ステレオタイプの科学――「社会の刷り込み」は成果にどう影響し、わたしたちは何ができるのか

Whistling Vivaldi

 

女性は数学が苦手、男性はケア職に向いていない、白人は差別に鈍感、高齢者は記憶力が悪い……
「できない」と言われると、人は本当にできなくなってしまう。

本人も無自覚のうちに社会の刷り込みを内面化し、パフォーマンスが下がってしまう現象「ステレオタイプ脅威」。
社会心理学者が、そのメカニズムと対処法を解明する。

偏見がいかに人のパフォーマンスに影響するのか。見抜きにくい部分にまで切り込んでいる。
―ビル・ゲイツ

【ステレオタイプ脅威とは】
周囲からステレオタイプに基づく目で見られることを怖れ、その怖れに気をとられるうちに、実際にパフォーマンスが低下し、怖れていた通りのステレオタイプをむしろ確証してしまうという現象。

▶直接差別的な扱いを受けたり、偏見の目を向けられたりしていなくても、社会にステレオタイプが存在するだけで、人は影響を受けてしまう。
▶努力をすればするほど、その影響は大きくなる。
▶自力で抜け出すのは難しいが、ちょっとした声がけや環境設定で無効化することができる。

【目次】
第1章 アイデンティティを持つがゆえの制約
第2章 アイデンティティと成績の不可思議な関係──「女性は数字に弱い」という誤解
第3章 ステレオタイプ脅威の正体──なにが実力発揮を妨げていたのか
第4章 なにを主要なアイデンティティと捉えるか──「別の人生」を歩むことを選んだ人々
第5章 誰しもが影響を受ける──アジア系女子大生が教えてくれたこと
第6章 優秀な人ほど打ちのめされる──過剰努力の悲劇
第7章 思考と身体への負担──蝕まれるワーキングメモリ
第8章 環境に潜む「サイン」の働き──クリティカルマスの力
第9章 ステレオタイプ脅威を縮小する方法──ナラティブというトリック
第10章 わたしたちを分断するもの──サウスウェスト航空のファーストクラス
第11章 人をつなぐ橋としてのアイデンティティ

【驚きの心理学実験の数々!】
▶チームで女性が「1人」から「2人」になるだけで、女性が実力を発揮できるようになる。
▶高齢者が記憶力テストを受ける前に、「年齢と記憶力はほぼ無関係だ」という記事を読むと成績が上がる。
▶勉強が苦手だと思われている子どもたちでも、授業の冒頭15分で、「自分が大事にしているもの」を書かせると、長期にわたり成績が上昇する。
▶黒人生徒がテストを受けるとき、「知能測定」ではなく、「パズル」だと伝えられると、成績が劇的に上がる。

 

『ステレオタイプの科学――「社会の刷り込み」は成果にどう影響し、わたしたちは何ができるのか』は、クロード・スティールによる社会心理学に関する書籍です。原題は "Whistling Vivaldi" といいます。

本書では、ステレオタイプという社会心理学的現象が、人々の行動や成果にどのように影響するかについて論じられています。著者は、ステレオタイプが人々の認知や行動にどのように影響するかを、自身の研究や実験を通じて示し、その影響を軽減する方法を提唱しています。

特に、著者は、ステレオタイプがどのように社会に浸透するかについて、実験や調査に基づく具体例を挙げています。また、ステレオタイプが人々の学習や成果にどのように影響するかについても議論し、教育や職場などでステレオタイプの影響を軽減する方法を提案しています。

本書は、ステレオタイプが人々の行動や成果にどのように影響するかを知りたい人や、ステレオタイプの影響を軽減する方法を学びたい人にとって、興味深い一冊となっています。

 

 

 

「ステレオタイプ」とは何か?

本書で言う「ステレオタイプ」とは、ある社会的集団(例えば、男性や女性、白人や黒人、アジア人やヨーロッパ人など)に対して、一般的に広く認識されたイメージや固定観念のことを指します。

例えば、「女性は感情的で、男性は理性的である」というような固定観念は、一般的に女性や男性に対するステレオタイプとして知られています。また、「黒人はスポーツが得意で、アジア人は数学が得意である」というようなステレオタイプも存在します。

ステレオタイプは、社会に広く浸透しているため、人々の思考や行動に影響を与えることがあります。本書では、ステレオタイプが人々の行動や成果にどのように影響するかについて詳しく解説しています。

 

著者のクロード・スティールってどんな人物?

クロード・スティールは、アメリカ合衆国の社会心理学者であり、現在はスタンフォード大学で教授を務めています。

 

 

スティールは、ステレオタイプの研究における先駆的な業績で知られており、その業績により、2008年にはアメリカ心理学会から最高の栄誉である「ダイヤモンド賞」を受賞しました。また、彼は「ステレオタイプの科学」という著書で有名です。スティールは、アフリカ系アメリカ人として育ち、人種差別に直面することが多かったことから、自身の研究において、特定の人種やグループに対する偏見やステレオタイプがどのように機能するのかを探求することに関心を持っています。

 

この本の読者レビューはどんな感じ?

「ステレオタイプの科学――「社会の刷り込み」は成果にどう影響し、わたしたちは何ができるのか」は、社会心理学の分野において、ステレオタイプに関する研究で知られるクロード・スティール氏の著書です。以下に、読者レビューから見られるポジティブな評価とネガティブな評価をまとめてみました。

ポジティブな評価:

・「この本は、ステレオタイプや偏見についての理解を深めるために、非常に役立つものです。クロード・スティール氏は、複雑な心理的メカニズムを明確に説明してくれており、読者にとって非常にわかりやすい内容になっています。」

・「この本は、ステレオタイプや偏見についての問題に向き合うための、実践的なアドバイスが多数含まれています。クロード・スティール氏が提供する具体的な解決策は、非常に興味深く、役立つものでした。」

・「この本は、社会心理学の分野に興味がある人にとって、非常に魅力的なものです。クロード・スティール氏の研究成果は、非常に興味深く、知識を深めることができました。」

ネガティブな評価:

・「この本は、学術的な内容が多く、一般読者には少し難解なものでした。また、著者が提供する解決策も、現実的ではないと感じることがありました。」

・「この本は、あまり新しい内容を提供していないように感じました。社会心理学の分野に詳しい人にとっては、あまり新しい発見はないかもしれません。」

・「著者が提供する解決策は、現実的ではないと感じました。また、具体的なアドバイスが少なく、実践的な面に不足があると感じることがありました。」

 

こんな人に、この一冊!

「ステレオタイプの科学――「社会の刷り込み」は成果にどう影響し、わたしたちは何ができるのか」は、社会心理学の分野に興味がある読者や、ステレオタイプや偏見についての理解を深めたいと考えている読者にとって、非常に有益な一冊です。

 

また、ステレオタイプや偏見に苦しんでいる人々、特にマイノリティグループの人々にとって、解決策を提供する参考書としても役立つでしょう。ただし、学術的な内容も多く、社会心理学の専門知識を持つ読者にとっても価値があるといえます。一般読者には少し難解な部分があるかも知れません。