これまで何カ所か、出版社、出版倉庫、書店のシステムあるいは営業拡大のコンサルティングをお受けした。しかし、お断りさせていただいた例もいくつかある。
その理由はお客さんにとって利益にならない。少なくとも今は利益にならないと思う時である。そして、その原因の本質は同じであった。
幾つかの例からひとつあげると、請求書が時々抜ける、という例があった。これは、現象からお客さんのマスターデータに、納品日付が入っており、それを参照しながら請求書を印刷していると思われた。しかし、その納品日付を書きこむときに、他の処理でそのお客さんのデータを開いていると、書きこまれない・・・と私は思った。月一回の納品書であるから、先月残、今月入金、今月納品明細、今月売上計、見入金計があれば、売掛管理は可能である。しかし、これはエクセルでも可能な売掛管理である。簡易リレーショナルデータベース言語の決定の表れである。
簡易リレーショナルデータベース言語は、画面をイメージできると作成開発が楽である。しかし、問題は、業務のフロー、処理フローを作成することで、システムがどのようなデータベース構造をもつべきか考える必要がない。あるいは、そのレベルの処理を作るべきで、メインのDB構造は経験者が設計すべきであるのを、誰でも簡単に開発できますの言葉に惹きつけられて、システム開発経験数か月でシステムが自動生成されるような誤解をおこしてしまうのである。
このお客様は丁重にお断りした。私へのコンサルティング料金、すでに検収書を出しているシステムの修正作業料金を考えると、あと何年か、請求書漏れをチェックし、再開発の時期が来た時に検討した方がいい。出費が大きすぎると思った。
あと一件も似ている。書籍は何年か立つと売価を上げる。同じISBNで、違う売価になるわけだ。そのお客さんでは、実際には表紙を変え売価を変えたのに、納品書には古いままの売価で印刷され、毎月、赤ペンで訂正して郵送していた。もし、売価を変えると過去何年かの売上が同時にかわり、売掛残が発生していることになるのだ。
これも、前の例と同じである。売価、過去の売上を、商品マスターの価格欄からその都度計算しているために、怒ってしまうのである。あまりに単純、初心者しか行わないミスである。ある書籍を値上げするまで気づかなかったという。これも、処理フロー作成をしなかったか、しても確認をしなかったことが原因である。
こちらも費用を考えて、その書籍納品書は赤ペンを入れ、売掛管理はエクセルに再入力して行うことを勧めた。修正作業にかかる費用が大きすぎると判断した。
これらは、コンピュータシステム会社が、システムについていつもベストの教育をを行い、必要としている技術と知識を技術者が身につけているという誤解による。会社は、費用を削減するために、簡単な言語を選択したいし、入社して即戦力になる言語を選ぶ。また、新しい技術を使うことはできるだけさけて、損益計算書をみて判断する。バブルの頃は、それでも仕事がいくらでもあったので、その時の感覚がまだ残っているのだろう。
おすすめするのは、ベストをつくすシステム会社を選択する眼を養うことだが、なかなかできるものではない。人は自分を良くしか言わないし、良く見せるものである。
さほど時間をとられず、費用がかからない方法は次の通りである。次回ためしてみてはどうだろうか。
①業務フローとシステムフローを提出してもらい、それに質問をたくさんすることである。「こういう場合はどうなるの?]」「こういう例外的なことがおきたらどうしたらいいの?」「今度の・・・にはどのように対応するの?」・・・・これで、その会社がシステムをどれほど考えているか、新しい技術を取りしれようとしているか、ある程度判断できる。
②そのチェックに弊社のようなコンサル会社を入れることである。開発費用と比較して非常に少なくて済み、システムのポイントを抑えているので、システム会社の選択、システム言語の選択、開発方法までアドバイスできるだろう。
これは宣伝ではない。というのは今は忙しすぎるので・・・・余程、難しいシステムでないとお断りすることになるだろうと思う。しかし、システムコンサルティングを行う会社の選択も難しい。最後は、人間性になるからだ。最初は面倒だが、システム会社数社に提案を依頼し、二、三社のコンサルティング会社にその提案説明をきいてもらい、そこでの質問等がどこまで将来のシステムを考えているか判断し、それで選択するのはおすすめかもしれない。
(2015.10.12)