序章 最高の職業の選び方
●なぜ私たちはキャリア選びに失敗するのか
 ○就職・転職の失敗の7割が「視野狭窄」
  ・お金に釣られる
  ・「逃げ」で決める:今いる場所を改善することを考えず、結果収入などが下がる
  ・自信がありすぎる、またはなさすぎる:自分のせいなのに他責で断定する、または自分を好機から遠ざけてしまう
  ・29%しか三択以上の検討をしなかった
    -2択の失敗率52%、3択以上の失敗率32%
 ○仕事選びについて徹底的に考えるべき
●人間の脳は職業選択に向いていない
 ○人間の脳のバグ
  ・利用可能性ヒューリスティック:手軽な情報に釣られる
  ・現状維持バイアス:好機を逃す
  ・インパクト・バイアス:叶った後の感情を高く見積りすぎて落胆する
●正しい職業選択のための5ステップAWAKE
 ○適職=あなたの幸福が最大化される仕事

ステップ1 幻想から目覚める
●仕事選びで陥りがちな幻想
 ○仕事選びにおける7つの大罪
  ・好きを仕事にする
  ・給料の多さで選ぶ
  ・業界や職種で選ぶ
  ・仕事の楽さで選ぶ
  ・性格テストで選ぶ
  ・直感で選ぶ
  ・適正にあった仕事を求める
●好きを仕事にする
 ○好きは幸福にしない
  ・「好きなことを仕事にするのは幸せだ。給料は低くても満足できる仕事をしたい。」というグループと「仕事は続けるうちに好きになるものだ。仕事は楽しくなくていいけど給料は欲しい。」というグループだと、後者の方が1〜5年後に幸福度も年収もキャリアレベルも高かった
 ○好きを仕事にするとスキルも伸びない
  ・仕事は仕事と割り切っている人の方が、仕事の継続率が高く上達も早い
 ○仕事への情熱は自分が注いだリソースの量に比例する
  ・最初情熱がなかったが、過去に注いだ努力の量が多いほど仕事が天職になってくる
 ○真の転職は何となくやってたら楽しくなってきたから見つかる
  ・グロウス・パッション
  ・情熱は眠っているもの→自分に合わないとやめやすくなる。情熱は作るもの→もう少し続けたら何かあるかもと粘る
●給料の多さで選ぶ
 ○お金と仕事の幸福は相関しない
 ○お金を稼ぐより6000%も手軽に幸せになれることとは?
  ・仲がいいパートナーとの結婚767%
  ・健康レベルが普通からちょっと体調がいい6531%
 ○年収400〜500万からの幸福度アップは費用対効果が悪い
  ・800万は最大値。その手前から上がりづらくなる
 ○給料アップの効果は1年しか続かない
  ・お金を持つほど限界効用が下がる(贅沢に慣れてしまう)
  ・お金の幸福は相対的な価値で決まる
●業界や職種で選ぶ
 ○専門家の予想精度はチンパンジーのダーツ投げと同じ
  ・専門家でも有望な業界は予測できない
  ・人間は自分の個人的な興味の変化を予想できない
  ・歴史の終わり幻想:今の価値観や好みが最も優れていると思い込み、変化を過小評価する
●仕事の楽さで選ぶ
 ○楽な仕事は死亡率を2倍にする
 ○適度なストレスは仕事の満足度を高める
  ・仕事の難易度と仕事のスキルが適度に噛み合っているといい
 ○幸福度を鍛えるにはいいストレスが必要
  ・いいストレス期間:短い(数分から数時間)
  ・メンタルへの影響:モチベーションを上げ、一時的に集中力と記憶力をたかめる
  ・脳への影響:認知機能を改善する
  ・免疫システム:身体ダメージを回復する
  ・心肺機能への影響:少しの疲れには負けないよう一時的に体力が上がる
●性格テストで選ぶ
 ○エニグラムの本質はタロット占いと同じ
