『太陽の塔』  森見登美彦 | ページをめくった先に広がる世界と解け合う心

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太陽の塔 (新潮文庫)/森見 登美彦
¥420
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***この本は2010年2月に読了しました***
私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった!クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
(Bookデータベースより)



「俺が彼をつけ回し、彼は彼女をつけ回したうえに君をつけ回し、君は彼女をつけ回していたことになる。おそろしい街だ、ここは。愛憎の地獄絵図というやつだ」




森見氏の作品は「夜は短し歩けよ乙女」 に続き、2作目なので文体はすんなり受け入れられました。
「夜は・・・」に比べると、本作はオトコモード全開、いや男汁全開、むしろ全壊とでもいうべきか。いや、別にオトコモードや男汁が壊れてるわけじゃないんですけど。それだけ壊れてるように写った訳です(笑)



ここまで極端じゃないにしろ、男だけ集まって何かをしようとすると、何故か好からぬ方向へと進んでしまう。
自分にもありましたよ、こんなようなことが学生時代に(笑)
某サークルに入っていたんですが、全体の夏合宿の直前に、「男だけの合宿」があったのです。
もちろん女人禁制。「女だらけの水泳大会」ならぬ「男だらけの海の家合宿」でした。
作品では5人程度ですが、こちとら男ばっかり2,30人。
しかも行き着くところは、夏真っ盛りのはずなのに人っ気女っ気の全くない日本海沿岸某所。
いまココでは、明らかに出来ないほどの諸行や言動。全くもって何かに憑りつかれていたかのようでした。
でもそれがまた体感したモノにしか分からない面白しろさで、生涯忘れられないであろう思い出です。
いまじゃできない。きっとあの時、あの年齢、あの場所、あのメンバーだからこそできた出来事だったように思えます。
今思い出すとまったく摩訶不思議なお年頃でしたよ、ホントに。



と、個人的な回想はさておき、学生時代って、粋がっててもやっぱり今思うと野暮ったいと言うか、もっさいと言うか、解説の本上まなみさんの言葉を借りるなら「へもい」と言うか。
そういう意味では共感も出来ましたし、所々くすりとさせられる箇所もありオモチロカッタです。
でもいきなり脈絡もなく、いろんなところに話が飛んだりするので、たまについていけなくなりそうで、若干読みづらかったな。
キャラも高飛車な感じが少し鼻についたのと、水尾さんのイメージも薄く、むしろ植村嬢のほうが目立ってたような。
「夜は短し歩けよ乙女」を読む前か、もしくはもう少し若いときに読んでいたら、より面白かったかもしれぬ。



最後に3つほど。
1.一度でいいから、飾磨の「砂漠の俺作戦」を、「素」で決行できるツワモノをこの眼で見てみたいです。
  何だか稲中に通ずるものを感じました(笑)
2.ゴキブリ嫌いの人は心して読んだ方が身のためです(苦笑) 何せエロティックすぎるので。
3.男子は読後、体臭が濃くなったような気がしてしまうような、しないような。。。




なにはともあれ、クリスマスイブの夜に響き渡った「ええじゃないか」騒動、そこから続くラスト、一度御賞味あれ。



「生きよ、(けれども少しは)恥じよ」



★★★



その他の森見登美彦作品
『太陽の塔』  ◇『夜は短し歩けよ乙女』



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