アニメ映画『グスコーブドリの伝記』アニメ版ノベライズ本と原作絵本 | 三宅エミのライターズノート

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ライター&アーティスト目線で、ゆる〜く記します。

宮沢賢治の原作を、

手塚アニメーションが映画化した、

『グスコーブドリの伝記』。

幻が交錯する、

ふしぎな物語でしたね〜。



森の木こり一家が、

自然環境の変化により離散して、

一人のこったブドリが、

イーハトーブの町へ向かいます。

じぶんが役に立てることを見つけて、

全身全霊でとりくむブドリは、

町全体を救うことに、
 
じぶんを役立てました。


原作も猫社会?

猫で表現するのは、

アニメ版の特徴でしょうか。



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独特の世界観を、

文章で確認したくなりまして、

アニメーション版のノベライズ本と、

原作をもとにした文と絵で表現された、

絵本を借りてみました。



ノベライズはアニメ映画の縮図なので、

どのあたりまでが、

宮沢賢治の原作に忠実なのかがわかりません。


途中に幻想で現れる、

てぐす工場のくだりは、

バッサリと削除してもよいのではないか、

と思っちゃいました。

物語との関連性や、

なにかしらの必然性がないと、

描かれるのは不自然です。



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絵本は、宮沢賢治の原作であるものの、

文は読みやすく手を加えられているようです。

司修氏は、宮沢賢治の原作を絵本化されている方なので、

原作の流れは、ほぼそのままなのでしょう。


てぐす工場のくだりはー、

唐突ながら登場していましたが、

一瞬の夢みたいなもので、

違和感がありませんでした。

全体を通して、

物語自体が唐突な展開ですしね。

登場人物のイメージを固定させない、

画家らしい絵柄の添え方が、

とても参考になりました。



アニメは、原作の余白を埋めて、

ストーリーをつなぐために、

飛躍した解釈があるのかもしれません。

原作がはしょって感じられる箇所を、

アニメーションで補いつつ、

原作にある物語のつづきの箇所を、

かなりはしょってシンプルにして、

アニメ物語として創作されているようです。


その幅のとり方で、

比重が変わるので、

ニュアンスはまったく別ものとなります。



宮沢賢治の原作をひもといて、

賢治が表現しようとした世界観を、

じぶんで感じとってみなくちゃ、ですよ。

宮沢賢治の『グスコーブドリの伝記』を、

知っている、とは言えないですね。


そう思わせてくれるきっかけとなった、

絵本2冊でした。