価格競争は暴走する
エレン•ラペル•シェル
楡井浩一訳
筑摩書房
ISBN978-4-480-86407-9

価格戦争は暴走する/エレン・ラペル・シェル

¥1,995
Amazon.co.jp


<目次>
序 グレシャムの法則
第1章 安売り大国の誕生
第2章 激安商法の創始者たち
第3章 こうして価格に騙される
第4章 アウトレットの策略
第5章 値下げという集団狂気
第6章 職人の死
第7章 ますます貧しくなる生活
第8章 安い食べ物の落とし穴
第9章 双頭の竜 - アメリカと中国の結託
第10章 正しい価格を求めて


本書はアメリカの安売りを分析した本ですが、日本の状況と同じであることに驚きます。

価格を安くすることの歴史から説明が始まります。

価格が安くなり始める頃は、社会にとって善でした。

安く作ると、買いやすくなる。生活が便利になる。皆が豊かになる。

しかも、生産者にも仕事が増え、購買力が上がる。

いいことづくしでした。


少し前までは。


ここで前提がいくつかあります。

ひとつめは、生産者と消費者が同じ商圏にいることです。

同じ街、同じ地域、同じ国、です。

こうすれば、お金がきちんと回ります。


ふたつめは、適正な安値です。

生産者にきちんと対価が渡らないと、お金が回りません。


現代の価格戦争は、上記2つの条件を満たしていないため、おかしなことになっています。

現代は、グローバル経済のもと、生産者と消費者が別々の地域にいます。


例えば、ユニクロの生産者は中国やベトナムなどの東アジアの国で、消費者は日本人です。

安く売るために、工賃の安い国で生産することになります。

すると、日本人は生産しないので、日本での仕事がありません。

つまり、消費者が必要とするお金が外国に落ちているのです。


これでは、消費したくとも消費する元手が手に入りません。

さらに、生産している国に適正な賃金が払われていなければ、国際的な富の搾取になります。

グローバル経済では、世界の中で役割分担をし、各自ができることを最大限に仕事とすれば、効率的にお金が回る、ということを前提にしています。


しかし、実態はそんなにうまく行きません。


アメリカや日本の全ての人が先進的な仕事をできるわけではありません。

経済の理屈と、実際の人の動きが乖離しているのです。

価格が安い事は抗いがたい魅力なのは万国共通です。

しかし、行き過ぎた価格競争が本当の豊かさを奪っているとするならば、是正していく必要があるはずです。

人間とは、人と人のあいだで生きるものです。

世界中の人が共存できるルールのもとで、豊かに生きていきたいものです。