『脳と子どもの専門医が知っている 子どもの脳がみるみる育つ新習慣』
加藤俊徳
KADOKAWA 2022年7月23日
「すぐできることしか書いていませんから、すぐにアクションを起こしましょう。」
脳内科医で小児科専門医である著者による脳育ての新習慣。
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・「発達障害とは、現時点での脳が未発達なために、今、生きづらさがあったり、まだできないことや苦手があったりして本人や周りが困っている状態」。ただすべての子どもの脳は発達途上なので、いわば「全ての子どもは発達障害のようなもの」。
・発達障害への治療やアプローチで効果的なのは、脳の未熟な部分の発達を促すこと。そのためには特別支援教室や療育などの専門的な環境が、必ずしも必要なわけではない。家庭や学校での周囲の働きかけで脳の成長を促すことはできる。
・「運動系脳番地」は最初に発達し、そのほかの脳番地の発達を促す。
・「視覚系脳番地」「聴覚系脳番地」も早めに成長させたい脳番地。工作、絵画、習字などの芸術系の習い事、ピアノや楽器などの音楽系の習い事がそれぞれに良い影響を与える。
・身体を動かせば動かすほど子どもの脳は成長する運動系の習い事も良いが、脳はまた楽しいとき、心地よいときにしか成長しない。習い事は無理強いせず、子どもが楽しいと思えるものを。
・指示がなくても自発的に行動するための脳番地は「理解系脳番地」と「思考系脳番地」。個人差はあるが、このあたりは発達に時間がかかるため、30歳くらいまでは、過保護上等!指示を出してサポートして良い。
・子どもが「つまらない」「めんどうくさい」という態度を示すのは、上手く脳が動かず退屈しているから。遊びを提案する、散歩に連れ出すなどの工夫で脳を刺激しよう。
・子どもの話を聞く方に重きをおいた親子の会話が、「伝達系脳番地」「感情系脳番地」を発達させて、対人力が育つ。
・思いやりは自然発生するものではない。まずは受け取った思いやりに気づき「ありがたいな」と感じれるようなはたらきかけを。
・欲しがることは自主性の表れであり、思考系脳番地の発達を促すきっかけ。親は子どもの欲求の理由を本人が整理し、自覚できるようにサポートし、その上で応えるか否かを検討しよう。
・本来勉強が苦手な子供はいない。勉強が上手くいかない理由に注目し、勉強の妨げになっている問題を見つけて改善を。
・勉強を面倒臭がる子は、「脳のフリーズ」、脳に大きな負荷がかかり、動かなくなることに敏感。「わかるって楽しい」「できるって楽しい」という実感を重ね、面倒臭さを楽しさが上回るようなサポートをしよう。
・運動が苦手な子どものほとんどは、運動経験が少なく、「運動系脳番地」が発達していないだけのことが多い。苦手意識を持たせず、運動の機会を増やす工夫を。
・「外では良い子」、「内弁慶」が気になるなら、親子間の会話を積み重ね、「伝達系脳番地」を発達させよう。
・「いつもイライラする」のは睡眠不足や疲労が原因で脳が休みたがっているから。親も休息上手になろう。
・子育てで気になることは、学校の先生や地域の相談窓口など、専門家に相談しよう。専門家でもない人による根拠のない情報に翻弄されない方がよい。
・脳は楽しい気持ちでいるときにしか、うまく動かないし、成長もしない。親も自分のできないことに注目するのではなく、できることを確認し、脳を活性化させよう。
・「子育てのゴールは100年後」、100年スパンで子育てを考えれば、子どものうちのほんの数年の遅れや先取り、同年齢の子どもと自分の子どもを比べて心配することにさほど意味はない。
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脳内科医で小児科専門医であり、父親でもある著者による脳育ての解説書、それぞれ異なる役割を担い、成長のスピードも違という8つの「脳番地」の紹介から始まっていて、文章が平易で説明も分かりやすいので、私のような脳や小児科医療について詳しくない人にもどんどん読めてしまう。
まず、「子どもの脳は発達途上」なので、多かれ少なかれ「苦手」があるのが当たり前だという記述は納得できるし、安心できる。また子どもに苦手なことがあっても、苦手の理由に注目し、家庭で適した対処をするためのヒントと学びが満載されていて希望が持てる。
「思いやりに欠けています」
「人と同じものを、すぐ欲しがります」
「お手伝いをしてくれません」
「保身のために嘘をつきます」
など個別の悩みに対する解説も丁寧でとても勉強になる。
子育てや教育に携わっていて、迷わない、悩まない人なんているんだろうか。そしてそんな悩める人や迷える人に向かって、悪気の有無はともかく不用意な言葉をかける人の何と多いことか。
本を読んでどのように受け止めるか、どれだけ実践できるかは、読み手次第だが、脳と子どもの専門家の先生がこのような本を書いてくださると、私にはとてもありがたい。
I read an interesting and helpful book about parenting written by Kato Toshinori, neurologist/pediatrician. The author introduced us to plenty of hints and tips to help our children train their brains.
