The Bookworm in the Bar -2ページ目

The Bookworm in the Bar

両手で鳴る音を知る 片手で鳴る音は如何に?
故人との対話手段。それが本なのだ。

勝手に生きろ! (河出文庫)/チャールズ ブコウスキー
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邦題:勝手に生きろ!
原題:FACTOTUM
著者:チャールズ・ブコウスキー

1940年代。仕事を求めてアメリカをふらつくヘンリー・チナスキー。
しかし職についても直ぐに辞めてしまうが、それでも競馬と酒と女は離せない。
堕落した生活の中で漠然と生きるチナスキーだが、短編を書くことは辞めなかった。

『FACTOTUM』(ファクトタム)というファッションブランドがある。
チャールズ・ブコウスキーの世界観を背景としているらしい。
私がこの小説を知ったのはこのブランドが好きだったから。
FACTOTUMとはラテン語で『何でもやれ』という意味で、
そこから転じて本作品は『勝手に生きろ!』と打って付けたわけだ。

チャールズ・ブコウスキーは下品な文体の中に、人を酔わせる魅力がある。
綺麗な言い回しだけが文学ではないく、こういった殴り捨てるような文章でも
法悦にひたることができるのが、やはりブコウスキーの魅力なのだろう。
しかし内容は堕落そのもであり、かっこいいとは思えなかった。
こうは成りたくないと強く感じた。
作中の主人公チナスキーは何度も職を辞める。
自分で辞めることもあれば、クビになったりする。
どうしたらクビになるかは分かっているはずなのに、
それでも酒と女に翻弄される。こうも社会性がないと、
だれかれ言わずとも、勝手に生きろとは言いたくなるだろう。

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アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))/フィリップ・K・ディック
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邦題:アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
原題:Do Androids Dream of Electric Sheep?
著者:フィリップ・K・ディック

戦争で荒廃してしまった地球では、多くのが死滅してしまい限られた動物は法によって保護されていた。
その中で動物を飼うことは、社会的ステータスであり、慰めと安堵の対象である。
しかしながら、生きた動物を手に入れるには高額な資金が必要となる。
多くの経済的に厳しい人間には到底手の届かないものとなっていた。
アンドロイド(人造人間)処理を専門とするリック・デッカードは
ロボット羊を『本物』と偽りながら飼っていた。しかし本物はやはりほしい。
そんな時に火星よりアンドロイド8体が地球に逃げてきたと知る。
高額賞金を手にするため、リックはアンドロイドの処理へと赴いたのだ。

SF作家であるフィリップ・キンドレド・ディックが1968年に発表した作品。
リドリー・スコットがハリソン・フォード主演で映画化したことでも有名な作品。
映画はカルト的人気を得て今なおファンを増やしている。
本書は映画ほどのアクション要素はない。

アンドロイドのリーダー格であるロイとの対峙などはほんの数行で終わってしまう。
重点が置かれているのはそこではなく、『人間とはなにか?』であろう。
あまりに精巧に造られたアンドロイドを、アンドロイドと見極めるには感情移入テストを行う。
幾つかの質問を投げかけ、目の動きで心理を読みとり、そこに人間とアンドロイドの違いがあるという。
しかし主人公はアンドロイドに接触する内に感情移入をしてしまい、愛情さえも持ってしまう。
それどころか、自分もアンドロイドでは無いかと自らに感情移入テストをおこないもする。
自問するリックがだんだんと気が滅入っていく様はもの悲しい。

人間的感情とはなんだろう?
映画では最後にロイがデッカートの命を救い、倒れていたハトを保護するように抱えそして死んでいった。
人間らしさとは慈悲、やさしさ、情けなのかもしれないと思う。それをロイは死の間際に悟ったのかもしれない。
本書でもアンドロイドの一人が、好奇心からクモの足を4本切り取っても歩けるのかと試すのだ。
生物が貴重視されているこの世界では、なんとも残酷なことである。やはりアンドロイドに慈悲などないのだろう。

タイトルの『アンドロイドは電気羊の夢をみるか?』どういうことなのかとよく議論される。
夢とは寝ている間に見る夢のことではなく、希望や要求のことだろう。
人間は生物がほしいと思い、模造と分っていても機械生物を身近に置く。
しかしアンドロイドは自分と同じ模造を欲しがり夢見るだろうか?
答えは、アンドロイドは電気羊の夢を見ない。だからリックは人間である。
リックの自問を置換えてタイトルに載せたのかもしれない。


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