『夜は短し歩けよ乙女』  森見登美彦 | ページをめくった先に広がる世界と解け合う心

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夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)/森見 登美彦
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***この本は2009年10月に読了しました***

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作。
(Bookデータベースより)


この作品でお初な森見氏。
読み始めの最初は文体に若干戸惑いましたが、逆にこういう文体に目新さを感じ、すぐに慣れて心地よく読めました。
心を軽くほんわかとさせてくれるような世界観とでも申しましょうか。
ファンタジー過ぎず、恋愛小説過ぎず、青春小説過ぎず・・・、まるでその中間をたゆたうようが如くふわふわとした作品でした。
何度も繰り返す「黒髪の乙女」という表現。たったこの五文字の響きと装丁の画(どこかで見たと思ったら、アジカンの中村佑介氏なのですね)。
これだけでも十分すぎるほどなのに、主人公の二人に負けない奇天烈なキャラクターたちが織り成す摩訶不思議な作品に、いつの間にか自分も溶け込んでいたようでございました。
うん。オモチロオカシカッタ。



第1章は春、第2章は夏、第3章は秋、第4章は冬。個人的に常々、日本の四季は素敵だと思うのです。
その素晴らしき日本の四季と京都と言う古都がまたピタリと合い、この作品を彩り鮮やかに魅せています。


1章から始まる先輩の恋。先輩は徐々に後輩の乙女との外堀を埋めようと必死に動き回りますが、天然黒髪乙女にはまったく気づかれず、そしてさまざまな登場人物達に恋路を邪魔されます。くす。

偶然を装い乙女の前にたびたび現れる先輩。一歩間違えればただのストーカーとも思える行動なのでしょうが、真っ直ぐな想いとは裏腹の姑息なやり方に、たびたびほくそ笑んでしまうのです。くすり。

4章に至っても、つまりかれこれ1年も終わろうかと言うのに、外堀ばかり埋めるにとどまるロマンチック・エンジン全快な先輩を微笑ましく思うこそすれ、決して蔑むことはできませんでした。くすくすり。



惜しむべくは、京都の町並みイメージがつきづらかったこと。
第1章の読み始めに新宿のゴールデン街をイメージしましたが、すぐに打ち消しときました(笑)
個人的想像妄想の世界では「千と千尋の神隠し」に似た舞台で、読み進めました。
この作品のおかげで自分の中での、次の旅行先候補選手権でいきなり京都がトップ3へと躍り出たようです。
いやむしろ優勝してしまう勢いかも。そうだ!京都へ行こう!(笑)



個人的に天然系キャラの方とお付き合いをしたことはないけれども、この、純情で世間に疎く、何だかとても危なっかしいのにかわいらしく、とても魅力溢れる「黒髪の乙女」にいつの間にか惹かれ、ひそかに見守ってあげたくなったのでした。


ラストに近づくほど、まだ読み終わりたくない。
なむなむ!と思った作品でございました。


先輩の恋心は天然黒髪乙女に伝わるか?
二人の恋の顛末や如何に?




余談ではあるが、先日、電気ブランを使ったハイボール「稲妻ハイボール」なるものが、メニューにあった店を見つけたので、今度飲んでみようか。
左手には「おともだちパンチ」を準備して、右手には偽電気ブランならぬ稲妻ハイボールを持って、短い夜を酔っ払ってみようかな。
美しく調和のある人生を目指して―


★★★★★


夜は短し歩けよ乙女/森見 登美彦
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