様々な作家が書く小説の登場人物がいるが、これほど忘れ難い印象を受けるのも珍しい。
しかし彼は死の床にあっても、最後にタヒチで壁一面に画くのである。
それほど絵画に対しての情熱が強かったのであろう。その絵はゴーギャンがタヒチで画いた代表作
われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか』を暗示させるのだ。
人間としても個性的であったが、画家としての壮絶な生き様もとても印象に残った。


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白夜 (角川文庫クラシックス)/ドストエフスキー
¥340
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邦題:白夜

原題:Belye nochi (ベルエ・ノーチ)

著者:フョードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキー

空想家の孤独な青年が、白夜に暴漢から助けた少女に恋をする。

ドストエフスキーの恋愛小説である。
白夜の白んだ夜に主人公は少女ナースチャンカと出会う。
暴漢に襲われそうな所を助けるのだ。
主人公はドストエフスキー作品によく出てくる自意識過剰な青年。
しかしこの青年が少女に激白する様には恐れ入る。


『ぼくはすっかり女の人と縁が遠くなってしまっていたのです。いや、女の人と親しくしたことなどまるでなかったんです。
なにしろぼくは一人っきりで、、、ぼくには女の人とどんな話をしたらいいのかわからないんですよ。現に今だってわかりゃしません。
なにかあなたに馬鹿なことを言いはしなかったでしょうか?』


もう言ってしまっているが、潔いとも言える。
そしてナースチェンカも主人公に対して気のある台詞を言いますが、
最後は別の男のもとへと走ってしまう。

この作品は1848年に発表された。
ただ話しを聞いて欲しい女と、翻弄される男の物語。


その頃から男も女も、恋愛においてはあまり変わっていないのかもしれない。

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邦題:アメリカの鱒釣り
原題:TROUT FISHING IN AMERICA
著者:リチャード・ブローティガン

R・ブローティガンはビート・ジェネレーションの位置づけとされている。
しかし本書からはビートニクのような荒々しさや反骨精神は感じられない
そもそも『アメリカの鱒釣り』とは何なのだろうか。
作中の47の物語で、人や場所や思想などの比喩として書かれている。
何かを象徴する物なのか、なにか皮肉っているのかは分からないし、
この『アメリカの鱒釣り』が何であるのかは最後まで分からなかった。

非常に独特な本書は、200万部のベストセラーになったとは思えないくらい、得て不得手があると思う。
ヒッピー世代には意味を理解しようとするより、こういった幻想的な雰囲気を感じるのが好まれたのだろうか。

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原題:THE YAGE LETTERS
著者:ウィリアム・バロウズ/アレン・ギンズバーグ

南米で究極の薬物『ヤーヘ』を追い求めるW・バロウズとA・ギンズバーグの手紙のやり取りだが、
かなり謎めいた書簡である。
バロウズは欲望丸出しの文章であるのに対し、ギンズバーグは叙情的な文章であるのは面白。
彼らは意思疎通が出来ているのかと思うほどだ。

欲望を満たすため『ヤーへ』をさまようバロウズだが、ヤーヘの生成法や
症状(いや効果というべきか)などは細かく記しているのを見ると、
ジャンキーにもちゃんと好奇心があり、熱心になれる事があるのということだ。
人間の好きなものへの探究心には恐れ入る。

書簡は二人の世界なので、何度も読み返さないと理解でき無いところが多いのだ。
内容の理解は出来てもバロウズとギンズバーグの世界に入るのはもっと難しいだろう。

もはや別世界。これこそ『ヤーヘ』なのかもしれない。

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宇宙戦争 (ハヤカワ文庫SF)/H.G. ウエルズ
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邦題:宇宙戦争
原題:The War of the Worlds
著者:H・G・ウエルズ
ある日地球に流星群が降注いだ。人々はただの流れ星と思っていた。
しかし地球に落ちたその物体からは火星人が乗り込む巨大なマシーンが現れる。
そして彼らは次々に地球人を殺戮するのだった。 地球人は逃げ惑うばかりとなる。

SFの父といわれるハーバード・ジョージ・ウエルズが1898年に発表した作品。
スティーブン・スピルバーグが映画化した作品でも有名。主演はトム・クルーズ。

まず100年以上前によく考え付いたなと思う。情報手段が少なかった時代だったからこそ、SFと言うのは映えたのだろう。
逃げ惑いながら抵抗する地球人だが、火星人の前では無力である。結果、火星人を倒したのは地球の細菌。
細菌に免疫のない火星人はこれに倒れてしまう。食物連鎖が一巡したことになるわけだ。
これだけの科学力がありながら、最近にやられる火星人といのうも間が抜けている。
そして地球人は何もしていない。要するに本当に侵略や捕食目的で火星人が飛来したら,私たちは成す術が無いということのようだ。

1938年にオーソン・ウェルズがラジオ番組でこの作品をドラマとして演じ、世間をパニックにさせたこともあったとか。
それに踊らされる民衆も、今ではありえないことだろう。
情報手段の発達で衰えてしまったのは、空想や恐怖心なのかもしれない。

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死をポケットに入れて (河出文庫)/チャールズ・ブコウスキー
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邦題:死をポケットに入れて
原題:THE CAPTAIN IS OUT TO LUNCH AND THE SAILORS HAVE TAKEN OVER THE SHIP
著者:チャールズ・ブコウスキー
齢70歳となったブコウスキーは50年使ったタイプライターからMacに変え、
夜な夜なコンピューターの前に座り日記を書くのだ。
チャールズ・ブコウスキーが晩年に記した日記である。彼が亡くなる1年前程の事。
老いて丸くなるどころか、益々毒を吐くブコウスキーには爽快さも感じる。
言いたいこと言って、書きたいことを書いている様だ。
しかしこんな老人にはなりたくない。相変わらずの孤独がにじみ出る文章は、
ブコウスキーの本願が載せられている。自力で生き抜いてきた人生。
老齢に掛かれば怖いものなしなのか。
作中最後にブコウスキーは一通の手紙を思い出す。
手紙の送り主は噴気しあなたにシェイクスピアを軽蔑する権利はなく、
多くの若者が影響を受け、シェイクスピアを読まなくなってしまうだろう。
と手紙には書いてある。これに対しブコウスキーは返事を書かなかったが、
一言、『俺は逃げも隠れもせずに、いつでもここにいる。』
そして『てめえなんかくそくらえ、この野郎め』
言わなくていいの『それに私はトルストイだって嫌いだ!』とも言い放す。
こう元気だと死にそうにない爺さんだと冗談でも思うところだが、
不思議とブコウスキーのことは、いつ死んでもおかしくないと思うのだから不思議なものだ。
それでも彼は73歳まで生きたのだ。

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