  ・解釈が主観的なので数値化できないし比べられない=タロット占い状態
●直感で選ぶ
 ○直感が正しく働くための条件
  ・ルールが厳格に決まっている
  ・何度も練習するチャンスがある
  ・フィードバックがすぐに得られる
 ○直感で考える人の人生は自己正当化
  ・人は生まれつき5つの意思決定様式の内の一つを持っている
    -合理的:論理的に考えて選択
    -直感的:直感や感覚で決める
    -依存的:他者のアドバイスをもとに決定する
    -回避的:決定を引き延ばそうとする
    -自発的:出来るだけ早く決定を終わらせようとする
  ・合理的が人生の選択において圧勝
●適正にあった仕事を求める
 ○インターンシップも前職の経験も適正判断には役立たない
  ・どれも関係なかった
    -ワークサンプルテスト、IQテスト、構造的面接、ピアレーティング、職業知識テスト、インターンシップ、正直度テスト、普通の面接、前職の経歴、学歴
  ・仕事のパフォーマンスを左右する変数が大きすぎて測れない
    -多すぎるスキル、会社の風土の違い、上司が変わるだけで変わる求められるスキルセットなど
 ○自分の「強み」を生かせる仕事を選んでも仕方ない理由
  ・強みと仕事の満足度には有意な関係があるものの、その相関はとても小さい
  ・その組織のなかに自分と同じ「強み」を持った同僚が少ない場合は、仕事の満足度があがる
  ・自分の強みを意識して毎日を送ると幸福度は上がる
  ・しかし、「適職探し」という観点では、強みだけを見るのは得策じゃない

ステップ2 未来を広げる
●すべては視野を広げることから始まる
 ○偉人も視野狭窄の罠に嵌る
  ・ライト兄弟は飛行後の裁判に固執した
  ・フロイトは自分の理論に固執し他の学者と対立した
 ○仕事の幸福度を決める7つの徳目
  ・選択肢を狭めないように、視野を広げられるようするのが大事
●自由
 ○不自由な職場はタバコより体に悪い
  ・仕事の自由度
    -作業を実行するスケジュールを好きに設定できる、タスクの内容を好きなように選べる、収入や社内ルールに好きな意見を言える
  ・マイクロマネージメント
    -タバコを吸って自由度が高い仕事の方が、タバコを吸わなくて自由度が低い仕事の人より健康的だった
 ○「幸福になれる自由」の種類は男女で異なる?
  ・労働時間はどこまで好きに選べるか?
  ・仕事のペースはどこまで社員の裁量に委ねられるのか?
  ・男女で幸福になりやすい自由の種類が違う傾向
    -女=仕事に取り組む場所とタイミングの自由が効くほど幸福度が上がる
    -男=仕事の進め方と作業ペースの自由が効くほど幸福度が上がる
●達成
 ○一流アスリートほど大事にするたった一つの習慣とは?
  ・水泳前に小さなルーティンで達成感を得ている選手
  ・物事が前に進んでいる感覚が最も人間のモチベーションが高まる時
 ○錯覚の「達成感」でも人間のモチベーションはブーストする
  ・「前進の錯覚」コロンビア大学の実験
    -コーヒーのスタンプカードで、10個目無料と12個目が無料だけど2個既に押してあるものだと、後者の方が集まる
  ・95%のマネージャーは給料を与えて褒めれば従業員のやる気は上がると勘違いしている
  ・仕事のフィードバックはどのように得られるか?
  ・仕事の成果とフィードバックが切り離されていないか?
    -目指すゴールがハッキリし、自分の作業へのフィードバックが早い
●焦点
 ○適職探しに役立つ数少ない性格テストとは?
