ダンス・ダンス・ダンス(下)・村上春樹 の解説 | まさひこのの書評と解説のページ

まさひこのの書評と解説のページ

僕が読んだ本についての、書評と解説を書いてみました。

 

まず、前回の解説(ダンス・ダンス・ダンス 上巻)について、補足を書かせてくれ。

 

 

最初読んだときは、僕(主人公の僕ね)は変わったやつだと、僕(この文章を書いている僕、ね)は書いた。が、二度読み時は、なぜか、特別変わったやつだとは思わなかった。とりたてて変わったことを言うのでもないが、ただただ自己語りが過剰的であり、まあその点については少々うざいが、ふつうの常識人ふう(まあ、205ページの、わにに食べられてとか言うのはどうかと思ったが)。では、初読時なぜそう思ったのかと考えてみると、たぶん、女性関係について終わりを重ねすぎているからだ。本人いわく「これまで付き合った人は二十人」にのぼる。そんな数多の関係全てを終わらしてしまっている。ふつうの男ならそんなに重ねず、数人で生涯の伴侶を得て、安定を得ているだろう。それゆえ僕は、僕を、変わったやつだと思ってしまったようだ。要はちょっとお前付き合いすぎだぞ。ということで……とすると、やっぱりこいつ、変わったやつ、みたい。

 

 

さてと。上下巻もの、前後編ものの小説下、後というのは、あらすじを紹介しづらい。そこのあらすじ紹介は上、前のネタバレにもなりやすいからだ。なので、あらすじ紹介はやめて、今回は、僕の一面を数箇所取り上げて、それについて、つっこんだり、つっこんだり、注意を記したりしてみよう。

 

 

161ページ「パックマンがあなたの心臓を食べているの。ピッピッピッッピピッッッピ、て」「比喩がよく理解できない」←ここには、ふいたね。おい、よせよ。君もけっこう理解できない例を持ち出してきていたはずじゃないかよ、作中あちこちで。

 

 

意外とこの男、ふざけたところもある。たとえば281ページ。「そうかしら?」「そうかしら?」「何よそれ?」「何よそれ?」「真似しないでよ」「真似じゃないよ」「馬鹿みたい」「馬鹿みたい」十三才の少女相手に物真似くりかえすとは、ふざけたおっさんで。そして「よしてよ」といわれ「よすよ」と即答←よすんかーい!    で、次の瞬間には、少女の方が真似をする「よせよ」「よせよ」まるで掛け合い漫才、やはりこの年の差コンビ、お似合いである。

 

 

343ページ「そんなに早く殺しちゃもったいない。ゆっくりと絞め殺してやる」←これはもう異常者だな。危険人物。まあ「まともな」「常識人ふう」の人が実は危険人物でした、ということはよくあることだから気をつけよう、ということかもね……。

 

380ページ、彼女もいうのだ「あまりまともとは言えないわね」(笑)。

 

 

☆ ダンス・ダンス・ダンス(下)・村上春樹・講談社・1988年。講談社文庫・1991年。新デザイン講談社文庫・2004年。