ガブリエル・ガルシア・マルケス 『族長の秋』
実はこの作品、仲の良い友達が.. おすすめして読むことになった本なのだけれども。それがまた妙なおすすめであって、「この本めっちゃ良かった」というおすすめじゃなくて、「あ······ 昨日読み終えたけど興味深かった。えぐというか、妙な魅力がある」と言われ、目にしてみるとまさにその言葉通りだった。72ページ程度の章の間、句点一つもないままお話をまとめられる作家を知っていますか?そんなの簡単にできるかーって思いませんか?この作家はそれをかなえちゃう。一章の間ずーっと、早送りのラップたいに息もしないで、というよりは、場面と話者や対象を変えながら、状態の描写だったり心理表現だったり、ある文ではただただ罵るだけだったり。
特定の人物をモデルにしてはいないが、今までのラテンアメリカの悪名高い独裁者をモチーフにしたことがうすうすと感じられる「族長」は、政治や戦略だけでなく私生活面でも奇怪極まりない。彼は権力を手に入れるけど高潔かつ忠実することはなく、多くの女を抱くも完全かつ安定した愛を得ることには一生失敗する。そもそも正気ではないように見え、生きていても死んでも楽にはなれない最高権力者。皮肉かもしれないが、それさえも小説の主人公として美化されて見える面があるのではと思うと。本当はもっと醜くて人でなしと思われる人はじゅうぶん実在し得るだろうと。
読んでいる間ずっとイライラする話だけだったが、文学的な価値が高いのは反論の余地がない。 読んでいる間ずっと反軍にでもなったような感じで悪臭の漂うあの世にはまっていた。