  ・制御焦点
    -攻撃型: 目標を達成して得られる「利益」に焦点を当てて働くタイプ。 競争に勝つのが好きで、金や名誉などの外的な報酬に強い影響を受ける。 つねに大きな夢を持っており、仕事を効率的に進める意思が強い。基本的にポジティブだが、そのぶんだけものごとを突きつめて考えず、準備不足のまま事を進めようとするのが難点。作業がうまくいかないと、すぐに気落ちする傾向もある
    -防御型:目標を「責任」の一種としてとらえ、競争に負けないために働くタイプ。 自分の義務を果たすのが最終的なゴールで、できるだけ安全な場所に身を置こうとする。 失敗を恐れる傾向が強いため、仕事ぶりは正確で注意深く、ゆっくりと着実にものごとを進めていく。最悪の事態を想定して動く傾向が強く、時間の余裕がない状況ではストレスが激増する。分析や問題解決力が高い。
  ・コロンビア大学の実験
    -自分のタイプに合っていた人は、会っていない人に比べて締切を守る率が50%高かった
 ○攻撃型、防御型に適した仕事
  ・促進予防焦点尺度
  ・攻撃型:進捗や成長を実感しやすい仕事  
    -コンサルタント、アーティスト、テクノロジー系、ソーシャルメディア系、コピーライターなど
  ・防御型:安心感と安定感を実感しやすい仕事
    -事務員、技術者、経理系、データアナリスト、弁護士など
●明確
 ○賃金が不公平な企業に勤めると早死にする
  ・会社がどんな価値観で動いているのかよくわからない
  ・いまやっている作業がプロジェクトのどこに役立つのかわからない
  ・仕事のどこに責任感を持てばいいのかわからない
  ・ある上司からは「すぐに企画書を作れ!」と言われたのに、また別の上司からは「会議に出ろ!」と言われた
 ○「上からの指示が一貫しない」が社員の体調を破壊する
  ・会社に明確なビジョンはあるか? そのビジョンを実現するために、どのようなシステム化を行っているか?
  ・人事評価はどのようになされているか? 個人の貢献と失敗を目に見える形で判断できるしくみは整っているか?
 ○宝くじで1億円を当てても1年で慣れる
  ・快楽のウォーキングマシン←多用で対抗
  ・日常の仕事でどれくらいの変化を感じられるか?
    -自分が持ついろんなスキルや能力を幅広く活かすことができる
    -業務の内容がバラエティに富んでいる
 ○工程の川上から川下まで関われるか?
●仲間
 ○友人が3人いれば仕事のモチベーションは700%上がる
  ・困った時に助けてくれる人がいると楽しく働ける可能性が上がる
 ○自分に似た人がどれぐらいいるか?をチェックせよ
  ・嫌な上司のもとで働く従業員は、良い上司のもとで働く従業員に比べて心臓発作や脳卒中で死ぬリスクが60%高くなる
  ・嫌な同僚のせいで悪化したストレスは、たとえ会社を辞めても健康的なレベルにもどるまで22ヶ月かかる
  ・人間関係が悪い会社では、社員が高血圧や高コレステロール、糖尿病に悩む確率が20%増加する
  ・類似性効果
●貢献
 ○「もっとも満足度の高い仕事」のトップ5とは?
  ・満足度が高い仕事とは、他人を気づかい、他人に新たな知見を伝え、他人の人生を守る要素を持っている
  ・その仕事がどれくらい他人の生活に影響を与えられるか?
 ○「ヘルパーズハイ」を目指せる仕事を選べ!
  ・他人への貢献で3つの欲が満たされる
    -自尊心、親密感、自律性
●7つの徳目で未来の可能性をポジティブに広げる
 ○イニシャルリストを拡大する
  ・1、今の自分が将来の仕事をどのように変えたいか書く
  ・2、徳目アテンションで可能性を探す
    -徳目について考え、そこからなんとなく仕事を検索してみる。新しい可能性に気づくようになる
  ・3、徳目クエスチョン
    -7つの徳目に関して、どんな仕事があるか質問する
  ・4、8つの質問でブロックを外す
    -1、イニシャルリストに書き出した選択肢がどれも選べなくなったとしたら他にどのような可能性があるか
    -2、もし無限のお金があったらイニシャルリストの選択肢を選ぶか
    -3、もし不安も心配事もなかったら他にどんな可能性があるか
    -4、いままでの努力(注いだお金や努力、時間)が全て無駄だったら他にどんな選択肢があるか
    -5、このイニシャルリストが友人のものだったらどんなアドバイスが浮かぶか
