「初めに聞いたときは信じられなかった。論文を読みながら『これはすごい』と何回も叫んでしまった。」と宮崎大学の本田准教授。
STAP細胞は、遺伝子を細胞の中に入れて作るiPS細胞に比べ、短期間に効率的に作り出せるほか、がん化するおそれが低いとみられるなどの特徴がある。
弱酸性の液体で刺激するだけで、どんな細胞にもなれる万能細胞に変化する。いったん役割が定まった体の細胞が、この程度の刺激で万能細胞に変わることはありえないとされていた──。
STAP細胞の作製に成功したのは、理化学研究所の小保方晴子(おぼかた・はるこ)さん30歳。

千葉県松戸市の出身。早稲田大学理工学部を卒業後、同大学院へ。ハーバード大学の医学部に留学中に、STAP細胞の作成につながるアイデアが浮かんだ。しかし、当時の実験データだけでは証明することができず、周囲の研究者から「きっと間違いだ」と言われて泣き明かした夜は数知れないという。
昨年春、英科学誌ネイチャーに論文を投稿した際は、「過去何百年の生物細胞学の歴史を愚弄している」と酷評され、掲載を却下された。
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「小さい細胞を取り出す操作をすると幹細胞が現れるのに、操作しないと見られない。幹細胞を『取り出している』のではなく、操作によって、『できている』という考えに至った」
「iPS細胞はES細胞をゴールに決めた初期化の試みだ。今回の(STAP細胞の)報告は、細胞自身が勝手に(初期化を)起こすので、どこがゴールかわからない。細胞の意思に任せるところに特徴がある」
「私たちの細胞も、ストレスがかかると何とかして生き延びようとするメカニズムが働くのではないか。そういうロマンを見ています」
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iPS細胞の山中教授は、「重要な研究成果が日本人研究者によって発信されたことを誇りに思う。今後、人間の細胞からも同様の手法で多能性幹細胞が作られることを期待している。マウスの血液細胞に強いストレスを加えると多能性が誘導されることを示した興味深い研究であり、細胞の初期化を理解する上で重要な成果だ」 と話した。
この細胞はまだマウスで作ることができた段階で、ヒトとは細胞の作りやすさが違う。今後はヒトの細胞でも同じことが起きるか検証が進められる。