違和感
- 小川 洋子
まだ妊娠を体験したことがない自分は、いつか自らが子供を自らの体内に宿したときに、体が変化して膨張していくことを受容できるのか不安になることがある。恐怖、嫌悪、思い通りにならない苛立ち、そんなものに首までどっぷり浸ってしまうのではないかと、そのときを恐れる。
「妊娠カレンダー」はそんな体の変化を、妹の目を通して観察している。日記形式で書かれているので、その観察者の目で見ているという突き放した印象を強くしている。
妊娠や出産は、すべて良きもの、明るいもの、善なるものだけで構成されているわけではない。生暖かく、どす黒く、得体の知れないものが内在しているに違いないのに、母親というのはみなそれを飲み込んで子供を産み育てているのだろうか。みな口に出さないだけだと思われる、妊娠の暗部を見せられたようで、すこしほっとするのである。
応援したり おとしたり
「日本美術応援団」
この、日本美術応援団のシリーズはけっこう面白いです。赤瀬川源平と山下裕二が日本美術作品の
有名どころにずけずけと物申していくのですが、最初はよそよそしかった二人の掛け合いが、だんだん
こなれていって、お互いに一歩前進の発見をしていくのが読みどころ。
これまでの評価や、作品に対する先入観をとっぱらって、とっつきにくい日本美術界を風通しよく、というのが最初のもくろみなので、愛をもって厳しく評価している。たとえば、油絵の「鮭」で有名な、高橋由一なんかは「感動は伝わるけど、へたくそなんだよね。でもそこがすき」なんて言われよう。
表紙の二人のまじめなコスプレも見所ですね。
日常に入り込むシュールな戦争
「となり町戦争」 三崎亜記
第17回小説すばる新人賞受賞作なのですが、現実にはあり得ない出来事を、ありそうな感じでさらりと書いているところにびっくりです。隣町との戦争を、公共事業として行政が行うという。こんな突飛な設定で書きとおせるのかな、と思いながら読んでしまいましたが、一気に読み通してしまいました。
―突然、町の広報誌で隣町との開戦を知る主人公。しかしその後も戦争らしき事を目にすることなく日々は過ぎていくのだが、翌月の広報誌で戦死者の人数が掲載されているのを目にし、自分の知らないところで戦闘が行われていることを知る。 そしてまた突然に、町役場よりの通知で「戦時特別偵察業務従事者」(スパイ)に任命するとの連絡を受け、あまりに自分にとってリアリティのない戦争の実態を少しでも知りたいという思いからその任命を受ける。―
リアルタイムで戦争が行われていいることを知りながら、その実感がない。ちょっとぞっとする状況だけれど、今の日本人にとってはこの状況身近な感じがしますよねえ。嫌味な作品ですね。戦争に賛成だろうが反対だろうが、そんなことに関係なく巻き込まれてしまう可能性、既に巻き込まれているのに気が付かないまま生活しているかもしれない空恐ろしさ、リアルですね~。

著者: 三崎 亜記
タイトル: となり町戦争
第17回小説すばる新人賞受賞作なのですが、現実にはあり得ない出来事を、ありそうな感じでさらりと書いているところにびっくりです。隣町との戦争を、公共事業として行政が行うという。こんな突飛な設定で書きとおせるのかな、と思いながら読んでしまいましたが、一気に読み通してしまいました。
―突然、町の広報誌で隣町との開戦を知る主人公。しかしその後も戦争らしき事を目にすることなく日々は過ぎていくのだが、翌月の広報誌で戦死者の人数が掲載されているのを目にし、自分の知らないところで戦闘が行われていることを知る。 そしてまた突然に、町役場よりの通知で「戦時特別偵察業務従事者」(スパイ)に任命するとの連絡を受け、あまりに自分にとってリアリティのない戦争の実態を少しでも知りたいという思いからその任命を受ける。―
リアルタイムで戦争が行われていいることを知りながら、その実感がない。ちょっとぞっとする状況だけれど、今の日本人にとってはこの状況身近な感じがしますよねえ。嫌味な作品ですね。戦争に賛成だろうが反対だろうが、そんなことに関係なく巻き込まれてしまう可能性、既に巻き込まれているのに気が付かないまま生活しているかもしれない空恐ろしさ、リアルですね~。

著者: 三崎 亜記
タイトル: となり町戦争
因果はめぐる よみがえりの物語
「説経 小栗判官」 近藤ようこ
説経噺をマンガにしたもので、小栗判官と照手姫の物語です。
小栗判官は親の承諾を得ぬまま照手姫と結ばれたため、姫の父親の不興を買い、家臣共々毒殺されてしまいますが、家臣の孝心と閻魔様の慈悲により現世に戻り、再び照手姫と結ばれるという話です。
蘇った小栗判官が、自力では動けぬ餓鬼の姿で東海道を熊野の湯まで旅するのは、絵巻物でも有名です。熊野の本宮大社の近くに、小栗判官が浸かった湯と言われるものが残っているそうです。
こういう話をマンガでさらっと読めちゃうのはお得な感じがしますね。

著者: 近藤 ようこ
タイトル: 説経小栗判官
説経噺をマンガにしたもので、小栗判官と照手姫の物語です。
小栗判官は親の承諾を得ぬまま照手姫と結ばれたため、姫の父親の不興を買い、家臣共々毒殺されてしまいますが、家臣の孝心と閻魔様の慈悲により現世に戻り、再び照手姫と結ばれるという話です。
蘇った小栗判官が、自力では動けぬ餓鬼の姿で東海道を熊野の湯まで旅するのは、絵巻物でも有名です。熊野の本宮大社の近くに、小栗判官が浸かった湯と言われるものが残っているそうです。
こういう話をマンガでさらっと読めちゃうのはお得な感じがしますね。

著者: 近藤 ようこ
タイトル: 説経小栗判官
いじわるなメルヘン家政婦
風にのってきたメアリーポピンズ
小さい頃に読みましたか?
思い出したように読んでみましたが、こんなに恐い人でしたっけ、メアリー。
バンクス家に風にのって突然やってきた家政婦さん、メアリーポピンズ。子供のしつけには厳しくて、口応えは許しません。お散歩は早足で、夜は時間通りにベッドのなかへ。でも気付かないうちに子供たちを不思議な世界につれて行ってくれます。
恐くて、厳しくて、有無をいわさぬ凄まじい家政婦さん、大事なことはなかなか教えてくれないけど子供たちは大好きなのです。
メアリーポピンズ自身も魅力的ですが、その友達や知り合いたちもステキです。路上の絵描きさんとかハトおばさんとかね。

著者: P.L. トラヴァース, P.L. Travers, 林 容吉
タイトル: 風にのってきたメアリー・ポピンズ
小さい頃に読みましたか?
思い出したように読んでみましたが、こんなに恐い人でしたっけ、メアリー。
バンクス家に風にのって突然やってきた家政婦さん、メアリーポピンズ。子供のしつけには厳しくて、口応えは許しません。お散歩は早足で、夜は時間通りにベッドのなかへ。でも気付かないうちに子供たちを不思議な世界につれて行ってくれます。
恐くて、厳しくて、有無をいわさぬ凄まじい家政婦さん、大事なことはなかなか教えてくれないけど子供たちは大好きなのです。
メアリーポピンズ自身も魅力的ですが、その友達や知り合いたちもステキです。路上の絵描きさんとかハトおばさんとかね。

著者: P.L. トラヴァース, P.L. Travers, 林 容吉
タイトル: 風にのってきたメアリー・ポピンズ
