本屋の販売データ(田中淳一郎『本屋魂』より⑤ | Book World Consulting株式会社

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Ⅰ.オンリーワン POSデータ

今、本屋の現場で、最も使われているデータと言えばPOSデータ(販売時点情報管理)です。既刊本の品揃え、新刊の動向、ジャンル別売上動向はもとより、出版社までもそのデータを利用しています。ただ、活用する内容については多少異なります。
出版社は、自社で作った商品の重版や仕上がり率の指標として使っています。これは、恐らくPOSデータの最も有効な活用法だと思います。出版社は製作部数を決めて、それが上手く仕上がるかというのは生命線で、昨日までどのくらい売れたかというのは、基本的なデータとして必要不可欠だと思います。
一方、本屋はどうでしょう? 近所の小売店と比較すると、そのデータの重要性は明白です。例えば、お菓子なら、そのPOSデータを比較すると、昨日までの過去の販売数だけでなく、この先の販売数も高い確度で把握できます。
つまり、無駄な仕入や過剰在庫がなくなるということです。本屋の場合は、たとえPOSデータがあっても、そんなに精度の高い仕入はできません。
その大きな理由は、お菓子は、価格・味・パッケージなどによって、顧客が気に入れば再度購入するという傾向が強いのに対して、本の場合、一度読んで面白くても、再度同じ本を購入することは、ほとんどありません。当店もたばこを販売していますが、仕入れの制度は本と比べようもありません。それでも、現時点で本屋が安価に見ることができるデータは、やはりPOSデータです。
もう一つ、POSデータが本とのマッチングが悪い点は、多品種少量ということです。大概、ベストセラーといわれる本でも、店舗ごとに換算すると、非常に少ない販売部数に薄められてしまいます。当然、売りのがしや、まったくノーマークだったりすることも、多々発生するわけです。
昨今では、多店舗展開している法人や取次のサービスなどで、自店以外のPOSデータが閲覧できるようになり、以前と比べるとPOSデータの活用も変容し、使いかってが良くなってきています。

Ⅱ.オンリーワン? POSデータ

POSデータは、時系列でまとめた量のデータです。つまり、昨日一日でいくら売れたかとか、先週一週間で何冊売れたかとか、期間と量のデータです。
しかし、本屋のレジで作っているデータは、実はPOSのデータではありません。レジのジャーナル(記録紙)を見て下さい。そこには取引ごとの明細があります。複数の本が買われたなら、そこには何らかの関連性を推測できたりするデータがあるはずです。本屋が、もし安価にこのデータを加工分析できれば、レジジャーナルの分析データが普及したのではないでしょうか?

(『本屋魂』田中淳一郎)