卒業/重松 清
¥620
Amazon.co.jp


4つの短編小説から構成されています。

この作家いわく「卒業」とは始まりを感じさせる終わりらしい・・・。

確かに4つともその共通点があったなぁ~。


重松作品は「泣ける」と言われているらしいですが、

ぼくは「流星ワゴン」に続き2作目にしてそれを痛感しました。

日本人的な同情をかうようなものではなく、結構深いところで

共感できるところが好きですね。

いわゆる「お涙ちょーだい」的な作品は逆にさめちゃうタイプなので・・・。


人それぞれ「泣ける」ポイントは違うらしいのですが、

ぼくは3つめ「卒業」と4つめ「追伸」がきました。


「卒業」は、26歳にしてまだ見ぬ子を残して自殺してしまった「伊藤」の

大学時代親友「渡辺」と、亡くなったあとで産まれた娘「亜弥」が

その「伊藤」の思い出を共有しながら自分たちの「今」を見つけていくような

ストーリです。


「追伸」は、幼いときに病気で母を亡くした作家が主人公。

母が闘病中につけていた息子に宛てた日記だけでも涙腺ウルウル・・・。


主人公はエッセイの中で、今の母親であるハルさんではなく、

日記の思い出となっているおかぁちゃんを自分の母親とする。


エッセイの中の母親との関係は、綺麗すぎていて、実際の親子って

もっと理屈じゃなくてうまくいかないものだってあたりが共感できます。

ハルさんとは、思いっきりいがみ合ったり、ぶつかり合ったりする訳ではなく

大人になるにつれ、どんどんと疎遠になっていく。

でも実はこういう関係が親子なのかもしれないなぁ~と思ったり。


不器用なハルさんが、それでも主人公を大切な息子だと思っているのが

だんだんと紐解かれていき、ストーリーの最後には、些細なことから

やぶられてしまった「おかぁちゃん」の日記をにハルさんからの「追伸」が・・・。



とにかく最後の2ページくらいはウルウルどころか、ボロボロでした。

ザ・ファシリテーター/森 時彦
¥1,680
Amazon.co.jp


ファシリテーションについてストーリーとともに学べると思い読んだのですが、実際には、いわゆる会議ファシリテーションというよりは、問題解決・組織変革におけるリーダーシップにファシリテーション技術を活用するといったテーマのように思えました。


以前読んだ「V字回復の経営」と考え方は同じような印象を持ちましたね。


黒澤涼子というビジネススクール上がりの女性が、経験も専門知識も豊富な年長者を束ねる開発センターのセンター長に大抜擢され、組織と社員行動に変革を起こしていくストーリです。


要所要所にマーケティングツールやファシリテーションの技術が紹介されるので活用シーンはイメージしやすいかと思います。


実際に仕事で活用できるものも多かったため、時期をみて、マーカーとポストイットでチェックしながら二度目を読みたいと思っています。

手紙/東野 圭吾
¥620
Amazon.co.jp


映画化もされた本です。会社の方からお借りして読みました。

(映画と設定がだいぶ違うみたいですね・・・。)


強盗殺人犯を兄にもつ「直樹」が主人公。

両親はいないものの、まっとうに生きていこうとする直樹に、

その兄を理由として数々の幸せ/夢が奪われてしまいます。


大学受験(後々入学できますが)、ミュージシャンとしての夢、

結婚を約束した彼女との、アルバイトをはじめとした仕事・・・。


強盗殺人犯の弟ということで社会の目は冷たい。


そんな中、唯一彼を支えたのは後に妻となる由美子でした。

実は彼女も父親がギャンブルから自己破産をし、

それが理由で不毛な境遇を歩んできたのです。


愛娘にも恵まれ、家族と「正々堂々」と生きていこうとする直樹でしたが、

やはり兄が強盗殺人犯という事実が彼の幸せを奪っていく・・・。



印象的だったのは、直樹が就職した家電量販店の社長「平野」の存在。

平野は同情や偏見などなく、犯罪者の家族として直樹を諭します。

自殺と殺人とが同義という話は妙な納得感がありました。


そして直樹が出した結論は・・・兄との決別。


途中、同情を誘うような「かわいそうな出来事」の連続というチープな展開もありますが、最後は妙にリアルで、なんとも言えない「切なさ」が伝わってくるものでした。