    -6、イニシャルリストを選択して人生でできなくなることはないか(友人と遊べなくなるや、営業スキルが伸ばせなくなるなど)
    -7、自分が尊敬する人は、イニシャルリストにどんな助言をしてくれるか
    -8、自分のコネクション(過去の友人や仕事など)を通じて、また別のオプションが考えられないか

ステップ3 悪を取り除く
●幸福な仕事選びを妨げる要素とは
 ○ネガティブはポジティブより6倍強い
 ○悪に満ちた職場は受動喫煙より40%も体に悪い
●特長1時間の乱れ
 ○週3のシフトワークで体内時計が破壊される
  ・不特定なタイミングで仕事が来る糖尿病のリスク42%
 ○通勤時間が長いと太って離婚しやすくなる
  ・通勤時間が長くなるほど不幸になる
  ・長時間通勤のストレスは年収が40%アップしないと割に合わない
 ○週41時間以上の労働で脳卒中のリスクが上がる
  ・41〜48時間脳卒中リスク10%
  ・55時間以上脳卒中リスク33%、心疾患リスク13%、糖尿病30%
 ○休日仕事のストレスは本人でも気づけない
  ・プライベートに仕事を持ち込むと鬱病リスク166%、不安障害発症率174%、幸福度40%減
  ・退社後に仕事を考えただけでストレスが上がる。運動やマッサージでの対策では軽減できない。自覚がない。
●特徴2職務の乱れ
 ○自由な働き方に実は自由がない理由
  ・雇用が不安定
    -普通の会社員よりいい評判を保つのに必死で自由を感じない。長期的に次の仕事を得るストレスで不健康になる。
    -裁量権を得てさらに幸福度が上がったグループもある
    -専門的スキルを持った人はフリーで幸福になり、安い受注をし続けるフリーは不幸になる
  ・ソーシャルサポートがない
    -出世競争が激しすぎる風潮はないか?
    -マネージャーが従業員の成果にフィードバックを与えるシステムはできているか?管理職の自主性だけに任せていないか?
    -育児や出生休暇など、会社員が困った時会社がなんとかするというメッセージを発しているか?
    -社内でどのような交流イベントが行われているか?
●職場の8大悪
 ○ワークライフバランスの崩壊
 ○雇用が不安定
 ○長時間労働
 ○シフトワーク
 ○仕事のコントロール権がない
 ○ソーシャルサポートがない
 ○組織内に不公平が多い
 ○長時間勤務
●幸福な仕事を探すための3つのツール
 ○プロコン分析
 ○マトリックス分析
 ○ヒエラルキー分析
 
ステップ4 歪みに気づく
●バイアスとは人間の脳にすくうバグ
 ○意思決定の質を6倍高めるプロトコルとは
  ・綿密なデータ分析は重要だが、脳のバグを取り除くプロトコルを行うと6倍精度が上がる
 ○確証バイアス
 ○アンカリング効果
 ○真実性の錯覚
 ○フォーカシング効果
 ○サンクコスト
 ○感情バイアス
●「愚かなるは他人ばかり」問題
●時間操作系プロトコル
 ○10/10/10テスト
  ・拡張された自己
 ○プレモータム
●視点操作系プロトコル
 ○ソロモンのパラドックス
 ○イリイスト転職ノート
  ・どんなことを決めたのか?どのような流れでその決定に至ったのか?その決定をするときにどのようなエビデンスを使ったか?その決定によりどんな結果を期待しているのか?自分の決定にどのような感情を抱いたか?
 ○友人に頼る
  ・自己評価より他人の評価の方が正確
●現代では強い繋がりが最高の求職ツール
 ○フィードバックの効果を高める3つのポイント
  ・360度フィードバック
    -知り合ってから1〜3年の相手、知り合ってから1年以内の相手
  ・クローズドクエスチョン
  ・親友イメージング
 ○1番騙しやすい人間は、すなわち自分自身である

ステップ5
やりがいを再構築する
●仕事の満足度を判断する方法
 ○ヒエラルキー分析を再調整
 ○仕事満足度尺度
 ○ジョブクラフティング
  ・ビフォースケッチ
  ・ビフォースケッチの省察
  ・動機と嗜好のピックアップ
  ・課題クラフティング
  ・関係性クラフティング
  ・認知クラフティング
  ・アクションプラン
 ○アクションプランの成果をチェックする21の質問:ジョブクラフティング尺度
●ジョブクラフティングの2大弱点
 ○情熱と目的意識を増やしすぎない
  ・燃え尽き症候群
 ○やりがい搾取に気をつける

https://www.cm-publishing.co.jp/tekishoku_dl/