柿木重宜 「ふしぎな言葉の学」 ナカニシヤ出版 2000 | 日々是本日

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bookudakoji の本ブログ

言語学/日本語学の初学者向けの本。
やや古い本だが、基本事項を簡潔に知るには適している。

 

 

 

章立ては以下の通り。

【章立て】
1.音声と音韻
2.語彙
3.文法
4.文字
5.言葉と社会
6.幼児の言葉の獲得について
7.日本語の系統論
8.日本語学と言語学

1~4章は、各章のテーマに応じた基本事項の解説。

一般向けの内容として下記の三点を紹介しておく。


●語彙の分類について

和語(大和言葉、日本語本来の言葉)
漢語(中国語経由で借入された言葉)
外来語(その他の主に英語圏の言語からの借用)

●五十音図「天地の詞」

五十音図では、「いろはにほへと」が圧倒的に有名であるが、
以外のものの一つ。

「あめつちほしそらやまかわみねたにくもきりむろこけひといぬうへすゑ
 ゆわさるおふせよえのえをなれゐて」

「天 土 星 空 山 川 峰 谷 雲 霧 室 苔 人 犬 上 末 
 黄流(ゆわ)  猿 生ふせよ 榎の枝を 馴れ居て」

「え」が二回使われており48字で構成されている。
47字の「いろはにほへと」になる前の時代では、
「え」の音が分かれていたのがわかるという。

●は行音の書き分け

「~は」の「は」と書く「わ」、
「~へ」の「へ」と書く「え」の書き分けについて。

これも音が分かれていたことによるもので、
大昔の「は」、「へ」の音はわ行の音に近かったということである。


5~8章の内容概略は以下の通り。

5.言葉と社会

 社会言語学の成り立ちと2、3の研究の簡単な紹介。

6.幼児の言葉の獲得について

 5ページしかなく、心理学の専門書を参照した方が良い。

7.日本語の系統論

 日本語の起源についての主な学説が簡単に紹介されている。
 (研究向きの内容)

8.日本語学と言語学

 言語学の成り立ちについて簡単に述べられている。
 (研究向きの内容)